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Japan Force  作者: 坂崎紗葵
第3章中央情報隊第2小隊
24/32

マラカスの誘い

最初に惚気+エロ。注意です。

-12月31日大晦日 日本愛知県名古屋市守山区守山駐屯地-


From:凛

件名:お正月なんですけど


えっと・・・両親が見たいって・・・



件名;Reお正月なんですけど


お、うちの両親も言ってるんだよ。午前午後に分けるか?休みだから午前うちで午後そっちの家で


件名:Re2お正月なんですけど


あ、そうしましょう!あ・・・電話しますね♪



俺はかかってきた電話に対応する。


「おう、どした」


「ごーよーんさーんにーいーち・・・あけましておめでとうございます!」


時刻は12:00。2011年1月1日を指している。


「お、おお、よろしく」


「今年一年は楽しみです!修一が彼氏だから!」


「俺もお前がいて楽しみだよ・・・その、なんだ・・・結構真面目な話してもいいか?」


「えっ?はい」


「あー・・・お前と落ち着いたら結婚したい。まだ一ヶ月経ってないけど、俺はそれくらい好きなんだ」


「・・・ひゃっ、けけけけけ結婚ッ!?」


「うん。あー・・・嫌なら仕方ないつーかカッコ悪・・・」


「わ・・・私は大丈夫です」


「そ・・・うか、ありがとう」


「あ、お参り行きましょうよ!」




-1月1日午前7時 一宮市内の大きな神社-


「うわー混んでんなあ」


「そうですねー」


俺と凛は俺の地元の大きな神社に訪れていた。


「はぐれるなよー」


「はーい」


俺はしっかりと凛の手を握った。



「あれ?修一?修一じゃない?」


俺は会ってしまった。


「・・・鏡花」


「へ・・・あっ」


水月鏡花との遭遇だった。




私が見たのは理奈さんが怒気を露わにして怒っていた女性だった。


「あ、この前のコ?あ、新しい彼女?」


握っていた手が冷たくなるのを感じた。


そして小刻みに手が震える。


修一は完全に怯えている。


顔を見ると青くなっている。


精神的に来ている。


「修一・・・?」


私の問いかけにも反応をしない。


「鏡花・・・お前・・・近づくなって・・・」


「あはー、だって君のこともっと"壊したい”もの」


「・・・お前・・・」


「あの、悪いんですけどっ!」


私が思い切り前に出た。


「私と一緒にいるんで!」


「あ、そう。死ぬ?」



私は一瞬で非常な悪寒に襲われた。


「あ・・・え・・・・」


「凛、帰るぞ」




「あの・・・修一・・・?」


「・・・ごめんな」


「え?」


「俺は・・・アイツが嫌なんだ」





-9時15分 坂崎実家-


「うぃーっす」


「おじゃまします」


「あら、この間の・・・」


「えと、正式に彼女になりました仲沢凛です!」


おふくろになんちゅう事を


「あらー、そうなの?よかったわねー修一」


「それより親戚連中は?」


「今年は1月3日からね。今日は一応お父さんと理奈と健二がいるけど?」


「全員じゃねーか」


「あと健二の彼女」


「マジか」




「あ、凛ちゃんおひさー!」


「お久しぶりです」


「あ、正式?ねえ正式?兄貴」


「うるせえ馬鹿、てめぇはどうなんだ」


「わ、わたしだって・・・・」


「居ない」


「うるさいなもう!」



「凛はえっと・・・」


「兄貴ひさしぶ・・・あ?彼女?」


ここで健二が出てきた。


「そうだ。お前も連れてきてるんだろ?」


「うん。呼ぶ?」


「後でいいだろ。どうせ面合わせするんだろ?」


「まあ」



凛と俺は居間に入った。


