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《壱》総ての始まり、総ての終わり~覚醒~  その1‐2

すぐ続きです








鬼凛の顔はまた人形地味たものへと戻る。


瞳は鋭く、まるでこれからの心構えをしたかのように。



~御浦高校~

バスが高校近くへついたようだ。


そしてそれは校内に入った途端始まった。


゛売春女゛


゛化け物゛


゛悪魔゛


等々が書かれた紙が靴箱にたくさん貼られている。


「はぁ。こんなことに費やす時間があるなら、勉強でもなんでもすればいいのに・・


だいたい゛売春女゛なんて、 根も葉もない・・・」


無表情で、それを片づけてから、教室へ行くともっとひどかった。


机には落書きがされ、机の中にはどこから手に入れたのか蛇が入れられ、


しかも椅子には、花瓶の水と思われる水が・・


鬼凛は平然と用意しておいたタオルで椅子を拭く。




キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴った。


入って来た先生は、鬼凛に向かってと聞く。

「どうした?刈野」


「いえ。ただ、少し水をこぼしてしまっただけです。」


「そ・・そうか」


鬼凛は担任が薄々気づいて何もしていないことも、


担任が気にしているのが『私自身』ではなく、保護者であることも


知っていた。



内心、誰も彼もが自分を気味悪く思っていることも・・


そして、多分これで成績優秀者でなければ、何かと理由をつけられ、退学させられるだろうということも。


決して、いじめの首謀者達をかばっているわけではない。


何故 彼女-鬼凛-はいじめられているのだろうか?



---それは簡単なことである。


(ヒト)は、自分と違う者を本能的に拒絶する。


一人だけ、ありえない赤い瞳。



髪が黒なだけに、悪魔のようなイメージの色である。


しかも、彼女には、噂があった。


人を不幸にすると---


彼女が心許すのはただ一人兄だけ。





      -----------




鬼凛は、5限目中、なぜか耳鳴りがしたように感じた。


とてもひどい頭痛がした。


誰かの声がした。



『やっと・・・覚醒(めざ)められた。


やっと・・・還れる。


やっと・・貴方に出会えた』



鬼凛の脳裏にかけ巡るのはいくつもの断片・・・


誰かの記憶・・・声・・・



"だってこれは私の責任だもの"



"て・天女様だぁ-"



火に燃える家。



沢山の傷ついた人々。



そして・・・(アカ)の紋章。



"私も一緒に手伝ってあげる"


とても懐かしい声・・・



これは(ワタシ)じゃない。


誰、誰なの。


鬼凛の意識は途切れた。






 ーーーー





鬼凛が目覚めるとそこは、 保健室であった。


誰もいない、しーんとしている空間。


「あれ・・私・・なんだったんだろう。」


幸いそこに、かばんは置いてあった。


時間を見ると放課後の時間帯。5時過ぎ。


「嘘っ」


鬼凛は走った。


珍しく焦って。


高台にある学校を出、バスへ急ぐ。


歩道橋をかけ上がる。


その時に起こった。


かばんについていた赤い勾玉がないことに気がつく。


キーホルダー状にしてつけられたそれは、兄の始めての贈り物。



「あっらぁ~。刈野さんじゃなぁい。」

足らずな喋り方。

粧で作った顔。


言うなら、男好きそうな猫被り女。


化粧のおかげで化けてはいるが、それでも鬼凛の方が数倍美人だ。

《まぁ、男はこれにころっと騙されるが》


「愛野さん。どうしたんですか?」


「あんたさ、最近生意気なのよ。」


「それだけですか。急いでいるのですが」


クラスメイトや先生には、丁寧語。


これは彼女なりの嫌味である。


「こぉれぇ、なぁんだぁ~」


愛野は声を少し高くして言う。


手には、赤い勾玉のついたキーホルダー。


離せば、それは歩道橋の下、道路の上に落ちてしまう。


鬼凛は目の色を変えて、叫ぶ。


「返してっ!!」


愛野は鬼凛の声に驚き、キーホルダーから手を離す。


鬼凛は、身を乗り出し、キーホルダーを取った。

と思うと、下へと落ちた。












-死ぬ-












この時、鬼凛の目前に不思議な映像(ピジョン)が駆けた広がる赫い血。


沢山の血まみれの躰。


金色

       紅

      銀

               緑

そして 氷


鬼凛の身体は勝手に、くるりと回り、着地する。


鬼凛自身驚いていた。


彼女は、そこまで運動ができないからだ。



プップー


車のクラッションかま鳴らされる


そうでした。


まだ安全じゃないのでした


鬼凛が降りたのは、道路内今度こそ死ぬとい

う状況。


そこに1つの影が躍り出て、彼女を端へと引きずり込む車を運転していた人は車を止め、言う。


「危ないだろうが。

もう少し気をつけやがれ。これだから最近のやつは・・」


すいません。第三者として言うにも、テメェの

方がなテメェの目は節穴か?

