1話 終わりへの分岐点
外世界より巨大飛空船を持ち帰って来た俺、アーラン・ロッド含む飛空開拓計画参加者達であるが、現在は本国であるガーヴィッド公国へ帰還していた。
というのも、持ち帰ったものが想定すらされていなかったものであったため、上層部もどう扱うべきかと混乱しているのだろう。
俺達の処遇については一旦置くと言った形になる。勿論、処罰みたいなものではないため、全員、ペリカヌを離れ、自分たちが住む場所へ戻ると言った形になった。
「この間の給金も支払われるって言うことだし、悪い印象は持たれていないと思うよ、僕ら」
本国へ戻り、そこで待機となれば、住み慣れた狭苦しい我が家へと帰って来ることになる。俺と弟のエイディスはその狭い部屋の中で、今後についてを話し合う。
「新情報が入った時点で、また招集って感じになれば一番助かるんだけどな」
「多分、そうなるとは思うけど、逆に、このまま飛空開拓計画が完了してしまうって危険性はあるんじゃない?」
「おいおい。そりゃまたなんでだ?」
漸く、成果らしいものを見つけて来たのではないか。そりゃあ今は混乱しているかもしれないが、それにしたって、ここで終わらせる理由になるとは思えないのだが。
「元々、この計画はあの巨大飛空船の存在を確認するための計画だったわけじゃない? そうして成果を手に入れた。それじゃあその後は?」
「そりゃあ、本来の開拓計画に戻るか、それとも巨大飛空船に関することでもっと外の情報を集めろと命令されるか……じゃないか?」
まさかここに来て解散なんてことにはならないと俺は思っているが、エイディスの方はまた違う考えを持っているらしい。
「その二つの選択肢のうち、後者になった場合が問題だよ。巨大飛空船は明らかに手に余る代物だ。今、こうやって僕らが一時待機なんてさせられているのがその証拠でさ。そんなもの、公募で集めた人材に任せっきりにするかなと思うんだ」
「なるほど……もしかしたら国の軍隊か何かに仕事を奪われるかもしれないって、そういうことか」
エイディスの言う通り、その可能性を考えれば、俺達の手からあの巨大飛空船に関わる物事が奪われてしまうという状況にも頷ける。
というか、そうなってしまう可能性の方が高いのではないだろうか? 俺達の方はちゃんとした成果を持ってきたからそれなりの応酬は払われるとして、計画は一旦中止。もしくは、もっと違う、それこそ正式な植民地を探せという命令で動かされる事になるのでは無いだろうか。
「ちょっと待て。そうなれば、俺達の目的はどうなる。漸く、あの飛空船を見つけたんだ。あとちょっと……あと少しかもしれないんだぜ? ここで止まるなんてことできるかよ」
「だよねぇ……もし、違う集団があの巨大飛空船を追うことになるんだったら、僕らも計画を抜けることを考えないと……」
「計画を抜ける?」
また、思いも寄らない言葉がエイディスから飛び出して来たため、つい聞き返してしまう。
「だって、その次に巨大飛空船の謎を追う集団に、僕らも潜り込まないとでしょ? まだそうと決まったわけじゃないけど、何時でも情報を集めて置かないと。身軽に動けるっていうのが、僕らの利点だ」
「……そうだな。その通りだ」
肯定の言葉を吐くものの、その実、少しばかり受け入れがたい部分を感じていた。
これはどうにもいけない。計画を抜けるということは、ペリカヌを降りるということだ。そうなれば、今まで旅をしてきた仲間とも別れることとなる。
そんな当たり前のことに抵抗を感じるなんて、復讐者が覚える感情ではあるまい。
「どうしたの? 兄さん。なんだか浮かない顔になったけど」
「どうにも……どうしたもんかなと思っただけさ」
本当に、どうするべきだろうか。復讐心が萎えたわけではない。ただ、ずっと続いてきた一つの事が終わりそうな……そんな寂しさを覚えているだけなのであるが。
「ちょっと、外歩いてくる。夜には戻るつまりだが、そっちはどうする?」