「・・・あれ・・・ナナ?」



そこには七宮竜宮2等陸士が居た。



「あれ?知り合い?」


「知り合いも何も健二、同じ部隊!」


「えーまじか!」


どうやら七宮は健二の彼女らしい。驚くべき偶然。



ここで家長、父親の登場である。



「あー・・・愚息はふたりとも女を連れ込み、愚娘は男の気もなしか」


「うっさい糞オヤジ」


「・・・それで、と。自己紹介をお願いできるかな?」


親父の言葉に凛と七宮が反応する。


「えと、じゃあ私から。仲沢凛です。坂崎修一さんとは同じ部隊で知り合いました。前に一度お会いしましたよね」


「じゃあ次私ですね。七宮竜宮です。私も仲沢さんと同じ部隊で、健二さんとはコンパで知り合いました」


親父はうんうんとうなづき


「成る程・・・。それで、理奈は?」


「うっさい禿げろ」


「・・・もうヤダこの家族」




「それでみんな国防関係なわけだ。ここにいる人間は母さん以外そうだな?陸海空本部全部揃っている」


父の声に確かにという。


「健二って今どこ配属だったか?」


俺の問いに健二は


「機密って言いたいけど今は護衛艦きりしまに配属されてるよ、兄貴。親父は?」


親父は


「今はF-15J戦闘航空団の地上指揮官だ」


「なるほどね」


俺は理奈に話を振った


「理奈は?何開発してるんだ?」


「うーん、それは流石に言えないけど・・・そろそろ配備されるみたいですよ、私の作ったもの。ちなみに陸自のアイテム」


その答えに少し驚いた。


「へー、俺も使うかもしれないな」


「そうだとおもうよ」




「お邪魔しましたー」


「まだいればいいのに」


「俺これから凛の家も行かないといけないんだよ」


「だからスーツなのね?」


「じゃあおふくろまた今度」




-20分後 仲沢家実家-


「おかえりー、凛・・・あ、その人が?」


凛のお母さんにまず挨拶をする。


「坂崎修一です。凛さんの上司で・・・その、一応彼氏をやらさせてもらってます」


「かっこいい人つかんだわねー凛」


「お、お母さんッ!?」


凛に似て屈託の無い笑顔の人だ。


「凛の母です。よろしくお願いします」


「こちらこそ」


「お父さんももういるから、入って入って」




凛のお父さんは警察官だと聞いていてすごく怖そうな人を想像していた。


「あ、君がそう?うんよろしく。僕は凛の父親の仲沢純一。よろしくね」


フランクそうな人で一安心。


「坂崎修一です、よろしくお願いします」


「あーうんうん、かしこまらなくていいよ」


そう言いながらお父さんは煙草を灰皿に擦りつけて消す。


「うーんと・・・どっかで合ったことあるよ絶対」


突然だった


「え?いや、“お世話”になったという意味ではないと思いますが・・・」


「あー、仕事関連ではあるけど同じ立場として。思い出した。3年前このへんでちょっとした水害があった時!」



-3年前-



「陸上自衛隊到着しました」


大雨で堤防決壊寸前だった。


俺は当時2等陸士として災害派遣についていった時だった。


「僕は仲沢巡査部長です。向こうの堤防がキレかかっていますから土のうの運搬をお願いします!」


「わかりました!」



俺は指示に従って任務遂行していた。


その時にあった警察官だったのだ。



-現在-


「ああ・・・!」


「あん時はお疲れ様。さて、凛だけど・・・婚約と考えていいかな?」


突然の言葉に俺はこけかけ、凛は飲んでいたお茶を吹き出した。


「ごふっ・・・おとうさんっ!」


「真面目な話、自衛隊をやめさせる気ではいたからね。この間のPKO活動から」


「自分はPKO活動を2回行いました」


「あ、スラヴィニアとスプラトリーかい?」