という感じです。 アハッ


(ちょっと黒くなってしまった。←by作者)


「もう少しその煩い口を閉じて下さい。」


少し高めの声がした。


「あなたの目は節穴ですか。


彼女は何故かは分かりませんが、歩道橋から落ちたんです。


それで周りに気を配れるはずがないでしょう


あなたは馬鹿ですか?


ああ 馬鹿ですよね。


下りて心配の1つでもすると思いきや、いきなり怒鳴るんですものね。


それとも、あなたはあそこから落ちて、ちゃんと下に気を配れるんですか?


わぁ、凄いですね。


そうだとしたら尊敬します。[棒読み]


何か反論でも?[黒]


ああ馬鹿ですから理解できなかったかもしれませんね


デカいだけのウドの大木が。


それに、あなただって最近のヤツです。


もう十分。


で、それを含めて言うことは?」



「く・・」

男は逃げるように車で乗り去って行った。


先ほど凄いマンガントークを吐いていた人を見ると、まず目につくのは、金茶の髪である。


その髪は、夕暮れがかった日に当たり、オレンジのように見える。


また、次に驚くのは、その年背格好である。

年は12歳ほどであろう。


そして、先程の毒舌に似合わないほど、守りたくなるような女の子・・・いや女の子のような男の子である。 (なんか今スッゴいニラまれたような気が・・・)


瞳は髪に良く似合う藍色。 その色はまるで深海のような深い青。


さて、王子のような容姿で 大丈夫か と言うと、

思いきや、


「あんたも、馬鹿?」



開口一番がこれである。


さすがの我関せずの鬼凛も今回ばかりはそん

なこと全然忘れて唖然としている。


同じように色彩が異なるからであろうか?

なぜか懐かしい気持ちが


心を駆けて行くのを鬼凛はいや彼女は感じた。



『・・・・』


何かが聞こえた・・・。


まぁ、いっか。



「だいたいさ。あんた何してたわけ?


「う・・て

いうかさっきの人に対する態度と・・(小声)」


何か言った?


小学生に助けられるなんて恥ずかしいと思わないわけ?


しかもお礼の1つもなし。


あぁーあ「別に助けてなんか・・」何?」


「すいません」


鬼凛さん押されています。


でも、それは、鬼凛にとって他の人と同じ扱いを"自分"にしてくれるということ。



"鬼子:鬼凛/不幸の子"


でも



"神野コーポレーション専務を兄に持つ刈野鬼凛" 


でもなく、鬼凛自身のありのままを。






「おいおい、その辺にしといてやれよ。少年。」


「何?あんた。」


毒舌を止めたというのだろうか?


いや、矛先が変わっただけだ。


その人間は、男だろうか・・?


毒舌少年とは、少し色合いが違い、黄金のような金髪を無造作に伸ばし、肩を過ぎるくらい。


瞳は、透き通るような青いや水色。


身体は細身だが、目鼻立ちははっきりとし、正直言って、美人な男の人である。


年の頃は、20代であろうが、まぁ、落ち着いた大人という感じではない。


「その通りですよ。」


穏やかな声が飛び込んで来た。


低めのアルトであろうか?


その声の主は、女の人だ。(見た目がな)


年の頃は、青年と同じ20代ほどだろうが、落ち着いた大人なのだろう。


髪は普通の黒髪で、ウェーブがかっていて、かなり長い。


碧の瞳が、目に止まる。


なぜか中性的である。


なんか女が男装してできなかったみたいな?


そんな感じがする。


背丈は高く170はあるだろう。青年と同じくらいだが。


決して、悪い印象を抱かない。(デカ女とかそういうの)


モデルのような人である。




「・・あなたと同じ制服の子が急いで、歩道橋を降りてるのが見えたんだけど・・

「なんでもありません。」


そう。」


鬼凛に向かって女性は話しかけるが、それは核心をつくものだった。


どうして話さないんだ


とお思いの人もいるでしょうが、彼女は同情をもらうのが、嫌なのです。


自分が弱いようで。


「3人共、心配していただいてありがとうござ

います。

あの、私急いでいるので、これで、失礼します。」




4人はすれ違って行く。


この出会いは




偶然でなく必然




であった。




そして、今、運命の、残酷で、哀しい歯車が動き出す・・。





もうそれは誰にも止めることはできない。







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