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神様の勉学2

一話から見直して、少し違和感を感じたところを直していきたいと思います。

さて、いきなりだが確認しよう。

俺は、いや俺たちは何をしていた?―――テスト勉強だ。

では今はどうだ?――みんな、正確にはカルミア、仁奈、孝太、母さんが倒れている。

何をしていたんだ?―――遅くなった夕飯を食べていた。

それがどうしてこんなことになった?―――・・・俺が聞きたい。


「どうしたの?大地は食べないの?」


天使のような笑みを浮かべた悪魔、通称佳代が料理を俺に差し出してくる。

俺は助けを求めるようにリリィの方を向くが彼女も倒れてる奴らと同じくらい青ざめている。

・・・俺も同じような感じなのだろうか?

どちらにしろ彼女の手助けは無理だろう。


「はい、あ~ん」


普通ならこんな美少女にあ~んなんてとても嬉しいのだろう。しかし今はお金を払ってでも代わって欲しい。

クラスで俺を嫉妬の視線で見てた人~。今なら喜んで代わってあげますよ~!

そんなことを心の中で叫んだって状況は何も変わらない。

箸で掴まれた元は豆腐だったであろう得体のしれない物体がどんどん俺の口に近づいてくる。


「・・・大地、食べてくれないの?」


涙目アンド上目づかいで見つめられる。

・・・ダメだ。これに勝てる聖人君子がいたら出てきて欲しい。

目の前の物体が危険物と知りながらも恐る恐ると口を開けてしまう。

すると佳代は笑顔になって嬉しそうに俺の口に箸を運ぶ。


「・・・どう?大地」


咀嚼そしゃくしながらにじみ出てくる得体のしれない汁を気合でのどに通し、ぐにゃっとぱりっという相容れない感触が同時にしたモノも無理矢理飲み込む。

意識はもう途切れる寸前、まだ倒れていないリリィを見やる。

リリィも俺の方を見ている。

視線を交わし、アイコンタクトで言葉を伝える。

『頑張れ。後は任せた』

リリィは悲しさと苦痛、それからおそらく恐怖に顔を歪める。


「あれ?大地まで倒れちゃった。・・・やっぱり倒れるほど私の料理って美味しいのかな!」


全力で否定したかったがそうする気力が俺にはない。

・・・あ、やばい。もう本当に意識が。

すると走馬灯のようなものが頭の中に浮かんできた。

俺は走馬灯に従い振り返ってみる。





仁奈の参加が決まった。


「さて、休憩は終わりにして勉強に戻りましょうか」

「早くないですかリリィさん!もう少し休もうよ~」


それには俺も賛成だった。

正直1時間半も手と頭を動かし続け、まだあまり疲れが取れていない。


「あ、だったらちょうど夕飯にはいい時間だし、息抜きとしてゲームでもしながら料理をしないか?」

「お、いいね~、カルミアちゃん!」

「うん、楽しそう!」

「私も賛成!」


急なカルミアの提案にも孝太と佳代、仁奈の反応は上々だった。

リリィも口を出さないということは賛成ということでいいのだろう。


「う~ん、じゃあ内容はどうしようか・・・」

「あ、じゃあこういうのはどう?」


悩むカルミアに佳代がある提案をする。


「女子のみんなで一品ずつ料理して対決っていうのは!」


瞬間、今まで黙っていたリリィが急に顔を青くし、震え始めた。

・・・この光景、今日一回どっかで見たな。


「おお、いいなそれ!!」


それを思い出すより早くリリィと俺を除く全員が賛成の意を示した。


「ちょっ、待ちなさ―――」

「それで、具体的なルールはどうする?」

「待ちなさいって―――」

