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溺れて、蝉時雨  作者: 鈴木罫
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 ◇


 雨の音を、聴いていた。

 薄暗い梅雨の日。閉じたカーテンの向こう側はひんやりとしていて、街はきっと全てが霞んでいるのだろう。


 

 ざあざあざあ


 降りしきる音の嵐に、自分と他との境界が曖昧になってゆく。

 目も閉じてしまえば、つまらない天井も無くなって、僕自身もそのまま消えてしまうかのようだった。

 

 

 ざあざあざあ


 うっすらとした眠気が、記憶と今をごちゃまぜにする。雨の音が、優しくて、眠い。このままずっと、降り続いてくれればいい。ずっとずっと、世界がぜんぶ溺れてしまうまで、降り続ければいい。


 そしたら、死んだあの人も、雨と一緒に、空から、帰ってくる気がした。



 ◇

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