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Japan Force  作者: 坂崎紗葵
第1章スラヴィニア反乱
3/32

Operation REDARMY

「名古屋02から本部。マルタイのトレーラーを確保」


「こちら本部、了解」



3台のパトカーは道を走り始めた



「名古屋01から名古屋02、ETCを使い、高速道路へ進入する」


「名古屋02了解」





「こちら航空隊あけぼの。付近一帯に異常な車両はない」


「名古屋03了解。名古屋03から護送車どうぞ」


「こちら護送車、どうぞ」


「マルタイに異常は?送れ」


「なし、以上」



3台のパトカーと護送車はETCを使って名古屋高速に進入した



あたりは非常線が張られ、一般車は進入できない






「行くぞ」



2台のハマーH1は高速道路の封鎖された通路近くから出発した







「こちら航空隊あかつき。第7セクションに不審な大型車を発見。色は緑、大型のSUVに見える。どうぞ」


「こちら本部、付近のPC(警察車両)はこれに職質をかけろ」


「こちら小牧01、了解。直ちに向かう」





1台のパトカーがハマーH1の近くに寄ってきた



「喜美谷隊長、警察です」



と隊員が声をかけると


「わかった。大矢、行動に出ろ」


「了解」




MD500Dは空域に侵入した




「こちら名古屋空港コントロール、JA76452機に告ぐ。現在空域は警察の管理下にあり飛行は不能。直ちに空域を離脱せよ」


「こちらJA76452機、機体に不備があり空域を離脱できない」


「了解した」



「こちら名古屋空港コントロール、JA6922.空域に故障したヘリが侵入する」


「了解」




航空警察隊は報告を受けたヘリを目視で発見した



黒塗りのMD500シリーズだ



「こちらJA6922から該当機へ。異常はどうか」



大矢は無線を返した


「こちらJA76452、問題ないが飛行に支障あり」


「こちらJA6922了解」





「おい、ドアを開けてもいいがまだSAMは出すなよ」


大矢は後ろに乗っている元レインジャーの自衛官にきつく言った




幾分か近づく



「JA6922,コントロールが効き難い為、そちらの機体付近を通過する」


「こちらJA6922了解」




大矢は本隊の喜美谷に連絡を取った



「こちら大矢、航空隊と接触。SAM発射許可を」



「こちら喜美谷、許可する。撃墜せよ」




大矢はキャビンの隊員に告げた


「SAM発射用意」



隊員達はてきぱきとイグラを組み立てる



「発射用意OK」



喜美谷は無線で連絡を入れた



「撃て」




隊員はスコープを覗き、ロックスイッチを押した



一般航空機はSAMで狙われることを想定しない。


無論、レーザー警報などない。



イグラは発射音を立ててJA6922に向かった




「機長、MD500が爆発音を」


「何?」


「?飛翔体が向かってきます」


「なっ、ミサイルだ!?」





JA6922は大爆発を起こした



近くを飛んでいたあけぼのは本部へと連絡を取った


「こちらJA21APから本部!」


「こちら本部どうぞ」


「JA6922がミサイルで撃墜された!」


「ミサ・・・本部からJA21AP、もう一度繰り返せ」


「ミサイルだ!ミサイルで撃ち落された!」


「本部よりJA21AP、何者だ」


「空域にいるMD500、JA76452より発射された模様!指示を!」



あけぼの機内のSAT隊員は豊和M1500狙撃銃にFMJ弾を装填し、本部へ発砲許可を問い合わせる


「こちら特機12、発砲許可を」


「こちら本部、現状でヘリコプターへの射撃は認められない」





「次弾装填」


隊員はイグラを捨て、新たなイグラを取り出す





「MD500,新しいミサイルを出したぞ!発砲許可!」


「こちら本部、許可は出せない!繰り返す!許可は出せない!」




そしてあけぼのは連絡を絶った。同時に炸裂音を残して



「航空隊との無線が途絶したぞ!どういうことだ!」



本部が置かれた愛知県警名古屋市警察本部では怒声と混乱が始まった。




ハマーを追跡していた所轄の渡辺巡査と村木巡査長はその撃墜劇を見ていた




「こ、こちら小牧01!2機のヘリは別のヘリに撃墜された!く、くりかえ」




ハマーの天板があき、元レンジャー隊員潟木2尉が頭を出す