「そうね、審査員は大地と浅井くん、それから仁奈ちゃんも。仁奈ちゃんに料理はまだ少し早いからね」

「あなたたち、少しは―――」

「で、一人10点まで点数を付けられて最高が30点。私とリリィとカルミアちゃんでこの点数を競うの!」

「人の話を―――」

「オーケー!それで勝負しようじゃないか!」


リリィが抗議の声を上げようとするがことごとく佳代とカルミアに遮られてしまう。

そして賛成派が多いため数の暴力に逆らえず、どんどん話は先に進む。


「・・・大地さん、あなたは佳代の幼馴染なのですよね?」

「?ああ、そうだけど」


小声で俺に話しかけてくるリリィ。


「では佳代の料理の腕を知ってるんじゃないんですか!?」

「いや、俺たちが一緒にいたの5年も前だし、その時に料理なんか振る舞ってもらった事無いし」

「・・・そうですか」

「なにより、止めたくてももう手遅れだと思うぞ?」


みんなはやる気満々。今更何を言ってもくつがえりそうにない。

それはリリィもわかったのかもう抗議はしなかった。

・・・ただ、リリィの表情ががこれから戦場に行くかのような険しい顔つきに変わった。




「よし、これで完成だ!」


カルミアの声がキッチンから聞こえてくる。どうやらこれで全員の料理が完成したようだ。

テーブルには俺、孝太、仁奈、そしてさっき帰ってきた母さんが座っている。

母さんも仕事で疲れているだろうということで審査員側になっている。

初対面のリリィとは軽く挨拶を済ませ、母さんにとっても久しぶりの佳代は色々話したいこともあるだろうが料理中ということで早々に切り上げられた。

椅子に着いて待っているとキッチンから三人が料理にカバーを被せて見えないようにしながら運んで来た。


「それでは、まずは私の料理から!」


一番手はカルミア。

カルミアが作った料理は生姜焼きだ。いつもと変わらず、見た目は完璧。


「生姜焼きはな、ビタミンB1が豊富で疲労回復にもいいんだぞ。みんな勉強とか仕事とかで疲れてるだろうからどんどん食べてくれ!」


まあ内容や見た目はともかく大事なのは味だよな。といってもカルミアの料理は毎日弁当で食べてるからそんな心配もいらないのだが。

審査員一同、生姜焼きを一口齧る。

・・・・・・・・・・・・・・・。


「どうだ?」

「・・・すっげぇうまい!」

「いつも通り美味しいぞ」

「さすがカルミアちゃん!」

「いつもありがとね・・・」


最後のは感想なのだろうか?


「そうかそうか!それならよかった!」


全員きれいに食べ終わり、そのまま採点に移る。

カルミアの点数。俺10孝太10仁奈10母さん10、合計40


「わあ、いきなり満点・・・」

「さすが、やりますねカルミア」


佳代とリリィの料理の腕を知らないがカルミアの後には出しづらいだろうなぁ。

例え負けたとしても相手がカルミアじゃしょうがない。


「じゃあ次は私が―――」

「いえ、私が先に行きます」


佳代の声を遮って二番手になったのはリリィだ。


「私の料理はこれです」


そう言って出されたのはハンバーグ。しかし色が薄いので食材を変えたりと少し工夫したのだろう。


「これはつくねハンバーグです。中にはおからも入っています。食べる際はどうか大根おろしも一緒に食べてください。おからが入っていることでヘルシーになり、さらには大根おろしは消化を助ける働きがあります。それから食べ終わった後はプレーンヨーグルトに私が少々アレンジを加えたものがありますので、皆さんどうかお食べになってお腹の調子をよくしてください」


なぜこんなにも健康重視なのだろうか?