「僕? そうだね、僕も前の仕事場に足を運んでみるよ。給金が出るって言っても、何もしないっていうのは手持無沙汰だ」
お互い、部屋を出て歩き始めることを選んだ。今は待機中との命令であるが、本当に待機し続けるなんてことは、出来そうになかった。
外を歩き続ける。雨の降りそうな曇り空であるが、傘を持たずにだ。何かを持って歩く気分では無かった。
エイディスの様に、進む場所を決めての散歩では無かったため、目的も無くブラブラと進み続けた。
だから、こういう場所に辿り着いたのは単なる偶然なのかもしれない。いや、この街を出る前は、こういうルートでトレーニングなどをしていたため、足を運ぶ場所の一つの候補とはなるだろう。
セフィラ池。街近郊というか街の中にある池の一つ。飛空開拓計画が始まる少し前、ここである出会いをした。
今にして思うことであるが、ここはある種のスタートラインだったのかもしれない。人生には幾つか区切りというものがあるものの、その区切りがここにあるのだ。
ここで、一人の女性と出会った。それこそ単なる偶然でしか無い事だったが、人生の区切りと言われればそうだ。
そうして、またここで同じ女性と出会う。つまりは、また何かの区切りが訪れるということだろうか?
「そろそろ雨が降りそうですけれど……傘も差していらっしゃいませんわね?」
「まあ、多少濡れたって、風邪を引くような体じゃあありませんからね」
こんにちはの挨拶も無く、ペリカヌの艦長、アニーサ・メレウ・ラクリムが振り向く。遅れて彼女の長い金髪も宙を流れた。
彼女の姿を見ていると、どこか、幻想の世界へ迷い込んだような気がしてくるから不思議だ。彼女がきっとお姫様だからだろう。既に無くなった国の姫と言えども、俺の中ではずっとそうなのである。
「……なんとなく、あなたが来そうな気がしましたわ」
光栄な話だとは思わない。お姫様に運命染みた事を言われたところで、喜び勇む年齢では無くなってしまった。
もっと、子どもの頃。それこそ、まだラクリム国が存在していれば、違う感情だって生まれたのかもしれないが。
「なんでしょうね……俺はいるかもな、程度でしたよ。特に話すことは無いってのに」
アニーサ艦長を見つめながら、頭を掻く。艶っぽい話の一つでも出来ればキザになれるのかもしれないが、そうも行かない。彼女とは、もっとドロドロとした感情を向け合う仲になっているから。
「本当に? 話すことはありませんかしら?」
言われて、どうだったろうなと思い出そうとする。ここへやってくる上で、何か、理由は無かったか。
そうして、今でも肌身離さず持っている黒い球についての事を思い出した。
「選択肢は俺だけにって話だったが、まあ良いか。ここで相談するのも俺の選択だ。わざわざ、あの怪しい人形の意見なんざ汲まなくたって構うもんか」
「なんのことですの?」
首を傾げているアニーサ艦長。そんな彼女に、この黒い球を手に入れた時の話を聞かせてみることにした。
「信じてくれるかどうかなんてのは別の話なんで、まあ、ちょっとした暇つぶし程度で聞いて欲しい話なんですけどね……」
皆が存在を忘れてしまった、大穴の奥で出会った一体の、神を名乗る黒い人形について彼女に話をする。彼から渡された黒い球についても、実際に見せてだ。
「失礼を承知で聞かせていただきますけれど、本当の話ということでよろしいかしら?」
「冗談であれば、いちいち悩まなくても良かったんですけどね。まあ、この球がここに実際にある。どうせなら、これごと消えちまえば良いのにって思いますよ」
手に持ったままの黒い球を見つめつつ、アニーサ艦長の意見を待つ。馬鹿らしい話だと言われる可能性も想定している。そうやって言われるだけでも、まだ心は軽くなるだろう。
「……本当の話だとしても、意味のある話となるかどうかは別ですわね」
