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桜 / 丘の上より
『桜』
せせらぐ川の上で
1本の桜の木は静かにそれから
幽けく悲しみを歌いました
「この声を決して聞かないでおくれ…、愛とは何でしょうか…愛は何処へ」
散り散りと
桜の花びらが藍色の空と重なる白雲を
覆いながら舞いました
その花びらはやがて
奥でそうそうと生えている
蘆や薺などのまにまを染めていきました
浮かばれる瀬というものが
見つけられないのだよ!
あの人が
来るまでは
自分自身が
成就するまで
『丘の上より』
きみとぼく
太陽の音楽がふりそそぐ空を
一緒に飛び交おう
どこまでも自由に
どこまでも愛と夢のなかで
木の葉に眠る宝石や
流るる川の讃歌を聴きにいこう
山に咲いている沙参や雷鳥を探しに行こう
深海魚は海を何色に照らすのだろう
きみの虹彩には何が映るのだろうか!
夜は一緒に
星屑の甘美な蜜をほうばり
風のベッドで休もうよ
ときどき三日月の舞踏会で
踊り明かそう
そうして
雨が降るように思い出そう
遥か昔からきみとぼくが一緒に
暮らしていた
青い裸の地球を
手を繋いで歩きだそう
命の故郷へ
そして
共に創ろう
新しい沃野を
ひとつなる世界を