「はい」


「なら戦場の怖さがわかってくれているよね」


「自分としても凛を置きたくはありません」


「うん。意見は一致しているね。凛は?」


凛はゆっくり顔を上げて


「私はあと一年やりたい・・・」


お父さんはその声に


「じゃあ、寿除籍じゃなくてこどもが出来たりとかしたらやめてよ?」


「こ、子供ッ!?」


俺もたじろぐ


「あの、さすがに子供は・・・」


「善は急げ、だね。僕は君のことを気に入っているし」


「それは・・・どうも」


「じゃあ婚約!」





「ごめんね、修一。お父さんが・・・」


「いや、俺も結婚したいし」


「・・・そっか♪」



晩御飯と風呂を頂いた俺は凛の部屋に泊まっていた。


「あの・・・私達もう大人だし・・・」


「?」


「その・・・体とかにも興味ある・・・し、さ?」


「俺は構わないけど・・・凛はいいのか?」


「・・・うん」


俺は手に汗を感じた。




結局俺達は所謂本番までは行かなかった。




「じゃーね、お父さんお母さん」


「修一くんに迷惑かけるんじゃないぞ、凛」


「わかってます!」



俺と凛は結局あのあと何かしたわけでもなく駐屯地へ戻った。



-1月2日明朝-


「おい、坂崎。起きろ」


「ん・・・?」


朝の目覚めを破ったのは富坂1等陸曹だった


「富坂さん・・・?」


「緊急招集だ、すまん起きてくれ」


「・・・はぁ、了解です」




-3時間後 太平洋上空-


「とにかくのせられたけど、明らかにこれは民間機じゃあないですよねー」


と、千葉3等陸曹


「アメリカ空軍所属機、C-130Gマリーキャットへようこそ」


突然の声に場に居た第2小隊の隊員が驚く。


「陸軍のサニー・スコッツ中佐です。責任者の方は?」


アメリカ軍女性士官は流暢な日本語を話した。


「私ですが」


真賀山2佐の答えに


「あ、そうですか。では作戦をご説明しろとあなたの上司から言われてますので」



「作戦はメキシコ、ヌエボラレドで行われます。相手はメキシコ麻薬カルテルの一つフェルナンドカルテル。


作戦内容は至ってシンプル。カルテルのおさであるホセ・フェルナンドの逮捕もしくは殺害です」


真賀山2佐は手を上げた。


「はい?」


「なぜアメリカが関わってるんだ?」


「この作戦は日本の中央情報隊と米陸軍第1特殊作戦部隊D分遣隊、通称デルタフォースとの連携作戦です」


「意思疎通が測れない」


「同時通訳がチームに入ります。そちらは全員英語が堪能だとお聞きしていますし?」


「まぁ、そうだが・・・」


「支援チームは第160特殊作戦航空連隊ナイトストーカーズがMH-60を出します。他にも一応AH-6リトルバードも」


「ヒュー!ミサイルポッドを積んだアレ?」


と、平城3等陸曹。


「はい、そうです。今作戦はメキシコ陸軍第3機動中隊フォーマスコリードがデルタとあなた方を支援することになっています」


三ツ矢3等陸佐が


「中隊の武装は?」


「はい、ERC-9090㎜カノン砲車とVCR装甲車です。ヘリは我々のナイトストーカーズで足ります」




-1月2日 PM11:00 アメリカニューメキシコ州カートランド空軍基地-


「中央情報隊、第2小隊。真賀山2等陸佐以下6名到着しました」


「デルタのアンドレイ・マッケンジー中佐だ、よろしく頼む」



-基地内 作戦説明室-


「まず敵はすでに我々デルタの精鋭6名を惨殺した。かなりの手練だ」


マッケンジー中佐は淡々と細かく全員に説明を行う。


「この作戦にはSOAR(第160特殊作戦航空連隊)の他、先ほどあったサニー・スコッツ中佐がAC-130SpookyでAWACSの代わりを行う。もしもの場合、Spookyの


