表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

焦がれる空






あの日もこの空を見ていた。

その横顔に、瞳に、腕に、あなたの全てに、私は恋をした。

もう聴くことのないあの音色の振動がいまも心で疼いている。


今日の神奈川の最高気温は十一度。真冬のような寒さに、今シーズン初めてコートを出した。

それでも靴下は短くて、スカートは膝上五センチ。足元が異常に冷える。

あの頃の私とは、制服のスカートの長さも、弾いているバイオリンの弦も、学校で流行ってる音楽も違う。

それでもまだ、変わらない想いはどこへ向ければいいのだろう。


たとえどんなに言葉にしても、あの人には届かない。

あの背中は、あまりにも遠すぎる。

だから私は、目を閉じて夢の続きを求めるのだ。

また逢うことができたなら、こんどはなにを演奏しようか。私のバイオリンを褒めてくれるかな。

やりたいことなら、たくさん思いつく。でも、それらを実際に叶えていく二人の姿はどうしても想像できないのである。


果てしなく降り注ぐ天上の音色にいまも思い焦がれて、私はバイオリンを弾く。

せわしなく流れる日々の雑踏のなかで、ひたすら願うのは、何十年後。

いつかこの身が朽ちる日が来たら、国のために散った、優しい笑顔の元へ還りたい。

あなたに寄り添い続けたい。

金木犀の香りがするあの高台で、あなたに巡り逢いたい。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