表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

アンクール

作者: ネギ田。

「やだな、昨晩呼んでもらった」

「間違ってもデリヘル紛いを呼んだ覚えはないぞ」

「匿ってください」

「脈絡が無さ過ぎる」

「悪いやつに追われてるんです」

「てかその前に服着て、なんで裸なの?」

「服持ってないんですよ」

「じゃあここまでどうやって来たのさ」

「あの着ぐるみを着て来ました」

「通りで見覚えがないと思ったよ」

「さあ、匿ってください」

「てか、なんで俺?なんでここに来たの?」

「手頃なアパートを見つけて、開いてたのがここだったので」

「軽いノリで来るみたいなのやめろ」

「か弱い少女が悪いやつに追われてるんですよ?」

「分かったから、まず服着て」

「服持ってないですって、また着ぐるみ着るんですか」

「この部屋をカオスにしたくない。そこに畳んであるの適当に着てよ」

「なるほど、男装プレイですか」

「プレイから離れろ」




「これでいいですか」

「うん、とりあえずは。で、誰に追われてるって」

「だから、悪い人」

「もっと具体的に」

「ヤクザです」

「全然面白くない」

「ほんとですってば」

「じゃあなんで追われてるの」

「それが私にもよく分からなくて」

「なにそれ、わけも分からず追われるなんてないだろ。身に覚えないのか」

「強いて言うなら、私がそのヤクザと抗争してる組の娘ということくらいしか」

「ビンゴだよそれ」

「やっぱり」

「いやふざけんなよ、巻き込まれたら俺まで殺されるじゃんか」

「大丈夫、すぐには見つかりませんよ」

「時間の問題じゃあないんだよ」

「困ってる少女の話を聞かないなんて、良心痛みませんか」

「聞いた上で嫌だと言ってんだけど」

「少しの間でいいんです、迷惑はかけませんから」

「ここに来た時点で迷惑してんの」

「事の発端は末端の組員が相手にカチコミに行きまして」

「聞いてもないのに話し出しちゃったよ」

「その組員が行方を眩ましてしまって、ならケジメとして娘である私を殺すと相手の組長が言い出して」

「なんとも突飛な話だな」

「ですから、事が収まるまでここに」

「収まるまでって…そいつが見つかるまでってこと?」

「そうなんですかね?」

「いや、聞かれても」

「よろしくお願いします」

「嫌だよ」

「ならここで死にます」

「ふざけろ。って、え、ちょ、なにその拳銃」

「逃げてきた途中、すれ違ったお巡りさんから拝借しました」

「そんな気前の良いお巡りさんはお巡りさんじゃないから。盗ってきたんだろう」

「嫌と言うなら、これで自殺します」

「なんでもいいけど、出てけって」

「私の話の何を聞いてたんですか」

「どうせそんな度胸も無いんだろう」

「ありますよ。ただこれ、引き金硬いんですよ」

「じゃあ壊れてんだろ」

「日本の物はヤグいんですね」

「ほらほら、気が済んだら出てってって」

「出てってもいいんですけどね」

「え、何その物分かりの早さ」

「今出てったら見つかると思うんですよ。多分まだこの辺探しているでしょうし」

「知ったことか」

「もしこの部屋から出たところが見つかったら、匿ってたと思われてあなたも危ないと思うんですよ」

「少しの間なら居てもいいよ」

「ありがとうございます」





「普段は何されてるんですか」

「普段からこんな感じ」

「ニートなんですか」

「自宅を見張ってんの」

「ニートなんですね」

「うるせ」

「それはそうと、お腹空きました」

「自分の身の程分かってる?」

「そうは言っても、人間、食べなきゃ死んでしまうわけで。昨日だって、何も食べてないじゃないですか」

「慣れてるから」

「私は死んでしまいます」

「死ねばいいじゃん」

「そしたらあなた、誘拐犯になりますね」

「冷蔵庫になにかあんだろ」

「……何もないですよ?」

「マジで?」

「マジで」

「飲みかけのなんかあんだろ」

「すっからかんですね」

「じゃあ無いなぁ」

「喉が渇きました、お金ください」

「うるさいなぁ……そこに財布があったろ」

「不用心ですね」

「なにが」

「財布を持って逃げちゃうかもしれませんよ、私」

「大した金額入ってないし」

「……小銭ばっか」

「飲み物は買える」

「◯◯さん」

「なんだよ」

「探し物が見つかりました」

「そりゃ良かった。」

コメディ色が強くなってしまいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