ボフォース40㎜砲と25㎜機関砲での航空支援を行う手はずとなっている。105㎜砲は弾薬すら積んでいない。我々は民間人を殺さん。


敵勢力は主に街全てをカバーしているため、メキシコ軍との連携が肝だ。メキシコ軍はカルテル本部を攻撃する。我々はそこから逃げ出すホセを叩くんだ。


こちら側の兵員内訳はそちらが6名、うちが私は指揮官なので現地指揮官が別にいる。現地部隊はあわせて7名。メキシコ軍フォーマスコリードは200名となっている。


君たちは全員ファストロープは可能か?」


真賀山2佐が答える


「いえ、全員は不可能です中佐」


「ならばBルート、君たちはピックアップ3台に分乗してくれ。我々デルタはMH-60によるファストロープを行う」




-1月3日 AM2:00 ヌエボラレド市内-


「作戦決行予定はAM2:20です。お忘れなく。また司令部となるSpooky01の周波数はチャンネル2で」


「了解」



3台のピックアップは動き始めた。



俺は2号車の助手席に座り、運転席には真賀山2佐が座る。


「先頭車じゃなくていいんですか?」


「ん、まぁいいじゃないか」




『こちらSpooky01、メキシコ軍が陽動作戦を開始。作戦開始まで10分』



ピックアップはまとまって路地裏に待機していた。


当たりから砲声と銃声が轟く。



『こちらロダーマン61(MH60)、空域はクリアか?Spooky01』


『空域はクリアです、ロダーマン61。カルテルよりホセの逃走を確認し次第、作戦を行なってください』


『こちらミートチョッパー1(AH-6)、俺のバルカンとロケットはいつでもポテトスナックだ』


『了解です。アンダー1、そちらは?』



「こちらアンダー1、配置には付いている」


俺たちのコールサインはアンダー1である。



『作戦決行です。ロダーマン61、ミートチョッパー1、ミートチョッパー2はエリアシエラデルタへ、アンダー1、アンダー2、アンダー3はアルファフォックストロット

へ』



『じゃあ行きますよ真賀山さん!』


1号車の千葉3等陸曹の声で車列は動き出す。





-ミートチョッパー2-


「空域にはまぁ敵はなしと。メキシコ軍も派手にやるな」


「ホーヴァス中尉、見物もいいですが作戦中ですよ」


「あ、すまんなイーガル少尉。さてシステムチェックだ。バルカンの油圧は?」


「OKです」


「ロケットポッドは?」


「問題なし」


PPPPPPPPPPPPPPPPP


突如の警報音


「ミサイルアラート!、チャフで回避!」


「まにあわな-」



-AC-130Spooky01-


「ミートチョッパー2ロスト!」


「なんだと!」


「メキシコ軍の攻撃で落ちました!」


AC-130の機内に緊張が走る。



『こちらミートチョッパー1!メキシコ軍の対空砲攻撃を受けている!IFF(敵味方識別)はどうなってるんだっ!』


「こちらSpooky01です、状況を確認しますので-」


「ミートチョッパー1レーダーロスト!」


「ええっ!?」




-メキシコ軍第3機動中隊フォーマスコリード-


『こちらソーチェル、リトルバード撃破』


「あとはブラックホークとピックアップだ」


『了解』


フォーマスコリードの中隊長マルベガ・ユーティリティはフェルナンドカルテル本部に居た。


「この気にうちに来てくれると助かるんだけど?」


「どうせ国賊で追われますからお願いします」


「よしよし」


ホセ・フェルナンドは巧みに彼を買収していた。


「私の部隊は全員あなたの配下です」





-アンダー1-


「くそ、まだついてくる!平城さん追っ払ってよ!」


「やってるわ馬鹿!」


ピックアップ助手席から身を乗り出して平城はPP2000(ロシア製最新式PDW)を追いかけてくるハンヴィーに撃った。


「防弾かったいなぁぁぁああああ!」


「これ使って!」


千葉はデザートイーグルをダッシュボードから出した。


「ありがとっ!」


平城は車内にPP2000を投げ入れてデザートイーグルに持ち替えた。