疑問に思いながらもハンバーグを口に運ぶ。

・・・・・・・・・・・・・・。


「・・・美味い」

「うん、これも美味しいわねリリィちゃん!」

「そうですか。ならよかったです」


さらにもう一口食べる。


「リリィちゃん、すっごく美味しいよ!」

「仁奈さん、どうですか?」

「うん、すっごく美味しい!」

「ありがとうございます」

「あれ?俺も同じこと言ったよね?」


ナチュラルにスルーされた孝太も含め、みんな好印象だった。

残っているハンバーグも食べているとふと気が付く。


「・・・ん?なんかこれどこかカルミアの味付けに似てないか?」


思ったことをそのまま口にするとカルミアとリリィが驚いたような顔をする。というか驚いていた。


「ど、どうしたんだよ。何かまずいこと言ったか?」

「い、いえ。少し驚いたもので。確かに私は一時期料理をカルミアに教えてもらいましたが・・・」

「へ~、そうなのか」

「うん。でもそこまで似てないと思うのによく気が付いたな」


まあ、そりゃ当たり前だろ。


「俺がカルミアの料理の味を忘れるわけないからな」

「・・・・・・・・・っ!」

「え、俺また何かまずいこと言っちゃった?」


カルミアもリリィも反応がなかったので地雷でも踏んだのか心配になってくる。


「いや、そうじゃない・・・」


しかしその言葉の後すぐにカルミアが反応してくれたので違ったようだ。

カルミアは顔を俯かせているので表情は分からないが、声が少し震えていた。


「ありがとう大地。そう言ってもらえて・・・・・本当に嬉しい」

「・・・おう」


・・・なぜだか空気が少しだけしんみりしてしまう。

だけどそんな空気も嫌ではなくて。


「おほん。・・・それで、私の料理の点数はどうなのですか?」


しかしそれはリリィの咳払いによって砕かれた。

そういや確かに審査がまだだったな。


「よし、じゃあみんな点数をどうぞっ!」


さっきまでとは違い、いつもの元気な声でカルミアが宣言した。

リリィの点数。俺9孝太10仁奈10母さん10、合計39


「むぅ、これまた高得点・・・」

「カルミアには負けましたか」


佳代とリリィがそれぞれ違う意味で唸る。


「大地さん、なぜ9点だったのか理由を聞いても?」

「ああ、別にいいぞ。といっても単純にカルミアの料理の方が美味しかったかな~ってだけだ」

「・・・そうですか」


リリィはその解答に対し笑みを浮かべて返した。

・・・ただ、その笑みが次の瞬間には意地悪なものに変わった。


「大地さんは私の料理が不味かったと・・・」

「え!?いやいや、料理はとても美味しかったぞ!ただカルミアの方が美味しいってだけで」

「やはり大地さんにとって私なんか永遠の2番だと言うのですね。ル○ージだと言うのですね」

「なんでそうなる!?そしてマ○オ知ってたのか!」


勝手なイメージながらリリィはゲームなんかしないと思っていました。


「そうして私はいつか捨てられていくのです・・・」

「何の話!?」

「疲れたので罵倒に変えます。大地さん、見る目と良い舌がありませんね。あんな小さな胸のどこがいいのですか?」

「さらっと罵倒に変えた!?」

「そして罵倒されてるの私じゃないか!?」


カルミアが巻き添えをくらって驚愕していた。

俺のせいじゃないけどなんかすまん。


「だいたい大地さんは目つきからして悪いので感性、五感、頭のすべてがおかしいのではないですか?だから子供に泣かれるのですよ」

「いつの間にそんな話になった!?それから目つき悪いのと後の3つは関係ないだろ!あと子供を泣かせた記憶もない!」

「はい、しゅーりょー!私の料理が冷めちゃうでしょ!」


俺が連続でツッコミを入れていると、まだ料理を披露していない佳代がしびれを切らして間に割り込んでくる。

佳代が乱入してくることでやっと罵倒が止まった。


「・・・このまま有耶無耶うやむやにしようと思っていたのにっ!」

「ん?リリィ、何か言った?」

「いえ、何も言ってませんよ佳代」


俺もリリィの口が動いたのは見えたのだが、間に佳代がいるのでよく聞き取れなかった。

ただリリィはまたも顔色を少しだけ悪くし、体を震わせていた。今日3度目だ。


「さ~て、本命の出番よ。自信作だからカルミアちゃんもリリィも食べていいよ!」

「いえ、私はお腹いっぱ―――」

「おぉ!いいのか!?ありがとう!リリィと一緒に食べさせてもらう!」

「うん。それではお披露目ひろめタ~イム」


言葉と共に皿に掛けられたカバーが取られていく。

現れた料理は・・・。


料理は・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・料理?


「なあ佳代。一応聞くがこれは何を作ったんだ?」

「麻婆豆腐!」

「・・・そうか」


知らなかったなぁ。麻婆豆腐ってこんな紫っぽい色してたのか~。

それと出来上がってから結構経つのにまだ汁がぽこぽこと泡を吹きだしてるとは、熱持ちがいいんだな。

挽肉ひきにくやネギ、豆腐など使われてる食材はいたって普通なのになんでこんなに不気味なんだろう。

審査員一同、言葉を失っております。

衝撃が大きすぎて言語に障害が出そうでござる。

・・・はっ!危ない、口にしてないのに意識が飛びかけた。

いや、この場合意識を失った方がいいのか。


「さぁみんな食べて食べて!」


佳代が無邪気な笑顔を浮かべて死刑宣告をしてきた。

俺は周りをゆっくりと見回す。みんな絶望しきった顔でどうしようかと顔に書いてある。

そしてリリィの方に視線が向いた時―――理解した。

なぜ今日の昼に弁当の話になった時、話を逸らそうとしたのか。

なぜ料理対決の時に反対しようとしたのか。

なぜ料理が健康、特にお腹の調子を良くするものだったのか。

なぜ佳代の料理発表の前にあんなに引っ張ったのか。

―――そう、すべては佳代の料理の腕を知っていたからだ。


「あ、ひとつの皿じゃあ食べづらいよね。私も小分けするための皿を持ってくるから!」


カルミアが料理を置いてキッチンの方へ去っていく。

このすきにみんな一斉に集合した。


「・・・どうする?」

「どうするって・・・あんなの食べれるのか?」


試しにスプーンで少しだけすくってみる。

すると中から鋭い目つきをした何かが・・・!