「人一人が抱えるにはいささか火力が過剰過ぎるものを持たされたって事実に、思うことはそんなもんで?」
「けれど、本当にそれが人形の言った通りの威力を出せるかどうかも分かりませんもの」
それはその通りであるが、身も蓋もない話でもある。
「道具というのは一度試されることで、初めてその価値が生まれます。どれだけ凄いという宣伝文句があったところで、一度も使われていない物であれば、それは単なる物でしかありませんわ」
「そうは言っても、これを手に入れた状況が状況で……」
「では、こういう話はどうでしょう? 今から石ころを一つ池に放り込みますわ。実はこの池は石を放り込むと、世界がそこから滅亡しますの」
そう言って、アニーサ艦長は石ころを一つ拾って、池に投げ込む。勿論、世界なんて滅びないし、池に石ころ一つ分の波紋しか生まれない。
「とまあ、世界が滅びるかもしれないなどと言う状況であったとしても、石ころ一つ池に投げ込んだところで、本当にそうなるわけではありません」
「だからこの球は意味の無いものだと?」
「使うまでは意味は生まれないと、そう申していますわ。使う前から考えたところで
詮無きことであるとも。もし、それが言われた通りの力を持っているとしても、それを使うと思わないでいる内は、存在を無視していればよろしいかと」
そうまで言われると、確かに意味の無いことで悩んでいた気がする。これは俺にとっても、単なる黒い球だ。それ以上の意味を持たない。黒い人形が何を言おうとも、この黒い球の力を見せられたわけで無いのだし、本当に、ただここにあるだけ。
「って、もしかして、悩み解決してもらいました? 俺?」
「心が軽くなったのでしたら幸いですわ。相談に乗った甲斐があるというものですわね」
やはり勝てないなと思う。飛空開拓計画では色んな人間と出会ったが、勝てないと思える人間と多く出会った気がする。そうして出会う度、何か、心が強くなった様な思いがしてくる。
勘違いだとしても、そう思えるのは喜ばしい事だ。
「しかし、幾ら例え話だって、世界が滅びるなんて例えはどうかと思いますよ?」
「確かに、少々はしたないもの言いではありましたわね」
お互い、漸く笑顔を向け合った。男女間の話なんて、笑顔で会話できるのが一番だろう。
本当に世界の滅びがやってきたのは、それから1週間後の事だった。
変化というのは唐突に起こる。何時だってそうだったし、きっとこれからもそうなのだ。ガーヴィッド公国の兵士が、何故か部屋にやってくる。そんなこと、予兆があるものでは無かろう。
「ええっと……何です?」
「アーラン・ロッドだな?」
そんな返事をされてしまうと、こう、ついつい反抗したくなってしまう。勿論、国の兵隊さんに反抗したって何にもならないことを知っているため、大人しくしておくが。
「まあ……同姓同名の別人じゃなけりゃあ……はい。あ、弟は出てますよ。ここんところ、ずっと前の仕事場に顔を出してて」
「それは知ってる。そちらにも人が行ってるからな。悪いが付いて来てもらうぞ」
言われてはいそうですかと従う相手に見えるのだろうか? そうだとしたら、俺も随分と丸くなった様に見えるのだろう。
しかし内心はまだまだ尖っているため、言葉での反抗くらいはしておく。
「付いて来いって言われて付いてくる人間なんて、最近じゃあ子どもですらいないと思うんだけどな。このまま扉閉めても良いか? 手、挟まない様に気を付けてくれると助かるんだが」
「仲間たちもすでに集まってる。後はお前だけなんだ」
「なんだって?」
追い返そうと思ったところを、むしろ良く聞いてみなければという気になってしまう。これが営業文句の類だとしたら、中々の腕だと言える。
「ペリカヌの搭乗員には全員集まってもらっている。逃げる様なら、それ相応の対処をとも命令されているが……悪いが大人しく従ってくれないか」
兵士の物言いはまだ気になるものの、どうにも俺は俺自身気づかぬうちに大人になっていたらしい。