その巨大な弾丸はハンヴィーの防弾ガラスを貫通するが、致命傷ではない。





-アンダー3-


「全員バラバラだっ!」


「文句いわず飛ばせ!」


富坂と三ツ矢も追われていた。



装甲車に。



「RPG-7もないのに装甲車なんか壊せるかって!」


「足止めしてみるから飛ばせ!」



三ツ矢はケースからM4A1とM203を取り出して取り付け、サンルーフを開けて銃を構えた。


「当たれ!」


POW!という音でグレネード弾がVCR装甲車に命中する。


「効果なし!」





-アンダー2-


「がしゃがしゃ撃ってー」


「軽ッ!やばいんですけど!」


俺は真賀山2佐の運転で逃げていた。


サンルーフを開け、M240のバイポッドを開いて天井に取り付け、後ろから迫るハンヴィーに撃つ。


「当たれ当たれ!」



-ロダーマン61-


「ドアガンナーは制圧射撃だ!誰もよらせるな!」


ロダーマン61はSAM射撃領空外かつ高射砲も届かない低空を飛行していた。小銃による攻撃に対応するためにドアガンは必死だった


「メキシカンを吹きとばせ!」




-AC-130Spooky01-


「こちらSpooky01です」


『こちらアンダー3!装甲車に25㎜ぶち込んでくれ!』


「了解しました」



「火器管制員、25㎜砲による支援攻撃を開始せよ。ターゲットはアンダー3後方のVCR装甲車」


『Copy』



管制員はステックを動かして照準を合わせた。


「Fire」



天空からの攻撃はVCR装甲車を砕いた。





『VCR大破しました』


「わかった」



カルテル本部に設営された作戦室でマルベガは指示を下していた。


「AC-130か、厄介な」


「AC-130?」


ホセ・フェルナンドは米軍の構成は知らなかった。


「アメリカの攻撃機ですよ、ボースっ」


ケイラー・レブリアンズは自慢の胸を揺らしつつ、説明をしながら入ってきた。


「強いのか?」


「このビル一撃で吹き飛びます」


「メキシコ空軍に援護求めたほうがいいか?」


「できるなら」





-AC-130Spooky01-


「掃射完了」


『こちらアンダー3!ありがとう!』


「作戦継続に不備が出始めています。無線には耳を傾けてください」


『こちらニューメキシコ州カートランド空軍基地IKR、Spooky01応答せよ。Spooky01応答せよ』


「こちらSpooky01のサニー・スコッツ中佐です」


『こちらはカートランド空軍基地のダニー・ベイ大尉です。現在そちらへメキシコ空軍所属のF-5戦闘機が4機、ミサイル装備で向かっています。これらはメキシコ空軍


の飛行計画にないもので、カルテル側に寝返った勢力とみられます。当基地から迎撃機のF-22が向かいましたが、間に合いません。全速力での空域離脱を進言します』


「了解しました。F-5はあとどの程度でこの空域に侵入すると思われますか?」


『およそ30分です』


「わかりました。迎撃機は?」


『およそ35分です』


「迎撃機到着までの間、この空域を離れます」


『了解しました』




『こちらはSpooky01のサニー・スコッツです。敵戦闘機出現のため、Spooky01は一時空域を離脱します』





-ロダーマン61-


「こちらロダーマン61、一時撤退するか?Spooky01」


『待機してください』


「了解」



「俺達も暇じゃないんだがな」


「そうは言っても作戦だしなー」


後部座席に座っていたのはリチャード・ヴェルディーク1等軍曹とエスター・ロカヴェニク2等軍曹、シュトルム・マクスタイン中尉、ソーズ・ドリフィ大尉の4名。


他の3名はミートチョッパーに分乗していた。


リチャード・ヴェルディークはスラヴィニア動乱の際に功績が認められ、入隊を果たしていた。


「どーすんの」




アンダー隊は無事合流できていた。


ピックアップは地下駐車場へ逃げ込み、6人は作戦会議を行った。



「メキシコ軍が情報全部リークしてやがった。作戦は終わってるわ」


「撤収命令出てませんよ?」


真賀山2佐の情けない言葉に三ツ矢3佐が口撃。


