秋桜よ、秋桜 / 詩は木のよう、木は詩のよう
『秋桜よ、秋桜』
見知らぬこと
聞いたことがあること
見たことがあること
手に触れたことがあること
心で交わったことがあること
命のことば
愛の秘密
僕達の足下には
開かれた無辺の世界が
いつでも
どこにでも転がっている
けれども
閉じられた
心を無理矢理開くことはできない
開くときは
天然自然で開くものだと
あの秋桜が教えてくれた
秋桜よ、秋桜
かわいい、かわいい
秋桜よ
秋桜よ、秋桜
きれいな、きれいな
秋桜よ
一輪の秋桜から
忘れていた君の笑顔を思い出したよ
一輪の秋桜から
宇宙の星々のダンスが見えたよ
一輪の秋桜から
天国からの言葉が届いたよ
見知らぬこと
聞いたことがあること
見たことがあること
手に触れたことがあること
心で交わったことがあること
命のことば
愛の秘密
『詩は木のよう、木は詩のよう』
1つの言を伸ばし
梢では葉や花房をつけて
風の音色に
夢観ておどっている
幹は隆々としていて
木肌のまにまからは
命の故郷を想起させる
芳しい黄金の香りがする
韻律を樂しみ
先祖の土に
しっかりと根を生やし
地下水を産み
空に向かい
太陽に歌を歌い
まっさらに走っている
木 木 木 木 木 木 木
ー世界はまるで一本の木のよう。わたしたちはいつも木のように明け渡されているし、明け渡している。こうして、命を創造された御方の御心に想いを馳せるー
アルカナ※が話しかけようとしている
いつか
この花粉がこの大気を漂い
新たな生命と神秘を生もうとして
愛の高尚に到達する
いつか
それに人々は気付き
百千なる実りと彩りは
約束される、と
やがて鳥達が巣を作り
ここで憩い
ここで四季に萌え
ここで成熟し
翼にその雫をつけたまま
羽ばたき、世界は水晶のように
煌めいて、この豊饒な世界を讃えることだろう、と
わたしはふたたびこの木に立ち
影まるごと抱擁する
やがて木は幾年が経つほど
街や人々、生命を見守り
立ち続けることだろう
それから永遠の国にある
太陽の薔薇と泉を吸って
自らのエネルギーと交合し
溶け合い、織り成して
暁を告げる光の詩を
そっと
ささやき
続けるだろう
※自然の深奥にやどるエッセンス