全身グレーの都市迷彩に身を包み、肩には緑の筒を担ぐ大男だ



「む、村木巡査長!」



「くりかえ・・・・なんだあれは」





「VeryVery,グッドだねえ」



潟木はRPG-22を組み立て、スコープに警らパトカーを収める


「Boom!」



スイッチが押され、ロケット弾が発射される



パトカーのボンネットに命中し、爆発を起こす





「名古屋02から本部、爆発音が聞こえたが?」


「こちら本部、状況を確認中だ」




ハマー2台は警護隊へと近づいていた




「こちら第2検問所、本部どうかしたか?」


「こちら本部、付近で警らとの連絡が途絶した。注意を怠るな」







「隊長、検問です」


と四方村が言う



喜美谷は潟木にRPG-22の新しい弾をわたした



「吹っ飛ばせ。ETCごとな」






料金所に設置された検問所



6人のSAT隊員はMP5短機関銃で武装し、十分な訓練を受けていた



「センサーに車両反応」


パソコンを触っていた隊員がつげた



全員がMP5短機関銃を発射体制へと替える



「射撃用意」



さきほどから無線が途絶しているため、用心しての選択だった






SATの隊員は拡声器を用意する




「とまれ!とまれぇぇ!」




緑色の大型車はそのまま来る



「発砲許可願う!」




本部に問い合わせる



「許可する!」



ひとつ返事だった




「撃て!」




タタムタタム!と9mmパラベラム弾が吐き出される


しかし緑の大型車両は弾を受け付けなかった



「防弾ガラスだ、なめるなよ」


喜美谷はつぶやき、潟木に命令をだす



「撃て!」




天板が開かれ、瞬時にRPG-22は発射された



ロケット弾は料金所ごと検問所を爆破した





「名古屋03から護送車、武力トラブルだ。スピードを上げ、高速道路からの離脱を図る、どうぞ」


「こちら護送車、了解。援護を頼む」




護送車はスピードを上げた



ピラミッド体系の護送隊は鋭角となる




「連中スピードを上げたな。四方村、スピード出せ」




ハマーH12台はスピードを上げた





「巡査長、ハマーです!」



SAT隊員はMP5を取り出し、窓から身を乗り出す




「木島、やれ」



喜多村は後部座席に座っていた隊員に指示を出す



「後続車も攻撃を開始だ」



ハマーからも隊員が身を乗り出し、SIG552を構え、撃った




「発砲!発砲!」



SAT隊員は車内へ引っ込む



隊員達はパトカーの車輪を打ち抜いた



パトカーは制御を失い、くるくる回りながら縁石にぶつかっていく





ハマーは護送車を取り囲み、停止させた




「おまわりさん?出てこないと蜂の巣~。どうする~?」


隊員たちはハマーに運転手を残して小銃で取り囲んだ



SATの隊員達は怖気づき、MP5サブマシンガンを手からはずして護送車を降りた。



全員が手錠をつけられ、護送車に押し込められる




「貴様か、喜多村」


「ええ、小島先輩。どうぞこちらへ」



喜多村達テロリストは無事、小島勲を確保した









「今日は射撃訓練を行う。本日は89式5.56mm小銃を使用する」


俺は89式小銃を手に持ちながら隊員に説明する


俺は第2小隊での射撃スキルが高いため、教官をやっている。


仲沢、七宮、江崎、池田の隊員達は見よう見真似である。



「この89式5.56mm小銃は陸上自衛隊でも完全に採用された銃である。5.56×45mmNATO弾を使用し、30発をマガジンに装填する。基本的動作は


64式7.62mm小銃と変わらない。いいか、まずはこのボルトを引き、弾を薬室に装填する」



俺がやる動作を全員がまねをする



「肩に銃把を乗せ、脇をしめる。照準を覗き、目標にあわせる。このとき、セイフティが解除されているのを忘れるな。89式小銃はア・タ・レ鉄砲と呼ばれ、安全装置、単射、連射、そして3点バーストだ。」



全員がセレクターをカチカチと触る


「模擬弾薬だが人に当てれば殺傷力はある。人に銃口を向けるな。よし、次はセレクターをタにあわせろ」


カチッという音があたりに響く


俺はみんなの前からずれ、発射ブースに入った



そして弾を撃ちだす



タン、タン!と音が響く



「いいか、連射では敵に弾を当てることは出来ないんだ。単発射撃でゆっくりと撃つ。これが基本だ。よし、全員撃ち方はじめ!」



タン!タタン!タン!


