真夜中の電話
"リンリンリンリンリンリンリンリン・・・・・・"
寝ていた僕の耳に、下の階で鳴り響く電話の音が飛び込んだ。
下の階にいた母が真夜中の電話に慌てる声がしっかりと聞こえた。
電話の音は消え、母の声が響く。
そして、下の階で母が呟く。
「ガサガサと音がするだけで、気味が悪いよ」
「無言電話か?」
上の階にいる僕には父の声もしっかりと聞こえた。
僕はあることに気づいて、枕元に置いてある携帯電話を手に取った。
そこには、数分前に自宅に発信した形跡が。
携帯電話で聴いていた音楽をそっと切り、何もなかったかのように目を閉じた。
音楽を聴くために使っていたイヤホン、それはボタンを押すと一発で電話がかかってしまうボタン付き片耳イヤホン。
音楽を聴いていて、いつの間にか寝てしまい、イヤホンは耳から外れ、身体でボタンが押されてしまったようだ。
僕は心を落ち着かせて、夢の中へと逃げ込んだ。