アナスタシア・シュパジェノブスク
「書記長を無事に揚陸艦に積みました。はい、そうです」
書記長は揚陸艦に乗せられ、イギリスで保護されることになった。
「一仕事終えた感じだな」
「はい」
仲沢と坂崎はふぅ、と落ち着いた。
「しかし工藤・・・大丈夫だったか?」
「・・・はい」
-20分前-
「かわぃぃ!なんで自衛官してるの?」
「あっ、いえ・・・っと・・・」
「お近づきになりたいなぁ!」
工藤は仲沢の手を握った。
俺はなぜかそれを見てムッとしてしまい
「工藤さん、部下は勤務中です」
「えー、いいじゃねえかあ」
そんなやり取りを繰り返すうちに
「胸もいい感じ、おしりもいいよね~」
「ひぅっ!?」
「工藤さん!」
俺の怒りは沸点に
「まあ、そう怒るな!冗談!」
「客じゃなけりゃ殴ってた」
教官は素直にそういった
(なんかすごく嬉しい・・・)
私は内心、すごくハッピーだった
-8月20日PM10時スラッコーPKFアメリカ軍司令部-
「よし、聞いてくれ」
一人の将官が兵隊達の前へ歩みだした。
「我々が今回叩くのはコウロー山、敵空軍要塞だ」
スライドに衛星写真が映る。
「敵はここに6割の戦闘機を入れている。4割はすでに撃墜済みだ。残った6割がこれだ。山頂には滑走路と戦闘機の昇降機がある。
敵の本拠地はすべて山中で、ミサイルなどの爆発物も地中だ。山中は頑丈なバンカーで保護され、我々のバンカーバスターでも破壊できない。
そこでまずMLRS部隊がクラスター爆弾を発射、敵を錯乱させる。次に君たちの出番だ。君たちはSOFLAMを使用し、トマホーク巡航ミサイルを要請。
山肌に置かれた銃座や砲床を破壊、最後に入り口となる巨大な鉄門を爆撃する。そこからが戦闘だ。全員、気をつけて欲しい」
-現在より4時間前、書記長官邸-
「んふ・・・はげし・・・」
高価な樫の木などで作られた調度品に囲まれた部屋。
そこに軍服を乱した男女が二人。
「・・・しかし・・・ア、アナスタシア・・・この私に何をしろと・・・?」
「・・・んふ、かっこい・・・中に出しちゃだめじゃない」
「・・・いや、それは・・・」
「んふ、来て」
アナスタシア・シュパジェノブスクは下着を穿き、ズボンのベルトを締めて髪をかき撫でた。
若いエリート将校、ラヴェニズク・クラフチェネンコもまた、着崩れた制服を着なおす。
アナスタシアは樫の木の机に置かれたひとつのファイルをラヴェニズクに投げわたした。
ファイルの封を切り、ラヴェニズクは中の資料を読んだ。
「・・・旧ソ連製戦術核爆弾・・・?」
アナスタシアは頷き、答えた
「そう、スラヴィニア共和国の虎の子。これをもってコウロー山に行って欲しいの」
「あの要塞に・・・」
「うん。私の計画だとPMCがもう少しがんばってくれる予定だったんだけどさー、パイプラインだとか鉱山全部PKFにとられてさ。
ノリンコとかもてぇひいちゃったんだよ。ボスラヴェキニも全滅。」
スラヴィニア軍は海軍壊滅をきっかけに降伏する部隊が続出していた。
すでに陸軍の40%の部隊が全滅または降伏している。
しかし空軍は統率が取れており、コウロー山に部隊は引きこもっている。
「そこで虎の子の出番。だてに元占領地じゃないよね」
ラヴェニズクは脂汗をかいた
「それで私はどうすれば・・・」
「取引に使います。それがあれば攻撃できないしね、空軍全滅したらスラヴィニアはもうおしまいだよ」
-現在 コウロー山へ向かう米軍機動部隊-
「・・・中隊長、無線です」
「?俺に?」
中佐の階級章をつけた米軍の将官はハンヴィーの助手席で無線機を手渡された
「こちらエコー中隊のジミー・マックエイン中佐だ。誰だ?」
『こちらスラヴィニア陸軍、ラヴェニズク・クラフチェネンコ少佐であります』
敵・・・?