真鍮の薬莢が当たりに散らばる



そのときだった



一人の3等陸曹が走ってくる


「坂崎先輩!大変です!」


後輩の野々村だった



「どうした、ノノ」


野々村は答える



「小牧市付近でテロリストが対戦車ロケットを乱射、護送中の囚人を奪取されたとの報告が!」


「はぁ?映画の見すぎだぞ」


「いえ!至急講義室に3等陸曹以上のクラスは集まれと!」



-12時20分 陸上自衛隊守山駐屯地- 



「先ほど午前11時ごろ、囚人を護送していた警察の車両部隊及び航空部隊が何者かによって破壊された。囚人は奪取、逃亡した」




第35普通科連隊連隊長「飯島直行」1等陸佐は重々しい口調で喋る。



「警察部隊は全力で犯人が使用したハマーH1を捜索しているがいまだ発見には至っていない。政府の見解としてこの件は隠密に進めたいらしい。そこで我々、第1、第2小隊投入が案として出ている」


第2小隊長、楢木2尉が質問をぶつけた



「我々でなくてもSATがいるでしょう」


飯島1佐は答えた


「SATは被害を受け、建て直しをしている。機動隊も動いてはいるが行動は無理だ。そこで一番近い我々がやることになった」


神部1曹が質問をする



「発砲許可は出ていないんでしょう?」


飯島1佐は頷く


「我々に許されたのは特殊閃光弾と威嚇射撃だ」



里中3尉が口を開いた



「死傷者数見込みは」


飯島1佐は口を開かなかった




「我々はいかなるときもやる事をやってのけることが出来る力を持っている。それでこそ国防だ」


幹康貴2等陸尉が口を開いた



「条件をつける。明野のAH-1Sとうちの師団のUH-1を出せ。これらには自由射撃を許可させろ」



飯島1佐は渋る


「しかしだな、有事でもないのに発砲だなんて」



幹2尉は退けた


「有事なんだよ、十分!ロケット弾で武装したテロリストが今もこの愛知県にいるはずだ!」






-PM4時12分 愛知県春日井市西部-



「春日井153から本部、どうぞ」


「こちら本部、どうぞ」


「捜索車両と思われる大型車両を発見、位置は」



-PM5時22分 愛知県春日井市西部 廃工場-


「感づかれたか」


小島勲は重々しく口を開く



「想定済みですよ先輩。おい、四方村」



「はいっ」



「重機設置しろ。あとライフルで狙撃。OK?」


「はっ」






愛知県警機動隊は独自で作戦を展開していた



「第1小隊第2小隊は包囲網を敷け!第3小隊は狙撃だ!」



50人の機動隊員はポリカーカーボネート製のライオットシールドを装備し、手にはやっと配備されたシグザウエルP230拳銃があった




3人の狙撃手は廃工場から150mはなれたビルに入る




「狙撃班、配置につきました」



一人の狙撃手は豊和製M1500狙撃銃をもって中腰でスコープを覗き、二人は自衛隊から払い下げられた64式7.62mm小銃にスコープを乗せたものを構えていた。




「SWATの手本どおりだが、ちと雑魚の動きだな。重光」


「はっ」



一人の小男が走ってきた



「狙撃手をやれ。ぶっ殺していい」


「了解です」




重光と呼ばれたこの隊員は黒色のシートをかぶって廃工場の屋上へと出た


外は雨雲がかかっていてくらい


屋上には廃機材が点在し、身を隠すにはうってつけだ



「喜美谷さん、配置つきました」


「よし、じゃあやっちゃって」




重光は箱からシグブレーザーR93と呼ばれる最新式のライフルを取り出した


ボルトアクション式で、弾丸は7.62mm×51NATO弾を使う



金色の弾薬を薬室にいれ、ボルトを戻す



スコープを覗き、十字に機動隊狙撃班の一人をおさめた



「神よ我を許したまえ」



引き金を引く



サプレッサをつけているためマズルフラッシュもなく弾は機動隊員の額へと納められた



重光は無言でボルトを引き、空薬莢を排出する。そして次弾をこめる



そして自動小銃を持って慌てふためく機動隊員の額に発射する



3発目をこめるとき、建物の縁に弾丸が着弾した



しかし重光はあわてず、次弾を発射した





「狙撃班全員殉職!くりかえす、殉職した!」



機動隊が建物ににじり寄る





「重光サンキュー、おかげであせって近寄ってきたわ」



喜美谷は無線機でつげ、横に座っていた潟木に命令を出した



「潟木、重機で外にいるファランクス崩して来い」


「りょーかいっす」