「ロダーマン61と連絡は?」


と、富坂1等陸曹。


「とれる。坂崎、やってみてくれ」


「了解」



俺は無線機をいじり、連絡を取った



「こちらアンダーチーム、ロダーマン61聞こえるか?」


『こちらロダーマン61。アンダー、どこだ?』


「現在市内の地下駐車場に隠れてる」


『了解』


「作戦は継続なのか?」


『AC-130が帰ってくるまでまたないといけないんだ』


「了解」


『ところでウチの部下がそっちの隊員と話したがってるんだが?』


「?」


『Sergent坂崎は?』


「私です」


『よし・・・』


『無線変わった。元レンジャーのリチャードだ!覚えてるか?』


「え、あ、あの?」


『そう。日本語うまいだろ?』


「どうしたんだ?」


『お礼をな。あん時は助かった』


「いや」


『Spooky01はあと少しで戻る。がんばろう』


-メキシコ空軍基地-


『チワワ1から全機、我々の目標は輸送機改造型の爆撃機だ。全機徹底破壊で行くぞ。DoyouCopy?』


『Copy!』



F-5戦闘機隊『チワワ隊』はフルスロットルで戦闘空域に向かった。




-カートランド基地-


「ターナー1からコントロール」


『こちらコントロール』


「離陸許可求む」


『ターナー隊全機出撃を許可する』


「Roger」



F-22戦闘機隊『ターナー隊』はこのメキシコ作戦のためネリス空軍基地より運ばれており、隊長機にはイラク帰りの「サラ・ブライト中佐」が乗っていた。


「ターナー1から全機、離陸を許可」


『Roger』



F-22が5機、離陸する。


-AC-130離脱後3分-



『ブライトから全機、広域レーダーに敵機を捉えたわ。メキシコ政府からは許可をもらってるからガンガン落としても構わない』


『了解中佐』



F-22はF-5のレーダー範囲外からAIM120AMRAAMを発射した。


『FOX3!』




『ミサイル警報?レーダーに敵機なんか映ってないぞ。誤報だ』


チワワ隊はレーダー範囲外からの遠距離捕捉攻撃を信じなかった。


『アメリカ空軍のAMRAAMかもしれません。回避行動を』


『そうだな』



F-5はAMRAAMが至近距離にはいってからフレアを射出した。


『え、つ、ついてく-』


AMRAAMの対フレアシステムの前に旧型化したF-5は防衛手段を持たなかった。




『中佐、4機落としました。あと1機です』


『全機FOX3』


『Roger』



5機のF-22から放たれたAIM120にF-5は為す術なかった。



『こちらターナー1、Spooky01空域はクリアよ』


『こちらSpooky01のサニー・スコッツ中佐です。ありがとうございます』


『いいえ。ところでだけど私達"偶然"GBU-32JDAM(誘導装置付き投下爆弾)持ってきてるのだけれど、支援は必要かしら?』


『はい。現地部隊と直接連絡を』




『こちらSpooky01です。ロダーマン61、応答を』


「こちらロダーマン61。遅いぞ姉ちゃん」


『すいません。F-22部隊が爆撃支援を行うと提案しています』


「助かる。JDAMなら位置だけ教えりゃいいよな?」


『はい』


「じゃあメキシコ陸軍が集まってるカルテル本部付近を爆撃してくれ。さっき飛んだんだが民間人も居ないし広い道路だ」


『では詳しくはF-22と交信を』


「Roger」


数分の間があり、ナイトストーカーズに連絡が入る。


『こちらターナー1のサラ・ブライトです』


「こちらロダーマン61のエンリケ中佐だぁ、よろしく」


『爆撃位置は先程のポイントで?』


「頼む」


『了解』




F-22は高空で侵入した。


『爆撃コースに侵入。装甲車部隊発見』


『対空砲トレーラーもあるな』


「ターナー1から全機。通りのみを爆撃せよ」


『了解中佐。投下!』



爆弾はスマートボムでカルテルの中を怯えさせるには十分だった。




「戦闘機が空爆!部隊の7割が連絡を断ちました!」


「なにぃい!?」


