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四年生の僕が演劇部の副部長になるのですか?  作者: NOV
第1章 演劇部副部長誕生編
3/47

第3話 新副部長誕生!!

 山田部長が立ち上がり、ついに発表の時が来た......


「今回、本当にみんな良く頑張ってくれました。とても良い脚本が多かったですよ」


 山田部長の一言一言にノブの心臓は絶賛爆発寸前である。

 他の部員も同様であろう。更に部長の言葉が続く。


「良い脚本の中で特に良いと思った脚本が二つありました。それも五年生と四年生で一つずつ......」


 『五年生と四年生で一つずつ』と聞いてノブ、田中、佐藤の三名はおそらく気絶寸前であったであろう。


 福田はニヤニヤした顔で部長の方を見、高山は興味無さそうな顔で窓の外を眺めている。


 そんな中、山田部長が話の続きを始める。


「五年生で一番良かった脚本は佐藤さん...」


 名前を聞いた途端、キャーッと佐藤の雄たけびが教室を占領する。


「佐藤さん、静かにしなさい!!」


 顧問の山口先生が少し笑顔で佐藤に注意をした。


 そして山田部長が再度口を開く。


「四年生で一番良かった脚本は水井君です!!」


 佐藤の時よりも笑顔で大きな声でそう言った。


 ノブは佐藤と違い声が出なかった。


 ま...まさか俺が......?


 真剣に書いたのは書いたが、今まで日記程度しか書いたことの無い自分が初めて挑戦した脚本がまさか選ばれるとは......


 夢を見ているとしか思えない。


「へーっ!! 四生なのに凄い!! ほんと凄いよっ!!」


 五年の福田がとても嬉しそうに言った。


「くそっ......」


 自信があった田中から相変わらずノブにしか聞こえない声で呟いた。


「えっ!?」


 ずっと窓の外を眺めていた高山もさすがにノブの方を向き元々大きな目が更に大きくなり驚きを隠せない様子であった。


 教室が驚きと興奮でざわつきが収まらいまま山田部長は話し出す。


「今回、佐藤さんと水井君の作品で、どちらを採用するか最後までみんな悩んだんだけど最終的に水井君の脚本を採用することにしました!」


「佐藤さんの恋愛ものも良いんだけど、水井君の考えたストーリーは低学年の子達が観てもとても楽しいと思ったの。でもまぁ、少し修正は必要なんだけど......」


「なので七夕祭りで行う演劇は水井君の考えた脚本、『ドジな幽霊』に決定します!!」


 『ドジな幽霊』......


 成仏できない気の小さい幽霊が墓地にいすわり続け、あまりにも暇なので勇気を振り絞って幽霊らしく通る人間を驚かせようとするが、ドジな性格が災いし、逆に次から次へと人間などに驚かせられ最後は逃げる時に幽霊なのにお墓にぶつかり、幽霊なのに大怪我をして最後は人間に助けてもらうという、ベタなストーリーである。


 佐藤はその時、悲壮な表情で山田部長を見ていた。

 その佐藤をチラッと見てから山田部長は話を続ける。


「今回水井君の脚本を採用しますので前から言っていた通り副部長は水井君にやってもらいたいのだけれど水井君いいかな?」


「えっ!? ぼっ...僕がですか!? 僕なんかでいいのかなぁ......」


「異議なし!! 大賛成!! 自分の脚本が選ばれたんだから自信を持っていいよ」


 福田がすかさず言い出した。


「僕のはSFだから小さい子には少し難しいかもしれないね......。み...水井の幽霊ものなら小さい子も、わ...分かりやすいですし......」


 田中も苦しい悔しい気持ちを押し殺して複雑な表情だが震えた声でノブを推した。


 それに続けて他の部員達も拍手をしながらノブの副部長に賛同した。

 ただ一人を除いて......


 その除かれた一人である佐藤の方を山田部長が向き直しある提案をしたのであった。


「ねぇ佐藤さん、私から一つお願いがあるんだけどいいかな?」


「えっ? な...なんですか?」


 佐藤が蚊の鳴くような声で答えた。


「実は来年のことなんだけど、来年の部長は佐藤さんにお願いしたいの。やっぱり部長は六年生がするべきだと思うし、水井君は来年まだ五年生だし...。佐藤さんは今の五年生の中でも一番実力もあるしやる気も一番あるし、部長にもってこいだと思うの。今年は私や水井君の補佐みたいな感じで来年に向けて頑張ってほしいなぁと......。どうかな? 嫌かな? 来年も演劇部に残ってくれたらの話だけどね......。運動部に行くなら無理は言えないんだけど......」


 山田部長の提案を聞いているうちに佐藤の悲壮な表情が段々柔らかくなり、一回下を向きそしてスクッと顔を上げると同時に


「はい!! わかりました!! 私、部長や水井君の補佐として頑張ります!!」


 佐藤は少し涙目だが表情はいつの間にか笑顔になり山田部長だけでなくノブに対しても笑顔でこう言った。


「水井君よろしくね。一緒に頑張りましょう!!」


 佐藤は山田部長に初めて認められて来年の部長の座も確約されて自分の脚本がノブに負けたことなど、もうどうでもよくなっていた。


 こうして一番ごねそうだった佐藤が喜んで水井副部長の補佐をすると宣言したので、断りたくても断りにくい状況になってしまったノブは渋々、四年生にして演劇部副部長となってしまった。


 部員全員に大きな拍手で歓迎されている様子を山田部長、佐藤次期部長、福田は笑顔で眺め、田中は作り笑いをしながらノブと握手をし、高山はなんとも言えない表情でノブを見つめていた。


 いずれにしても新副部長がようやく決まり演劇部は七夕祭りに向けてノブの脚本「ドジな幽霊」の稽古に入るのであった。

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