これで詐欺に遭っていたりしたら完全に騙される形になるのであるが、そうでは無い様だ。
しかし一方で、幸運だったかと聞かれれば、むしろ悪い方だと言わざるを得ない。
「全員が本当に集まってるとはな」
ガーヴィッド公国の中央官庁。デカく高いその建物の片隅の一室にて、ペリカヌの人員が集められていた。
狭くはない部屋ではあるが、そもそもが大人数。余裕はあるものの、押し込まれたという印象は拭えない。
全員が全員、浮かない表情を浮かべているのも、部屋の雰囲気を悪くしている一因だった。
「どうやら、良い意味で呼び出されたわけではないらしいであるな!」
「あなたは何時も通りで良かったというか、唯一の安心材料ですね。待遇からして、表彰の一つでもされようって感じじゃないみたいですけど」
集められたペリカヌの人員は全員ではない。恐らく、すぐに集められる人員がとりあえず集められているのだろう。
その中の一人、ブラッホ・ライラホと、俺は情報の共有を進めていた。どうにも連れて来られは良いが、誰も集められた理由は分からないらしいのである。そんな者同士が話し合ったところで、新事実が分かるはずも無いが、それにしたって話し合いたくなるのが人情だ。
「本来的に、我々は成果を持ち帰り、歓迎される立場であったはず。それが一転してこの様な立場になったのであれば、それはつまり、持ち帰った物に何かが起こったと言えなくはないかね?」
「……有り得る話ですね」
やはりあんなデカブツ、持ち帰るべきでは無かったか。そもそもの部分で、俺は巨大飛空船を持ち帰ろうと考えた側であるため、罪悪感が湧く。
「けど、それよりもっとも厄介な事態は、実はそれとはまったく無関係で、僕らの想像も及ばない事態ってことじゃないですか?」
同じく、兵士に呼び出されていたエイディスが不吉な事を言う。確かに、厄介な事態だろうとも、想像できる事柄ならたかが知れている。覚悟というものが出来る分、大分マシなのだ。
「何で呼び出されたのか、直に説明なりなんなりあると思うであるがなぁ……」
が、その段階で分かっても落胆だけが待っていそうであったから、こうやってどうにか話し合っているのであった。例えそれが無駄な行為であっても。
「ふむ……もしやその説明。来たのかもしれんぞ」
ブラッホはそう言って、大部屋の入り口へ視線を向けた。そこから入って来るのは、やはりペリカヌの船員であったが、それでも特別な人間だったと言える。
なにせそれはアニーサ艦長だったからだ。
「艦長! これはいったいどういうことなのです!?」
船員の一人が、やってきたアニーサ艦長へ尋ねる。まず先に挨拶が無いのが失礼な物言いだが、ここにいる誰しもの本音だとも言える。
「みなさん。ここに集められたということで、薄々、勘付いた方もいらっしゃいますでしょうが、あえて言わせていただきますわ」
縋る様な目線に囲まれながら、一切表情を崩さず、真剣そのものなアニーサ艦長。その顔を見ただけでも、事態が相当に深刻であることが分かってしまう。
「重大な事が起こっています。わたくし達もその事について考えなければなりません。この後、何を、どうするべきかを」
分かってしまったからこそ、アニーサ艦長の言葉を静かに受け止める。騒ぐも怒鳴るも、まずは説明を聞いてからだと言う覚悟が出来てしまったから。
今日より3日ほど前、それは起こった。発見したのは外世界との境界線沿いにある村の一つ。
幾つか、鳥が飛んでいるとその村の住人は思ったらしい。その考えが改められたのは数時間が経ってから。空を飛ぶ鳥に見えたその影は、どんどん視界の中で大きくなって行ったからだ。
その影は飛空船だった。ひたすらに大きなその飛空船を、その村の住人は見たことが無かったらしい。
そうして、鳥に見えたそれは群れていた。そう、巨大飛空船が群れとなって空を飛んでいたのだ。