「ひっ!!?」


仁奈が小さく悲鳴を上げる。

よくよく見るとそれは魚の目だった。普通な食材ばかりではなくあの汁に異常な食材まで加わったらもはや兵器だ。

仁奈いわく兵器の佳代の胸に並ぶ兵器だ。


「これは食べれないだろ!」

「うん、無理!」

「私も食べたくないよお兄ちゃん!」

「リリィ!知ってたならなんで教えてくれない!」

「言わせてくれなかったのはあなたでしょ!」


リリィとカルミアが不穏な空気を醸し出す中、母さんが仲裁に入った。


「はいはい、ケンカはしない。・・・それにしても佳代ちゃんまさか料理が出来なかったなんて」

「それは置いといて。いや、それが原因なんだけど、どうするんだ、これ」


そういってもうなんて言ったらいいか分からない料理を指さす。

・・・あ、魚跳ねた。


「これは言い訳でも作って逃げるしかないよ!」

「そうだな、私も仁奈ちゃんに賛成だ」

「あぁ。それで具体的な理由は―――」

「おっ待たせ~!」


不意に佳代が帰ってきてみんなはバッと素早く距離を取る。


「あれ?みんな集まって何してたの?」

「い、いや。なんでもないぞ?」


みんなで視線をかわして中断された会議の結論を決める。

すなわち『自分の身は自分で守れ!』と。


「そう?じゃあ早速みんなに盛り付けるわね!」

「あ~、それなんだけどな佳代ちゃん」

「何?浅井さん」

「実は俺夕飯は小食でさ、結構お腹いっぱいなんだ」


孝太はさっそく言い訳を作り回避を試みる。

対する佳代は・・・。


「・・・一口も食べれない?」

「食べれますっ!!」


涙目と上目遣いのコンボ!

孝太はあっさりと負けてしまった。


「じゃあはい、どうぞ」

「うっ・・・」


しかしいざ料理を目の前に正気に戻ったようで、食べるのをためらっている。

そこに更なる追い討ちが。


「・・・早く感想聞きたいな」

「もぐもぐむしゃむしゃ!」


食べた!


「ぐほぁっ!」


そして死んだ!


「我が人生に一片の悔いなし・・・。姉ちゃん・・・」


最後に出る名前が姉ちゃんって・・・。そこは彼女の名前だせよ。

それはそうと佳代の料理は瞬殺できるレベルでやばいことが判明した。

俺もすぐさま理由を考えて回避しないと・・・!





10分後。そこには4人の死体が転がっていた。

そしてたった今、もう一つ新たな死体が増えるだろう。大地という人間の。





目を覚ますとそこは見慣れた天井と見慣れたカルミアの顔があった。

どうやら俺は寝ていたようだが・・・いつの間に眠っていたのだろう?

