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鈴 / 君のために ~この身を捧げて~
『鈴』
それは鳴りました
屋根の上まで
菊の子葉で
悲しみの中を
それから
白月が顔を出しました
それは鳴りました
たゆたう風の中まで
樹木のまにまで
AIロボットの戦慄の中を
それから
天国の玩具が椅子から落ちました
それは鳴りました
ウイルスの中まで
鶺鴒の囀ずりと一緒に
太陽の詩の中を
それから
子供は微笑みました
『君のために ~この身を捧げて~』
君が疲れたとき
喉元が渇き
日照りが続き
心が枯れてしまいそうなとき
僕が身を捧げて
雨の雫になろう
君が少しでも
潤い元気になりますように
君が悲しみ泣いているとき
その雨が止まないとき
雲が重なり
日を隠すとき
僕が身を捧げて
風になろう
風になって雨雲を動かし
君が少しでも
明るくなれますように
君が風雪に
耐え忍び、じっとしているき
風が冷たく
雪が積もるとき
僕が身を捧げて
暖炉の炎になろう
君が少しでも
暖かく日々を過ごせますように
君が情念の炎で
目が見えなくなり
見失ってしまい
分からなくなってしまったとき
僕が身を捧げて
花になろう
土に根を張り、空を見上げて
君を見つめ
君が少しでも
君らしくなれますように