潟木は武器ケースからKord重機銃をとりだした



ロシア製のKordは扱いやすいと有名で、密輸した武器では一番高価だった



「よし、やれ」


喜美谷の命令で潟木は窓ガラスが破れ、カーテンで隠してある窓に近づいた



ボックスの機銃弾を装填し、ボルトを引いた



2脚運用可能なため、バイポッドをとりつけてある



窓からそれを突き出した





機動隊員は窓から出てきたそれに驚愕した



「マシンガン!マシンガーーーン!!」



ドドドドドドドドと重々しい銃声を立て、Kordは前後に揺れる



ポリガーカーボネートの盾をやすやすと貫通する弾丸。



機動隊員は肉片となっていく



「てっ、撤退しろ!下がれ!下がれーー!」



盾を置いて逃げる機動隊に潟木は銃弾を浴びせた



背中を撃たれた隊員はそのまま事切れた



「潟木、そこまでだ。どけ」



喜美谷は潟木を制止した



そして場所を変わってRGD-5と呼ばれるソ連製手榴弾5個を外に投げつけた




爆発したのは3つだったが、それでも2人の機動隊員が重傷を負う結果になった




そして喜美谷は拡声器を持ち出して叫ぶ



「次抵抗したら全員根絶やし~。てぇだすんじゃねえぞぉ~?♪」







「機動隊員20名が死亡、15名が重傷・・・」



第10師団の基地にも一報が入った



「なぜおれ達を待たないんだ!」



陸上自衛隊には情報すら入っていなかった



幹2尉は飯島1佐に詰め寄る



「1佐、行きましょう」


しかし1佐は渋った



「し、しかし・・・だな」



そこへ楢木隊長も参加した



「行くべきです」





飯島1佐はしぶしぶ許可を出した





「全員、対テロ作戦だ」



俺は兵舎にいる隊員に話しかけた



「全員完全武装でヘリポートに集まれ」






5分後、ヘリポートには第1小隊第2小隊あわせて14名が集まる



「楢木隊長、説明を」



俺は楢木隊長に告げる





「全員、自衛隊として対テロ戦は自衛隊初の試みである。現場は春日井市だ。出身者もいるだろう。敵の数は不明だが、かなりの猛者だ。


多くの火器を使用し、警察官50人近くが殉職している」



隊員たちがざわめく



「しかし我々から死傷者を出すつもりはない。我々はUH-1で現地入りするが、UH-1の機銃掃射でまず敵を征圧する。そして突入だ」





UH-1が3機用意され、5人ずつ分乗する。



俺はUH-1の機銃手を任された



M2重機関銃はすでにドアに取り付けてあった





「坂崎教官・・・私不安なんです」



そう仲沢が喋る



衛生兵として彼女は乗っている



「足がすくんじゃって」



仲沢は両手で足を抑えているががたがた震えていた。



「仲沢、心配するな。誰も死なない」



そういうしかなかった



俺も手が震えていた









「現場に着きます」



パイロットがそういったときだった



空へと銃弾が放たれ、ヘリの機体にガンッ!と音を立てて当たった



「被弾!位置はどこだ」



機内では俺が一番階級が高いと思っていた



「坂崎2曹、俺のいうことを聞け!」



そこには吉山純太陸曹長がいた。


俺の高校の後輩にして最悪の人間だ。



キャリアで防大を出ている



「2曹、空域を離脱する!」



俺は拒否した



「曹長、むりだ。そこにいろ!」



俺は吉山を突き飛ばして席に座らせた



そして機銃に取り付いた



「パイロットさん!銃を撃つから撃ちやすい位置に頼む!」



ヘリは先ほど打たれた空域に戻った



窓から上に向けて撃たれていた




俺はボルトを引いて押しがねを押した




ドドドドドと心地よい振動と真鍮の薬莢が機内を転げ回る





潟木は反撃に驚いた



そして肩と腕に反動を感じた



「ブバッ!」



即死だった




「潟木!くそ、自衛隊機が発砲だと!」



喜美谷は驚いた



上にいる重光が危ない





重光はパイロットをブレイザーで狙っていたが照準が合わなかった





坂崎の射撃に反応し、残りのUH-1も発砲を始めた




ビルは12.7mm弾で大穴が開いていった





「おい、遮蔽物に入れ!」



弾丸が部屋内を転げまわった



5人が打たれて死んだ



「くそ」


喜美谷、四方村、小島、残った隊員は4人だ



喜美谷は大矢に無線連絡を取った



「大矢、打たれてる!援護できないか!」



