暗闇ノ中ノ少年
~暗闇ノ中ノ少年~
始まりは3日程前の事だ。その日は俺の誕生日だったから、一人バースデーでもしようと
思っていた。俺が暮らしてる街は小さくてボロかったが、店は幾つかあった。まあ、数える程
しかなかったが。俺は幾つかある店の中の一番古い店に自分用のプレゼントを買いに行った。
その店は俺が一度も行った事のない店で、怪しい噂がある店だった。何でも
一度入ったら永遠に出ることができないという噂だ。
プレゼントを買いに行きたいという訳もあったが、何より噂が本当か確かめたかった。
その日の昼頃、俺は一人でその店に向かった。
昔からあったような造りの店には看板などなく、異様な空気が充満していた。
もちろん客は俺一人しかいない。それどころか店なのに、奥には暗闇が広がっているだけで
店員は一人もいないし、棚も何もない。
一刻も早く帰りたかったが来てしまったからにはもう遅かった。仕方なく俺は
店の奥へと足を踏み入れた。
今更だが、この店には行かなかった方が良かったと思っている。
―なぜならこの店には・・・
店の中は薄暗くて、奥には暗闇が広がっていた。正直帰ろうか迷った。
何故かって?今は昼間だ。こんなに暗いのはどう見たっておかしいだろ?
だが、馬鹿な俺はそんな事なんて気にもしていなかった。
暗闇の中をしばらく歩いたところで俺は立ち止まった。前の方から誰かの笑い声が
聞こえてきたからだ。その声は歩く程に大きくなっていた。
さらに、奥へ進むほど、不気味な生き物の気配も強くなってくる。
とうとう俺は怖くなり、出口に向かって走り出した。
俺は走った。全力で走った。疲れなんて気にもせず、走り続けた。
しばらく走ると、あの声は聞こえなくなった。周りを見渡すと、店の入口まで来ていた。
安心して後ろを振り返ると・・・
「ッ!?」
そこにいたのは、血まみれでニヤニヤ笑っている少年の姿だった。
その少年の姿を俺は今でも忘れなかった。いや、忘れることができなかったんだ。
その少年の顔は、小さい頃の俺にそっくりだった。だが、顔は焼け爛れ、目は剥き出しに
なっていた。何故、アレが小さい頃の俺のように見えていたのか、わからなかった。
「ネェ、ドウシテボクト遊ンデクレナイノ?」
少年は、裂けた口を大きく開いて俺に話しかけてきた。俺は何が何だかわからなかった。
あの暗闇はどこへ続いているのか、この店は何のためにあるのか、
そして・・・アレは一体何なのか。
「ナンデ?ネェッ!ドウシテ遊ンデクレナイノ!?」
俺は怖くて逃げることも出来なかった。逃げたくとも、体が動かなかった。
そんな俺の様子を見た少年は、俺の腕を掴むとにっこり笑って俺にこう言った。
「遊ブノガ嫌ナラ、ボクノモノニナッテヨ?」
「・・・えっ!?」
下を見た俺は驚いた。足が黒い何かに飲みこまれていたからだ。
逃げようともがいたが無駄だった。
「モウ君ハボクノモノ。コレカラハ、ズット一緒ダヨ?」
俺は、黒い何かに飲み込まれていった。あと少しで頭まで飲み込まれそうになったとき、
ふと頭の中に一人の少年の笑顔が浮かび上がった。
・・・それは、あの少年によく似た、俺の弟の姿だった。
俺の弟は生まれつき体が弱かった。だから長くは生きられないって母が言ってた。
俺は、そんな弟が少しの間でも楽しく過ごせるようにって毎日遊んでやった。
でも、幸せな時間はそう続くものじゃない。弟が死んだのは小3の頃だった。
弟は、治す方法がまだない病気にかかった。その病気はかなり珍しいもので、
そして非常に残酷なものだった。弟の症状は悪化していった。俺はそんな弟を
毎日見守り続けた。そして、俺が弟と話す、最後の日がやってきた。
涙目になる俺を見て弟はこう言った。
「・・・お兄ちゃん。もしも、またどこかで出会えたのなら、今度は僕が・・・
お兄ちゃんを・・守って・・・ありが・・とう・・・・お兄ちゃん・・・。」
ピッ、ピッ、ピィー・・・・・
「おいッ!!死ぬなッ!!しっ・・・ぬぅなああっ!・・あぁ・・あああああああああああッ!!」
俺は弟が死んでからの事、三日三晩泣き続けた。
そして、今日の日まで弟の言葉を信じ、待ち続けた。またどこかで出会えると信じて―
・・・暗闇の中で、ボクはお兄ちゃんに話しかけた。
「お兄ちゃん・・・。今度はボクがお兄ちゃんを守るから・・・。
これからもいっぱい遊んでね。・・僕の大好きな・・・・お兄ちゃん・・・。」
祝!! 多分初投稿(*゜▽゜*)
こんにちは、月波海斗☪です。長編のやり方がわからなかったので、
短編作っていこうとおもいます。おかしな所があったら教えてください。
一日で短編ひとつはやっぱり僕には難しいですね。(^-^;