非常にゆっくりなその動きであったが、確実に内世界側へと向かっているその姿を見た村人たちは、恐れ、そうして村の長へと知らせた。その村の長もまた、自らの手に負えぬと村が所属している国家の上役へと伝える事となる。
結果、多くの観測士が村を訪れ、巨大飛空船の動向を観測する事に成功した。内世界の、それも進み続ければガーヴィッド公国がある場所へ真っすぐに進んでいる事が判明したのである。
「ゆっくりとした移動ってことらしいですが、具体的には何時頃にこの国へ? というか、本当にこの国が目当てなんですかね?」
アニーサ艦長からの話を聞きながら、俺はまず、確認しなければならない事を質問する。
「恐らく早くて明日にでも公国へ辿り着くと思われますわね」
ざわつきが部屋を満たしていく。幾ら何でも急すぎる。聞かされて明日にはその巨大飛空船の群れがやってくるなんて、信じる信じない以前に、意味を斟酌する時間すらない。
「この国が目当てかどうかの理由ですが、わたくし達が持ち帰った巨大飛空船との符合から、かなり高い可能性であると言えますわね」
「まってくれたまえよ、艦長。となるとだ、やはり我々が厄介な事をこの国へ持ち込んだということになるのかね?」
もし巨大飛空船の群れが、俺達が持ってきた巨大飛空船に関わるのであれば、そういうことになるだろう。責任は俺達にある……ということ。
「ええ。少なくとも、この国の統治者の方々はそう考えていらっしゃいますでしょうし、わたくし自身、わたくし達の行動が今の状況を生んでいると言えてしまいますわね」
「で、責任が俺達にあるとして、その責任の取り方って言うのは何なんだ?」
ここに集められたということは、責任を取らせるということのはずだ。だが、今の段階でも、国からの指示は無かった。
「まさかペリカヌに乗って、そいつらと戦えとか!?」
どこかで作業員班のバーリン・カラックの声が聞こえた。何時も通りの不平不満が込められた声であったが、何時もよりそれが強い。
「もっと酷い状況かもしれませんわね。わたくし達は国内の移動を禁止されました。勿論、ペリカヌへの搭乗もできません」
本当に酷い状況だった。俺達はただ、ガーヴィッド公国に縄縛りされた様なものだ。では、どうしてその様な命令をガーヴィッド公国は行ったのか。そちらに関しては想像するだけでも嫌な事であろう。だが、アニーサ艦長は慈悲も無く続きの言葉を発した。
「わたくし達は……もし、この度の一件がわたくし達の身だけで解決されるのなら、相手に差し出される立場となった。ということになりますわね……」
例の巨大飛空船の群れに、そんなことが通用するとも思えなかったが、そもそもが訳の分からない相手だ。どんな手も用意しておきたいだろうし、さらなる混乱も御免こうむると、そう言った具合か。
そうして、この場にいる大半の人間にとっては、死刑宣告に近い発言だったのだろう。場がざわつき始める。が、アニーサ艦長はあえて止めるつもりは無いらしかった。止めたって、どうすることもできないだろうから。
そんなざわつきの中、小声でブラッホ班長が話し掛けて来た。
「実際に差し出されるかどうかは別問題として、何も出来ない状況になってしまったというのは厄介であるな?」
どうにも他に騒ぐ人間と違う目をしているブラッホ班長。
「つまり、何かできたらするってことなんですかね? その物言いは」
「勿論だとも。手足縛られたわけで無ければ、解決方法が分からぬとも問題を解こうとする。私はどうにも、そういう類の人間でな。君らも同類だと思うのであるが……どうかね?」
ブラッホは俺とエイディスに目を向ける。さて、こう問われてどう答えるべきか。ああその通りと答えたくもあったが、もうちょっと別の言葉を口にしてみることにした。
「多分、アニーサ艦長もそうだと思いますね。他にも幾らか、そういう人間がいる。だったら……」
手を組む仲間は多い方が良い。良からぬ事をしでかすつもりなら。