「我方の隊の8割が損失、地対空ミサイルと対空砲オフラインです。自動追尾CIWCも作動しません!」




『こちらSpooky01、通りは爆撃されました。カルテル本部へのバルカン砲攻撃を開始します』


25mmによる制圧射撃が開始された。


ビルの窓への攻撃である。


25㎜弾は窓を貫通し、ビルを破壊する。



「こちらロダーマン61、カルテル屋上から突撃をかける。アンダーチームは出てくる積み荷を拾ってくれ、オーバー」


『こちらアンダー、了解した』




MH-60BLACKHOWKは軽快なスピードでカルテルの屋上へホバリングした。


「デルタボーイ、GOGO!」


デルタ4名はロープを滑り降りてビルへ突入した。


ビルは4階建て、地下なしのもので規模も小さめ。


メキシコ軍司令部は2Fに設けられており、デルタは4Fから制圧をかけていく。


『デルタ4F制圧。3Fへ移動する。アンダーチームは手はず通り裏口に車を回せ』



「聞いたな?行くぞ」


ピックアップ3台は急発進した。




「リック(リチャード)、蹴破れ」


「了解」


ドリフィ大尉の指示で俺は手に持っていたM4A1を片手で持って軽い金属でできた扉を蹴破る。


俺は蹴ったと同時に壁から離れ、エス(エスター)とマクスタイン中尉に後を任せる。


エスは故郷から持ってきたレミントンM870(木製)をぶっ放し、中尉は軍支給のM4A1を使って制圧をする。


「クリア」


「オールグリーン」



俺は大尉の後について件の2F突入を行う。



「敵は待ち構えているはずだ。シュッツ(マクスタイン中尉)、ランチャーでぶち破れ」


「弾の種類は?」


「閃光弾だ」



マクスタイン中尉はアンダーバレルに設置されているM203擲弾筒、俗に言うグレネードランチャーの砲身をスライドさせ、閃光弾を詰める。


「発射」


トリガーを引き、閃光弾がドアを突き破って中へ転がる。


「隠れろ!」



全員が壁に逃げ込む。


パンッ!という高い音と耳障りな金属音、キーンと耳鳴りがする。


マグネシウムの臭いが入り交じる。


「GOGOGO」


俺たちは司令部へ突入する。


EOtechホログラフィックサイト越しに敵を見つけ、撃つ。


僅かな反動がメキシコ兵の命を消す。


裏切り者め。



「エリアクリア。フォーマスコリードのマルベガ・ユーティリティ発見。死亡した。Spooky01、フォーマスコリード殲滅を確認」


『了解、デルタ。引き続き1Fの捜索を行ってください』



「大尉、見てください」


「なんだシュッツ」


中尉はマルベガ・ユーティリティの遺体の横で何かをしていた。


「コイツは俺たちが殺したんじゃない」


中尉が指をさしたのはマルベガの首筋だ。


「ナイフだ。しかも大きな、ククリみたいな」


「鋭利な刃物だな」


スパーっときれいに線が入り、血は出ていない。返り血を浴びない位置を切ったんだろう。


「まるで魚でも下ろしたみたいだぞ」


中尉の言葉を遮り、大尉は


「首実検はいい、いくぞ。エス、アンダーにねずみが家を出るといえ」


「Roger」




『こちらデルタ、敵はそっちへ向かっている。オーバー』


「こちらアンダー了解」



俺はM240の弾薬を確認し、時を待った。


傍らには自衛用のUZIがおいてある。


カルテルのビルの裏口は搬入用のシャッターが4つあり、出口はそこだけだった。


表口はSpooky01の警戒下にある。



自動シャッターがガラガラという音を立てる。


「Tire a la basura todas tus armas!(全員武器を捨てろ)」


出てきたところを真賀山2佐がスピーカーでそう叫んだ。



敵は5人。


うち3人は防弾装具をしているPMCのような風体で、残り二人は異様だった。


一人はビジネススーツにアタッシェケース、日に焼けた肌をしていてちょび髭。メキシコ人そのものだったが今から商談にでも行くような格好だ。


もう一人は女。身長160。胸はデカすぎて足元が見えないレベルだ。


だが手には巨大なククリナイフが握られていて、もう片手にはGLOCKが握られている。


