3話 チートに勝つ方法「思い立ったら即行動」
環境は一辺
なにもない荒野から
緑溢れる森の中で男と少年は相対していた
変わったのは環境と…
「はい…んじゃ正座だ正座」
「はぁ!?なんで正座なんか…」
少年が不服の意を示す前に
男の拳が少年の眼前に迫っていた
拳は鼻先に触れるスレスレの所で止まる
拳から発された風圧で少年の髪は大きくなびいた
そして後ろの木々は無惨にもなぎ倒された
圧倒的武力を目の前にした少年は萎縮した
「は、はい正座します」
「OKOKやっぱこれくらいの歳の子は素直な方が可愛いもんだね」
男はニコッと笑ってみせると
話を続けた
「んで、本題に入るけどお前のそのチートを奪い
元の世界に返すのが俺の役目だ」
「なんでそんなことを」
「そりゃ家にずっとウロチョロしてる非行少年がいたら取り締まるのが大人の仕事だしな」
「そんな…」
萎縮した少年はまるで親にしかられて拗ねる子供のようだった
「とりあえず審査をして正当な理由があるとこちらで認められた場合保留してやってもいい」
「審査ってなにやるの…?」
「まぁ質問にいくつか答えてもらう
もちろん虚偽の報告があった場合問答無用で強制送還だ」
「わかった!なんでも答えるよ!」
男は少年に視線を向け
静かに口を開く
「覚悟はいいか…?」
「来なよ…」
お互いの間に沈黙が訪れる
その空気はまるで真剣を持った達人同士がにらみ合い
様子を伺い合っているかのような
そんな殺伐とした空気だった
「好きな女性のタイプは!」
「え…えぇ!?」
少年は動揺するが
そんな少年を捲し立てるように男は言葉を続ける
「はい制限時間は10秒な
10、9、8、」
「ちょっと待って!言うから!」
少年は人差し指を額に当て少し考え混む
「んー…優しい人…かな」
男は大きくため息を付き肩をすくめる
「出たよ…困ったらこうとりあえずこう言っとけばいいやみたいな回答」
「いや…そんなつもりは…」
「本当は優しい人より巨乳が好きなんだろ?中学生なんて胸しか興味ない年頃だろ」
「否定は…でき…ない」
「まぁいいや本題に入ろう」
「今の本題じゃなかったの!?」
「お前はなんでこの世界に来たんだ?」
「えーと学校帰りに突如白い光に包まれて気付いたら異世界に…みたいな」
男はこの回答が嘘ではないと確信すると
淡々と質問を続ける
「目的は?」
「女神様が言うには魔王を倒して欲しいとか…なんとか」
ありきたりな内容だなと男は内心毒付く
「んで…お前は魔王を倒す方向で努力してるのか?」
「え…」
少年はバツが悪そうな顔をし
男から目を背ける
「倒す気すらないんだな?」
「いや…いつかは倒そうと…」
「いつか…?今倒せ」
「そんな…いきなりは無理だよ!」
「お前のその大剣と鎧は飾りか?」
「うぐ…っ」
「大方チートで無双ハーレムするのが楽しすぎて現実世界に帰りたくなくなったってところだろう?」
「……」
少年は俯いたまま
黙ってしまった
「気持ちは察するがチートは私利私欲に使っていいような力じゃない」
「でも魔王は本当に強くて…倒せるかどうか…」
「お前のチートがあればなんとかなるだろ」
「魔王もチートを使うらしいんだ…だからおそらくは魔王も俺達と同じ世界出身だと…思う」
「ほぅ…なるほどねぇ…」
男は口角を歪ませニヤリと笑った
「よし!一気に二人粛清できるならこれは好都合
今から殴り込みにいくぞ!」
「え…ちょっ!」
「さぁ!粛清の時間だ!」
男は少年を掴むと
思いっきり空の彼方に放り投げた
ヒロイン的なものも作らないと不味いですよね
と今さらながら焦ってます
いつかはヒロイン的なものも出す予定です