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ふ、普段、休日は転生とかしてますっ!  作者: ゴーヤちゃん
1章  強さだけでは飯は食えない
5/8

運動会でリレーの選手に選ばれる奴は大抵モテる

遅くなりましたm(_ _)m

「そろそろ時間だな……

 おい、ゴルゴンドーラとヘーゼッツはどうした」


「大魔王様、ゴルゴンドーラは4日前に、ヘーゼッツは1週間程前に死にました……

 どちらもあの古野英雄の仕業です」


「これで何人目だッ!?!?

 人間風情にここまで遅れをとるなど魔界創設以来初めての事ではないか!? 我の娘も……戦場に出たきり音信不通でな……あんな奴に負けるはずなどないが……もしもの事があったらと心配で心配で……うっ、うっうっ」 


「大魔王様……」


「もう沢山だ、これ以上の犠牲を増やす訳には行かぬ

 ……ストロガノン、あの準備を!」


「大魔王様まさかアレを!?」


「そうだ、天界に伝えろ

 ──近々“天下一運動会”を開催するとな!」


*****************


「ふひっふへへへへへ」

 ママーアノヒトヤバイカオシテルー、ミチャイケマセン!


 英雄は感謝していた。この世界で願いを叶えてくれると信じられている、神という存在に。空気の読めない女神達を育てた事や最近の理不尽な自分の扱いを恨んだ事も1度や2度ではなかったが……そんな事は水に流そうじゃないか!!


「いやっほぉーぃ!!!」


 さくらさんとの食事を来週に控えた英雄は誰の目にも分かるほど浮かれていたのだった。

 浮かれたオレは追加で神様に願った、どうかどうか来週まで何事も起きませんように、と。



──だが、意外にも願い通り何事もなく1週間が過ぎたオレは困惑していた。

 いつもはうるさい天界からの連絡がこの7日間全くなかったからだ。突然ここまで何も音沙汰ないと逆に心配になってくる。嵐の前の静けさというやつなのか、それとも何か問題でもあったのか。

 まぁ、良い流れに釘を刺すのはオレらしくないなと思ったので、出掛ける前に精一杯着飾った自分を鏡越しに最終審査する事にした。


「美容院に行けたし、両親に服も少し良いモノを買ってもらった。

 大丈夫、今のオレには神様も味方についてる!!! とうとうオレにも流れが来たんだ!」


 さくらさんとのデートのシミュレーションも昨日50回はした……今日からようやく、ようやく現実での生活が始められるんだ!!!

 しかし、上手くいっている時ほどアッサリと手のひら返されるということをオレは知っている。というかこの時学んだ。


プルルルル……プルルルル

 懐かしい旧型の固定電話への着信。以前までは生活の一部と化していた着信だ。久方ぶりに聞いた忌々しいはずのその音にオレは逆に安心感すら覚えていた。


ガチャ

「英雄さん、大変です!!

 今すぐこちらに来て頂きます!!」


「分かりました!行きますよ!」


 この時のオレはどんな顔をしていただろうか、大切なデートの約束をぶち壊された怒りを含んだ口調と一致する表情が出来ていただろうか。

 それとも感情を裏切った口角が少し上がっていただろうか。


 こうしてこの世界の古野英雄という存在は死亡し、古野英雄は1週間ぶりに110回目の転生をしたのだった。




「初めまして、神です」


「は?」


 天界に連れてこられたオレは目の前のムキムキなおじいさんが言っている事が分からず、素っ頓狂な声を上げてしまう。


「古野英雄さん、突然の招集にも関わらず協力感謝する

 天界を代表してお礼を言いたい」


「……え、マジで神様なんですか?」


「マジで神です」


「えっ?」


 人間本当に驚いた時って一周回って何もリアクションも出来ないんだなと感じた。こうして神様とお互い簡単な自己紹介を済ませると、いよいよ神様は本題について語り始めた。


「この世はいくつもの世界という空間によって成り立っていて、無数に存在する世界は天界と魔界それぞれが所有し管理するモノもあり、また独立しているモノもある。英雄くん、君の生まれた人間界は我々からは完全に独立した世界だ。

 失礼な話だが、我々は今まで人間など取るに足らない存在であると見くびっていた。だが、そんな中で君が現れた。魔界は焦ったのであろう、自分達の世界が、存在がこのままでは脅かされかねない…と

 そこで彼らは我々が古くから数多の世界を自らの管理下に置いた方法を行うと宣言したのだ──そう“天下一運動会”を──」


「はぁ」


 正直理解出来ない話が多すぎて半分も納得していなかったが、ツッコんでも期待出来ないと思ったので素直に自分の胸に落とし込む事にした。というか、運動会とかいうパワーワードが気になりすぎて他があまり印象に残っていなかった。


「それで、その天界と魔界との頂上決戦でオレは何をすればいいんですか??」


「ふっ、話が早くて助かる

 君には我が天界に加勢してもらい、我らの勝利に一役買ってもらいたいのだ」


「お断りします。」


「ありがとう……へ?」


「だって天界が勝ったら人間界は天界のモノになるんですよね? それってなんか嫌なのでお断りします」


「い、いや、我々が勝ったら人間界は独立させる!! 何なら君の望むモノを何だってあげてもいい!!

 魔界は只でさえ天界の力を上回っている!! 頼む、何としてでも魔界にこれ以上の力を与える訳にはいかないのだ!!」


 なるほど、つまりはそういう事か。魔界にこれ以上自分達より力をつけて欲しくないから人間界の戦力の1つであるオレを抑えて、それを止めようと。

 ただなぁ、オレの住む世界が誰かのモノになるなんて思いたくないし、それは何か癪だ。これに関しては関わらない方がいい気もするが、神様の言う事が本当であれば独立の為に天界に加勢してもいい気もする。

 そう迷いに迷っていると、神様が小さな声で呟いた。


「……人間の不運の大抵は魔界の者が呼び寄せている。それも人間界の所有が曖昧だからこそ遊びで手を出せるのだ。

 ──例えばの話だが、世の為人の為に尽くす者が無職で孤独などあってはならないと思わないかね?」


「やりましょう! よーし、魔界には絶対に負けませんよっ!!!」



 古野英雄の天界組としての天下一運動会への出場はこうして決まったのであった。










 





読んで頂いてありがとうございました\(^o^)/

最近私生活が忙しいので、落ち着くまでは投稿遅れるのをお許し下さると嬉しいです。

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