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熊。

夜中、また悲鳴は聞こえて、男の子はベッドの中で目を覚まします。廊下を出て、玄関口に向かうとますます声は聞こえましたが、ある時声がぱったりと聞こえなくなり、男の子は恐る恐るドアを開けました。外に出るとあの女性が、家の前で座り込んで泣いていました。男の子は様子を伺います。女性は気づくことなく嗚咽して泣いていましたが、ドアの閉まる音で、男の子に気づきました。じっと見つめる男の子に、女性は言います。

「何あんた、私は見せ物じゃない!」、

男の子はびくりとすると、家の中に駆け込みました。

そこまで見たところで、ひかりはまた男性のいる風景に流れ落ちるようにして戻りました。ひかりと同じものが見えたのか、男性に手を差し出していた女性も驚いた顔をしていました。二人の手を放すと、男性は胸ポケットにしまっていた、あの包み、男の子から預かった小さな包みを女性に差し出しました。女性は顔をしかめて尋ねます。

「何ですかそれ?」

「瞬君があなたにあげたいと」

女性は包みを受け取ると、顔をしかめたまま包みを開けました。中から出てきたのは、白い熊のぬいぐるみのキーホルダーでした。

「何よこれ」

女性は言います。

「あなたが熊を好きだと知っているようです」

女性は家の玄関口におかれた熊の置物を見下ろしてため息をつきました。

「会ってあげてくれませんか」

男性は言いました。女性は睨むように男性を見返しました。

「何が変わるっていうの」



それから女性と男性とひかりは、男の子の家へと向かって、女性は男の子の部屋で、男の子に向かって言いました。

「私に同情してるの?」

男の子は女性の威圧感に返事をできずにいました。

「あんたみたいな子供に何かできるようなことじゃないのよ」

女性はイラついた様子で言います。

「こんな…こんな熊」

女性の半ば恨めし気な声に、男の子は何か言いたげでしたが、実際に何かを言うことはありません。

「こんなのじゃ、私の人生は変わらないの、いくら好きなものをくれたって」

男の子が何も言えずにいたので、ひかりは思わず、女性に何かを言おうとしました。


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