思い出そうとしているとカルミアが俺に気が付いた。


「お、大地起きたのか。おはよう」

「おう、おはよう」


挨拶を交わし、ふと今の自分の状況を考える。

目の前にはカルミアの顔。

そして後頭部は何か柔らかいものの上に乗っている。

・・・ということは。


「うわぁっ!どうしたんだ、いきなり飛び起きて?」


上体を起こし自分の頭があった場所を見る。

俺の予想が正しければ・・・。


「なんだ?枕が固くて痛かったか?」


そこには・・・普通の枕が置かれていた。

・・・まあそうだよな。普通に考えたら膝枕なんてするわけないよな。

まったく何を動揺しているんだ俺は・・・。


「そんなに私の膝は固いのかなぁ・・・?」

「やっぱり膝枕だったのか!」


だったらなんで枕があるんだよ。紛らわしいな。


「・・・あぁ、その枕はさっきまで仁奈ちゃんが使ってたんだ」


俺の視線を察してかカルミアが説明してくれた。

納得し、俺は立ち上がってから周りを見回す。

孝太とリリィ、仁奈と佳代がペアになって勉強していた。母さんの姿も見えないので起きたのは自分が最後なのだろう。

俺がきょろきょろしているとまたも察してくれたカルミアが説明してくれた。いつの間にこんなに察しがよくなったのだろうか。


「私が目を覚ました時に起きていたのはリリィと佳代ちゃんだけだったぞ。どうやったかは知らないけどあれはリリィがなんとかしてくれたみたいだ」


ふむ。今後のために後でどう対処したのか聞いておこう。


「それから美奈さん、孝太、仁奈ちゃんの順で起きてきたんだ。仁奈ちゃんが起きたのは大地が起きるほんの少し前だな」

「そうか」


時間を確認する。時刻は8時半前だった。だいたい30分くらい寝ていたらしい。


「それで孝太はどうするんだ?」

「そうだな・・・俺以外みんな勉強してることだし、俺も勉強するよ。一人休んでるのも居心地悪いしな」

「わかった。あとキッチンの方に簡単にだけど味噌汁を作ったからお腹が空いたら飲んでもいいぞ?」

「おう、さんきゅ」


こういうところはみんなのお姉さんって感じだな。

さて、俺もいつまでも呆けてないで勉強するかな。


「じゃあ大地、また分からないところがあったら何でも聞いてくれ」

「ああ」


俺は再び勉強道具を取り出し、目の前の問題に集中した。




「遅くまでお邪魔しました~」


あれから1時間半、俺たちは勉強に集中していた。

途中、ふと時計を見ると10時を少し回ったころ。時間も時間ということで三人は家に帰ることになった。


「本当に送らなくてもいいのか?」

「ええ、本当に残念ながら浅井さんと方向が同じようなので浅井さんに送ってもらいます」

「・・・そうか」


俺は孝太の家が二人のアパートの反対側だということを知っている。

本当、孝太はこういうときは気が遣えるし、かっこいいと思う。


「孝太、佳代ちゃんとリリィをしっかり送るんだぞ?」

「大丈夫だってカルミアちゃん。俺に任せなさい!・・・仁奈ちゃんもまたね!」

「はい!みなさん、また来てくださいね!」

「大地さんのお母様も、夜分遅くまで失礼しました」

「全然いいわよ~。むしろ家族が増えたみたいで嬉しいわ」

「・・・そうですか・・・」


母さんの言葉に少し照れたような、困ったような反応をするリリィ。


「・・・では、いつまでも話し込むのも悪いので失礼します」


別れの挨拶もほどほどに三人は背を向けて去って行った。




「・・・私たちも戻りましょっか」


母さんの言葉に返事をしないまま、みんなでリビングに戻る。

リビングには散らかったままの俺と仁奈の教科書。テーブルには空のコップが7つ。

その光景がさっきまでの様子を思い出させ、なんだか寂しさを感じさせる。


「・・・お兄ちゃん、今日は疲れちゃったから私もう寝るね。おやすみ」

「おう、おやすみ」


仁奈はささっと道具をまとめてリビングを後にする。

俺も道具をまとめながらぼ~っと立っているカルミアに声をかける。


「カルミア、俺も部屋に戻るから・・・」

「・・・・・・」


返事がなく、俺はいったん手を止めてカルミアの方を向く。

カルミアはさっきまでと変わらない様子で人の少なくなったリビングを見ていた。


「・・・カルミア?」

「・・・え、あ・・・どうしたんだ大地?」

「いや・・・俺も部屋に戻るから」

「そうか、じゃあ私も部屋に戻るよ。おやすみ」

「おう、おやすみ」


そう告げるとくるりと後ろを向いて、リビングを出ていった。

俺も道具をまとめ終え、コップを洗っている母さんに一言言ってから部屋に戻る。


「・・・ふぅ」


扉を閉め、一人溜息を吐く。

勉強ばかりで疲れたということもあるが、それ以上に得も言われぬ虚無感から溜息がこぼれた。

今日はこのまま寝てしまってもよかったのだが、俺はなんとなく道具を机に広げ、三度勉強を始める。

一日にこんなに勉強するのは初めてだからか、らしくもないことを考えてしまう。


・・・佳代と仁奈にじゃれついて、孝太がバカなことを言い、それにリリィが毒で返す。

母さんの温かい気遣いがあって、カルミアが皆を笑顔に変える。

――願わくば、ずっとこんな日が続いて欲しい。


こんにちは~。もしくはさようなら~。

意味がわかりませんね、自覚してますとも。


今日はこの「たったひとつの神様の願い」のこれからについて少しだけ話したいと思います。


なんか最初の方では「10話で完結する予定です」(今は編集で消しました)とか言っておきながら、もうすでに10話超えてるという・・・。

このあたりで計画性のなさが分かりますね。ダメ人間ですみません。

それで次のタイトルを予告しちゃいますと、ずばり「神様のケンカ」です!

でもみんなご存じ、計画性のない俺ですので変わる可能性大です。予告の意味ねえじゃん。

それで、次の話の最後あたりからシリアスな場面が増えていくと思います。

考えとしてはたった今言ったように次の話の最後あたりからシリアスに移行していき、20話あたりで本編終了。と、そんな理想を抱いています。

・・・話はそれますが、理想を叶えるのって大変難しいと思います。

それで、本編が終わったら、個人的に書きたい後日談やら番外編やらを書き、本編の伏線回収やら、つじつま合わせを行っていきたいと思います。


長くなりましたが、後書き終了!


ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!

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