天国の種/あいのくに / スズメ
献詩
かの黎明が
清新なその気魄を
世界に告げ、その金粉で
彼方此方は雅やかに染まり
木々や花冠が静かな息で
目を醒まし
大気にもその悦びを
まさしく歌っている
ああ
青春の太陽が心に走り
かの気高い理想が
今こそ
胸に宿ろうとしている
これから
ぼくは、この理想の剣によって
有象無象にさえ
自らの息吹きを吹きかけて
復活の命を能えようとしている
果てしない融合の旅が始まろうとしているんだ!
鳥達よ、歌え
まことの平和がやってくるように
花々よ、彩り咲きみだれよ
まことのよろこびが生まれてくるように
約束の虹よ
疲れた者や悲しんでいる者に
まことの希望を能えたまえ
今こそ、夢と憧れは
天使の翼となって
きみを
気高い深奥世界へと
連れていくだろう
その玉座には
粲然と光り輝く
愛の王が待っている
その源からの言を
手を取り合って
歌え、踊れ、描け
そこから
新たな世界が誕生し
太古の黄金さえも復活するだろう
いつでも
スピリットに立ち還り
素直な
幼子のようであれ
『天国の種』
わたしは
ある種を見つけました
その種をわたしは
必ず、育てていくのですが
その種は
地上に天国の愛や美が行き届くようになると
発芽し、茎を伸ばし、葉をつけて
だんだんと
成長していくようなのです
そうして
地上が完全に天国になるまでは
決して
開花はしません
そんな種を
わたしは見つけたのです
『あいのくに』
おとなもこどもも、はなも、たいようも
どうぶつも、ほしも、うちゅうも
おばけも、ゆにこーんも、ぬいぐるみも
てんしも、かみさまも
だれもが
み~~~~んな
かぞくだよ
さあ
ここにきて
あそぼう、あそぼう、あそぼう
うたおう、うたおう、うたおう
おどろう、おどろう、おどろう
えがこう、えがこう、えがこう
にじのぶらんこ、にじのぶらんこ、にじのぶらんこ
つきのぶとうかい、つきのぶとうかい、つきのぶとうかい
ひとつなるうた、ひとつなるうた、ひとつなるうた
ここは
むかしむかしからある
あいのくにだよ
『スズメ』
木の葉がさざ波のように音を立てて、揺れていました。それぞれの葉は陽の光を集めながら、ひとつの呼吸をし、合唱をしているのでした。そんな木々のこずえに、座っている小さなスズメがいました。
このスズメは、たいそう品が良いスズメでした。見た目は、尾びれに7本の白いスジが入っているくらいで、他のスズメ達と、ほとんど見分けがつきませんでした。ですが、物を食べたとしても、物には、依らないスズメでした。また、鳴き声が少しだけ、他のスズメ達よりは、ハスキーでした。
実は、このスズメは、天国からの御使いだったのです。
このスズメが人々の頭上を通り過ぎれば、その人々に、神様の祝福を与えるのでした。そのスズメが、ある店に留まれば、その店は不思議なほど、繁盛するのでした。
ある時、そのスズメが、街の噂になりました。
花屋の娘が街の人々に言いました。
「お客様、お客様、知っておられますか?この街には、幸運を呼ぶスズメがいるらしいですよ」
また、時計屋のおじいさんが言いました。
「なんでもそのスズメが来ると、店が繁盛するようじゃ」
それから、靴職人のお姉さんが言いました。
「声が少し、ハスキーみたいなのよ」
それと、プログラマーのお兄さんが言いました。
「尾びれには7本の白いスジが入っているみたいですよ」
天国の小さな御使いがこの街に、やってきてから幾日か経ち、小さな街でしたが、みるみるうちに栄えてきて、大きくなってきました。まるで、小さな種が大きな木になるように。
すると、なにやら、それを聞き知った異国の強欲な人達や盗人達が、大きくなった街に、紛れ込むようになりました。
ある三日月の晩のことです。
盗人達が言いました。
「噂のスズメを知っているかい?」
別の盗人が言いました。
「ああ、知ってる。知ってる。尾びれには七本のスジが入っているらしいな」
ある強欲な人達は言いました。
「なんでも、そのスズメは鳴き声がハスキーらしいぞ」
別の盗人が言いました。
「へっへっへ。そのスズメを鳥籠に入れれば、我が家の子孫代々は、繁栄するに違いないだろう」
三日月の光が差し込むなか、とうとう盗人達や強欲な人達が、仕事をはじめたのです。
盗人達の親分が言いました。
「あの強欲な奴らには、取らせないぞ!早くしろ、早くしろ!!」
強欲な人達の親分が言いました。
「手柄は、俺達のものだ!誰にも、渡さん!!」
その頃スズメは、とある車屋さんの近くに生えている木の枝に止まっていました。星々は、いつものように輝き、街の眠りを見守っていました。
そんな中、事件は
とうとう起きてしまったのです。
スズメが木の枝で休んでいるところを、強欲な人達の親分に、網で捕まえられてしまったのです。
この街の音や色彩は
くずおれて、暗くなりました。
強欲な人達の親分は言いました。
「はっはっはっ!これで我が家は、子孫代々まで大繁栄さ!」
強欲な人達の子分が言いました。
「親分、親分。手柄を少しでも、私達に分けて下さい」
それから、強欲な親分は、スズメを鳥籠に入れ、高価な骨董品や家具などが並ばれている、強欲な親分の家に、スズメを持ち去りました。
その時、スズメは、親分に言いました。
「あなたが私を持ち帰ったのですね。良いでしょう。あなたが、しあわせになれますように。あなたに天の祝福が訪れますように」
しかし、強欲な親分は、何をスズメがしゃべっているのかは、分かりませんでした。
そして、スズメが来てから、数日経ちましたある朝のことです。その強欲な親分の奥様が、不慮な事故で、亡くなってしまいました。
強欲な親分は、泣き叫びました。
「なんでだよ…。なんで俺がこんな目に合わなければならないんだ…」
悲しみに暮れる強欲な親分に、さらに、不幸が続きました。唯一の跡取り息子までもが、突然、心臓が止まり、亡くなってしまったのです。
強欲な親分は、悲嘆に泣きながら、あることを思いました。
「あのスズメだ…。あのスズメが家に来てから、散々な目に遭った。あのスズメはきっと悪魔だ!ああ、あんなスズメなんかより、愛する妻よ、愛する息子よ、、還ってきてくれ!」
それから強欲な親分は、立ち上がり、別の部屋にいる鳥籠のなかのスズメのところまで、悲しい想いを引きずりながら、歩いていきました。
そして、そのスズメがいる部屋に到着すると、叫びながら言いました。
「こんなスズメ…、どっかに逃がしてしまえ!!」
それから、強欲な親分は、鳥籠に入ったスズメを、外に、逃がしました。
それから幾日も、幾日も、強欲な親分は、泣きながら、神様に祈り、すがり続けました。
………。
そんななか、数日経ったあと、途方に暮れる強欲な親分の家からノックをする音がしました。
「トントントン…トントン」
そして、悲しい顔をした強欲な親分は、その玄関の扉を開けました。
すると、なんていうことでしょう!
死んだはずの、愛する妻と、一人息子が玄関の前に立っていたのです。
そして、親分は涙を流し、妻と一人息子を
心ゆくまで、抱きしめました。