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ふ、普段、休日は転生とかしてますっ!  作者: ゴーヤちゃん
1章  強さだけでは飯は食えない
3/8

人生、苦の後に苦があるのも珍しくない

チッチッチッ

時は来た……今解放の時なり……

目覚めよ、我が力……神罰の獄炎(デス・ラグナロク)クロス・ブリング・マークⅨ!!


ガシャン、バキッ

 おおっと、危ない危ない貴重な“エンシェント・ヒーローズ☆ジャッジメントウォッチ”を破壊するとこだった、新しい目覚まし時計なんて買う金ないからな……

 時間ピッタリにオレの黒歴史間違いなしの激甘ボイスで起こしてくれるこの目覚ましは唯一無二の相棒なのだ。

 二度寝しようものなら、

“目を開けて、僕のお姫様(プリンセス)……”という特殊ボイスの追撃が来るらしいので未だに寝坊しらずだ。


 今日は病院へ向かう日。

 何も問題はないと医者には言われているが、両親を少しでも安心させる為に必ず行っている。

 朝食のめかぶとヨーグルトを食べ、日課のランニングの準備をしていたところ妙な違和感に気付く。


カサカサッ


 ゴミ箱の影に確かに見た……マジックミサイルの弾道ですら目視できる目が見間違えるはずなどない。

 一昨日確かに殺したはず……いや、しかし……あの禍々しいオーラはまさしく……

 ゴクリ、意を決してゴミ箱へと近づく。

そこに奴はいた、黒光りする──


“スパイ・G”

 戦争等に用いられる小型のスパイ道具である。

 自分に向けられる感情を察知するとそれを予知して自ら潜入場所を高速で移動可能であり、指定した場面の盗撮、盗聴の出来る超高性能AIを搭載した異世界のアイテム。

 蜘蛛と日本ではお馴染みのGがモチーフであり、女ウケが悪いのが玉にキズだ。


(またか……おそらくファンクラブの者の仕業だろうが……こんな向こうの世界でも一般販売していないものを一体どこで?)


 英雄は最近ストーカー被害に悩まされている。

 ポストに投函される長文の怪文書、繰り返される盗撮、盗聴。

 だが犯人がこの世界の者でもなく、はたまたどの世界の人かも分からないと話したところで警察が動くはずもないし、病院で両親が泣き崩れるのが目に見えている。


(困ったなー……そろそろ本格的に対処しないと……このままじゃまともに生活できないしなー)


 そう思いつつGを丁寧にティッシュで摘まみ、ゴミ箱へ捨てた。


*****************


「ああっ!!また壊されちゃった。」

「まぁ、一昨日は真剣な表情で何か書く英雄さん、今回はヨーグルトが綺麗に開けられて喜ぶ英雄さん、どっちも見れたからよしとしますか!」

「ふふふっ……ちょっと元気出て来た! まだ予定まで時間あるし、お手紙も書いちゃおっと!!」


 ()()はそう言うと 英雄様へ と“ラブレター”を綴り始めた。


*****************


「忘れ物はないし、服も髪型も問題ない……はず」


 実はこの古野英雄、病院へ行くのは少し楽しみでもある。

 カウンセラーのさくらさんは、現実世界の唯一の話相手であり、何より可愛いし優しい!

 これもオレが病院通いを止められない理由の1つでもある。

 今日こそ緊張しないで連絡先くらいは聞いてみたり……いや、焦らず行こう。

……よし!


「じゃ、行ってきまーす!」


 無人の部屋にそう別れを告げた。



 病院へは電車で5駅なのだが、まだ通勤時間帯という事もあり車内はとても窮屈で息苦しい。

 前にいる制服を着た少女も辛そうに震えており、見ていて可哀想だ。


「……っ、止めてください」


(ん……?どうしたんだろう?)


「こ、この人痴漢ですっ!!」


 その瞬間オレの右手は試合に勝ったボクサーばりに高く上げられた。

 これが黒羽乃環(くろはのわ)との初めての接触であり、同時に人生で英雄が味わった1番の危機である。





読んで頂き、ありがとうございます!

明日の投稿は0時頃になりますm(_ _)m

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