「Tire a la basura todas tus armas!」


問いかけに応じない。


敵は撃ってきた。


「うちかえせ!」


俺はピックアップの荷台からM240を撃った。


PMCのような風体をしたやつを片付けることにした。


3人はてんでド素人で、俺の掃射にすぐ倒れた。


だが女は違った。



女はなんと隣りのピックアップの荷台に座ってライフルを撃っていた千葉3等陸曹を押さえ込んでいたのだ。


「糞アマ!離れぇぇぁ!」


ククリは今にも突き刺さりそうだった。


「千葉ァ!」


俺は気づくと走り出していた。


俺の右手のストレートは女が受け止めれるわけもないはずだったのに。


女はそれをナイフで受け止めた。


刃の方ではなく、刀身だったのが幸いだったがククリは手を離れて壁へ突き刺さった。


「Fack!」


女は感情を露わに俺に掴みかかった。


俺は肘鉄を顔に食らわせ、足蹴りで身を転ばせる。


女はすぐに立て直し、俺を車から引きずり下ろした。



ギリギリギリと喉を絞めつけられ、脳に酸素がゆかなくなってきた。


俺はとっさに目の前にある球体に手を伸ばした。


「ひゃっ!?」


可愛い声だすなコイツ。


俺は胸をわしっと握り、横へ突き飛ばした。


「オーケーオーケー、動くな。Don'tMove。YouUnderstand?」


女は突然借りてきた猫のようになってしまい、英語でブツブツ言い始めた。


[ええっ、なん・・・なん・・・]


[どうした?]


俺の英語での問いかけに女は


[私はあなたに従います]


[え?]


どういう展開だ。


[私の胸を触ったのがあなたが二人目です。だから従います]


[・・・好きにしてくれればいいよ]



すると女はグロックをコッキングし、自分の仕えていた相手ホセ・フェルナンドに近づいた。


[どうした、ケイラー]


[ボス、私あなたが嫌いです]


[・・・俺を殺したらどうなるかわからないのか?]


[死ぬだけです]



バンッ




「こちらアンダー、捕虜1名。ターゲット死亡。繰り返す、ターゲット死亡」


『こちらSpooky01、デルタチームと合流後、ロダーマン61で離脱してください』


「了解」






フェルナンドカルテルは頭目の死亡によって瓦解した。


麻薬ルートも地元警察によって発見され、ロシアマフィアが摘発された。








-2011年1月10日 アフリカ ソマリア・モガディシオ-


「刻一刻と状況は変わりつつあるんだ」


「わかってます」


「だったら早く我々と手を組んで・・・」


「金は?」


「ここにある」


男二人はモガディシオの中心部のバーのVIPルームで密談をしていた。


「まさかソマリランド・シリングじゃないだろうな?」


「馬鹿な。我々はアレを政府とは認めない。それより戦闘機の方は?パイロットもあわせて」


「手はず通り、元KGBのボミトゥフが整えたし元USAFのアーケードも用意してくれた」


「陸戦兵器もボミトゥフがやると聞いていたが?」


「ああ、ボミトゥフが揃えた。銃器はいいだろう?」


「自前がある」



男たちの密談に花が咲く中、バーが揺れた。


「アル・シャバブのバカどもだ。AU軍がすぐに鎮圧する」


「お前たちは大丈夫なのか?」


「我々はコネクションが深い。問題はない」


「そうか」


相槌を打って一人の男が席を立った。


「もう、いくのか?」


「あまり長居するとバレる」


「それもそうだな。そういえばリビアはどうなってる?」


「着々と用意が進んでる。横流し武器を受け取れると思う。どちらにせよ来年からの仕事だ」


「その前に始末するんだろう?」


「ああ、もちろん。じゃまになる」


もう一人の男は店から立ち去る男に手を振り


「それじゃあミスター矢部、我々の利益のために」


















































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