男の1日
今日も1日が終わった。
憂鬱な気持ちを引きずりながらも、ポケットから家の鍵を取り出して、家へと入る。
静かで真っ暗な家に、重いため息をつきながら部屋の明かりを付ける。
廊下につく台所に、奥には扉が開いたままの部屋が一つ。
ワンルームの一人暮らしの部屋だった。
手にしていた袋から半額シールが貼られた弁当を取り出すと、そのまま電子レンジへ入れる。
ダイアログの表示を温めモードにすると、タイマーをセットする。
ジャケットを脱ぎ捨て、ネクタイを外しながらテレビの電源を入れる。
お遊戯のようなお笑い芸人の話に辟易としながら、テレビのリモコンでチャンネルを変えようとボタンを押す。
しかし、一向に変わらず男は舌打ちをしながら電池をとりはずし、買い置きしてある電池を探す。
アルミラックにある箱から電池を取り出して入れ直すと、ようやくいうことを聞くリモコンでに男の虚しさは、増すばかりであった。
今日の仕事もよく怒鳴られたーー。
男は1日の仕事を思い返しながら、再びため息を吐くと電子レンジが鳴る。
電子レンジから取り出すと、蓋を開けた。
香ばしい食欲をそそるビーフシチューの良い香が鼻腔をくすぐり、腹が主張するように鳴く。
テレビからはチャンネルを変えても失笑する芸人の漫才が流れ、辟易とする。
男は食事が終わると、空になった容器をゴミ箱へと捨て、おもむろにビニール紐を出した。
片方を開き戸のドアノブに結ぶと扉の上部へ紐を垂らす。
椅子を持ってきて、ある程度の長さで切るとそれを首へと結ぶ。
男は虚ろな表情で椅子を蹴り飛ばした。
お題
「ビーフシチュー」「ダイアログ」「電池」