脱出手段としてヘリは残してあったが、廃工場の裏にハイエースが隠してある



大矢は無線に答えた



「ええ!いけます!」





仲沢はヘリの座席からはなれた



坂崎はその行為に驚愕した



「仲沢、戻れ!」



ドアこそ閉まっているが危ない



仲沢はドアから窓を覗いた



「教官!屋上に人が!」



坂崎はその声をきき、建物屋上を見た



逆光でレンズが光っている男が居た



スナイパーだ



坂崎はすぐさまそこに一掃射をした







重光は体に3発の弾丸を受けて斃れる







しばらくすると弾薬がそこをついた



仲沢はまだ外を見ている




反撃はない




先導していた幹2尉の乗るUH-1が掃射した屋上に着陸した



隊員たちが中へと入っていくのが見えた




俺は新しい弾薬ボックスを池田にとらせた


M2機銃の空の弾薬ボックスをはずし、新しい箱をつける




パイロットが叫んだ



「2時の方向!ヘリコプター!」



機体が大きく動き、衝撃でドアが開いた



「きゃっ!」



俺は墜ちかけた仲沢の手を引っ張る



「あぶねえ!座ってろ!」




MD500は空域へと入った



屋上にUH-1がある。あそこへは降りれない



どうする



大矢が考えていると目の前のUH-1が撃ってきた



「うわっ!」


とっさに避ける



後部座席の隊員がすぐにRPK機銃を用意し撃ち始めた



用意がいい奴らだ





俺は敵が打ってきたことに驚いた



そしてM2機銃の銃身が折れるのも見た



敵の弾が銃身に当たり、折れたのだ



1丁しかない



反撃できない



そう思ったときだった


横で突然発砲音がした



驚いて横を見ると仲沢が89式小銃をヘリに向けて撃っているじゃないか!



しかも驚くほど正確で、ヘリのコックピット付近に当たっていた



数発撃った後、ヘリのコックピットに赤い花が咲いたように見えた



そしてヘリコプターはくるくると回り、人を落としながら雑木林へと墜ちていった




「教官、わたしやりました・・・!」



俺は思わず抱きしめてしまった



「よくやった仲沢!」







幹はなぜ自分が仰向けに寝そべっているのか分からなかった



撃たれた



ケド痛くない



でも動けないのだ



テロリストの弾は弱装弾だとすぐにわかった



「隊長が打たれたぞ!」



小関3等陸曹の声が聞こえた



彼はM249SAWを撃っていた



そして彼も倒れる






喜美谷は弱装弾に後悔していた



入り込んできた自衛隊にまず驚き、掃射をしたが倒れただけだった



喜美谷は横で味方が撃たれたのを見た



四方村ではない



だが戦友だ



小島はハイエースへと走り、四方村も走る



俺はここで死ぬんか?軍隊でもない連中に撃たれて



喜美谷はその考えを払拭し、閃光弾を投げた






2機目のUH-1はすでに地に足を下ろしていた



裏口から入った楢木には走ってくるテロリストに見覚えがあった



後輩、3期くらい後の自衛官だ



自らが特殊作戦群の前身組織中央即応集団時代に訓練した・・・・名前はたしか



「喜美谷!?」



喜美谷は自衛隊に自分の名前を言われたのに驚いた



そして言った隊員に見覚えがあった



即応隊時代の教官だ



「楢木ッ、くそ、四方村!早く出せ!」



ハイエースにエンジンがかかり、喜美谷は飛び込んだ



ハイエースは走り出した





上空にまだ居たUH-1にそのハイエースが確認できた





俺は震える仲沢に気づいた



「あっ、すまない!」


抱きついていたのはまずかった



池田が大笑いする


「教官ッ、それセクハラ!」


仲沢は震えながら言う



「いっ、いえ・・・緊張しただけですから」



顔が赤くなっている


「大丈夫か?」



「はい」





あぁあぁああ!ビックリした!なんで教官・・・突然・・・今じゃなくても・・・頼まれたら・・・って私は何を考え!




自問自答を脳内で繰り広げていた仲沢一士だった



パイロットが喋った



「したの部隊から攻撃要請です!あの車!」



俺は仲沢に再度頼んだ



「仲沢!あれ、撃てるか!」



下を走る車に指を指すと仲沢はこくんとうなずき


「やってみます・・・」

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