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第9話 ドジな幽霊と綺麗な幽霊➀

 開演!!


 お墓に腰を掛けてブツブツ言っている幽霊がいる。


「あぁぁ暇だ、暇だ。いつになったら俺は成仏できるのだろう……。俺はどれくらいこの墓地にいたんだろう……。っていうか俺の名前はなんていったかなぁ……?長いことココに居過ぎて忘れちまったなぁ……」


「周りの幽霊はみんな成仏して消えちまったし、話し相手もいないし……。なんだかさみしいなぁ……。俺もそろそろ成仏したいよなぁぁぁ……」


 山田部長がさすがは部長と思える演技で観客を感心させている。


「あの幽霊さん、とても綺麗……」


 保護者席に座っている五歳くらいの女の子が隣の母親にそう言った。


「そうね。とても綺麗な幽霊さんね。全然、ドジな幽霊に見えないね」


 母親は娘にそう答えた。



「そう言えば成仏した仲間はみんな散々人間を驚かし、十分に満足をした途端に俺の前からスッと消えていったような気がするぞ……。でもその前によく分からない人間と何か話をしてから消えたんだったかな? うーん……、思い出せないや……」


「でも人間を驚かせるというのは間違いないはずだ!! 俺も人間を驚かせてやろう!! そうすれば俺も成仏できりはずだ!! しかし俺は驚かすってのは本当は好きじゃなかったから今までやらなかったけど、もうそんなことは言ってられないよっ!! よし! 今日から、いや、明日からやってやるぞっ!!」


 山田部長の演技は完璧だった。


 ノブも照明係をやりながら山田のセリフを聞き入っていた。


「おっ!? 女性二人がこっちに歩いてくるぞ!! なんだかフラフラして変な歩き方だが、まぁ大丈夫だろう……」


 山田はお墓の後ろに隠れて驚かせるタイミングを待っている。

 その墓の後ろの木(高山)の枝がユラユラと揺れている。


 結局腕を支えると揺れている枝を表現できないということで本番だけ腕を上げるという事で落ち着いたのである。


「ヒック……ヒック……。あぁ、今日はよく飲んだわねぇ……? ヒック……、男性社員よりも私達の方がいっぱい飲んだ気がするわねぇぇ? ヒック……」


「そうね、ジュン。私も調子に乗って久しぶりによく飲んだなぁ……、ウッ!!」

 マキがうずくまる。


「えっ!? マキ、大丈夫? 気分悪いの? そこのお墓の前で休憩する?」

 六年の安達と轟の演技もなかなかなものである。


 お墓を挟み幽霊とマキが向き合った状態になっている。


 そして幽霊がお墓の後ろからマキを驚かせようとした瞬間、幽霊の後ろから女の声で


「お前誰だーっ!? こんな夜中に何をしてるんだーっ!?」


 酔っ払って気が大きくなっているジュンが大きな声で幽霊に対して怒鳴った。


 幽霊は驚き慌ててお墓の前に出た瞬間、マキが幽霊の顔を見るなり


「オエ――――――ッ!!」


「ギャ――――――ッ!! 汚――――――いっ!!」


 幽霊はそう叫びながら逃げ出した。


 この場面で会場からはソコソコの笑いがあったが、ノブが期待しているほどではなかった。


 【次の場面】


「昨日は散々な目にあったが、あれは二人いたからだ……。初めて驚かせるんだから最初は一人の方が良かったんだろうな……。おっ! 向こうから男が一人で歩いてくるぞっ!! よし、お墓の後ろに隠れrとしよう」


 そして幽霊は昨夜のリベンジで一人で歩いている男を驚かせようと男の前に「わっ!」と言いながら現れた。


 だが幽霊は男の顔を見て逆に驚いた。

 傷だらけの顔で眉毛が無くめちゃめちゃ怖い顔だったからだ。


「ギャ――――――ッ!! 顔が怖――――――いっ!!」


 またまた幽霊は逃げ出した。

 途中お墓にもぶつかり、コケてしまった(山田のアドリブ)が再び立ち上がり逃げて行った。


 観客の反応は所々でクスクス笑い声が聞こえる程度だったが幽霊が逃げた後に強面役の天野が正面の観客の方に向き直し、首をかしげながら頭をボリボリかくと、会場中大爆笑になった。


 ノブは天野の場面はウケると自信があったが幽霊が驚いて逃げる場面も、もっと笑いがとれると思っていたので少し複雑な気持ちで見ていた。


「山口先生が言っていた『内容は良いけど』というのはそういう事だったのか……」

 

 ノブの担任奥平が小声で呟いた。


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