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大きな大きな / 夕闇
『大きな大きな』
大きな大きなひとつの
空という屋根の下に
大きな大きなひとつの
風の中で聲が
大きな大きなひとつの
血汐が波を打っている
大きな大きなひとつの
太陽の音楽が響き渡り
小さな小さな花が大きく大きく笑っている
ドレミファソラシド
大きな大きなひとつの
山も高鳴って雲を呼び
大きな大きなひとつの
呼吸の翼が広がる
大きな大きなひとつの
かみさまや生きもの
大きな大きなひとつの
大家族
『夕闇』
夕闇のなかで
1羽の鳥がさえずりました。
「なんでこんなにも酷く、美しいのだろう。」
このように、さえずりました。
それを聞いた
秋桜が言いました。
「なんでだろうね。それは、もしかしたら、この星が蒼白く、かがやいていたからだろうね。」
それから
スピカも言ったのです。
「そちらの調子はどうですか?私は、お陰様で、つつがなく暮らさて頂いております。」
そして
言葉は星や露のしずくのように明滅しました。
明日は
決して、来ないで欲しい。
時よ、止まれ。
未来は
この胸の中にあるのだから、と。