「敵の将官が、なんのようだ」
『実はあなたにお伝えせねばならぬことがありまして』
実に流暢な英語だ。
ラヴェニズクといえばロシア紛争でも功績を上げ、今回の戦いでもうちの戦車を何台も壊してる英雄だ。
「お願いだと?攻めるなとでも?」
『・・・我々は戦術核爆弾を所有していますよ』
「よし、MLRS部隊発射よう・・・あ?中止!?」
「いつでも・・・え!?攻撃中止!?」
-スラッコーPKF米軍基地-
「戦術核の情報は!」
「カンパニー、ラングレーのバカどもを呼び寄せろ!」
数名の将官が口論する。
「CIAのバザードです。呼びましたか?」
CIAの現地諜報員がやってきた
「君!核は無いといったじゃないか!」
バザードは青い顔をした
「ば、ばかな!?あったんですか!?」
将官の一人は重々しく答えた
「戦術核だ。威力は分からん。だが写真を送ってきた」
一枚の写真をCIAのバザードへ手渡した
写真には核砲弾を特殊ケースに入れ、爆薬をくくりつけたようなものが映っていた
「・・・」
「これをどういうのだ!」
CIAのバザードは答えた
「実はヴルモフに核砲弾を装備できる長距離砲が冷戦時代に置かれたことが。1950年代だと思われます。その当時の遺物ではないかと」
「なん・・・だと」
「とにかく攻撃は!どうする!」
「どうしようもできん!CIAが何とかしたまえ!」
「わたしでもどうすることは・・・」
そこで一人の将官が答えた
「なかったことにすればいい。MLRS部隊に攻撃命令を」
「なっ!?し、しかし・・・!」
-MLRS部隊、コウロー山より20km-
「タイガー1からタイガー3、目標はセットしたか?」
『タイガー1、OK』
『タイガー2、問題なし』
『タイガー3、いつでも』
「こちら第3攻撃部隊、MLRSは準備完了。攻撃許可を」
『こちら本部、オータム中佐だ。撃て』
「了解。タイガー1から3!攻撃開始!」
MLRSは箱型のミサイルが入った箱を動かし、座標へ向けて発射した
-コウロー山航空基地-
「ふぁあ・・・戦術核だなんてよくやったなあ・・・」
「そうだな」
山頂で警備をしている兵隊二人は椅子に座ってくつろいでいた
「あ・・・?なんか音するぞ?」
ひゅううううという甲高い落下音が聞こえた
「・・・攻撃だ!」
ロケット弾は二人へ命中した。
ドカンドカン!と山頂で炸裂した。
兵舎は吹き飛び、防衛用の装甲車や地対空ミサイルもまとめて吹き飛ばされてしまった。
「攻撃されないといわなかったか?ラヴェニズク・クラフチェネンコ」
ドミトリー・スパヴェノビッチ少将はラヴェニズクに問いただした
「私は・・・あなす・・・いえ、シュパジェノブスク大将の命令できただけであります」
「・・・・ふん、まあいい」
この若造、あのあばずれ女の毒牙にかかったか。馬鹿め。だがコイツならあのあばずれ、止めれるかもしれん。
「反撃は?」
「できないよ。防衛部隊は山頂と山肌だけだ。なーんにもできない」
「なっ!?」
「大体ここは、陸上部隊と合同で防衛することになってるんだ。その部隊もおととい米軍に降伏した。負け試合だよ」
「そんな・・・」
「悪いことは言わん。君は逃げろ」
「職務を全うしたい!」
「大将に恋焦がれた男、さっさと逃げろ。まだ首都まで通じる地下坑道は封鎖してない。行け!」
ラヴェニズクはアナスタシアを選んだ。
彼は核爆弾の入ったケースを脇に抱え、地下へ通ずるエレベータへ飛び乗った。
「いい厄介払いだ。あれがいては核を爆破しかねないからな」
この基地で死者をこれ以上出さん
「大尉!米軍と連絡をつけろ!」
『私はドミトリー・スパヴェノビッチ少将です』
『こちらはアメリカ陸軍のオータム・ラッカス中佐であります』
『オータム中佐、遠距離砲撃を停止してください。我々は降伏します』
-3時間後 首都ヴルモフ-
「それで・・・逃げ帰った・・・と?」
「・・・はい」
「無能の屑がっ!何のための虎の子だ!」
アナスタシアは腰から古いトカレフを取り出した
「ぶっ殺す。命令も聞けないような奴!」
ラヴェニズクは動いた
思い切りアナスタシアを抱きしめた
「なっ!?」
「・・・アナスタシア、目を覚ませ!君は、君は何を望んでいるんだ!?」
「わた・・・私はただおじいちゃんの意志を・・・」
「将軍の意思!?」
「そうよ!おじいちゃんはこの国を軍国主義にしたかった!でもおじいちゃんの時代じゃお金がなかったの!私の代で、お金が潤沢に!だから!だから私は・・・!」
「国民を殺してまでもか!」
「裏切り者はみんな死刑だわ!スターリンの時代からそう決まってるもの!」
「スターリンが死んで60年、そんな考えはもう捨てろ!」
「いや!いやだっ!私は・・・私は!」
ラヴェニズクは泣く彼女をさらに抱き寄せ、言った
「俺が護ってやる。この国から出るんだ」
アナスタシアはこくんと頷く。
アナスタシアとラヴェニズクは逃亡した。
顔がばれぬよう、バラクラバをつけてボスラヴェキニの余った軍服を着て。
-PKF連合部隊-
アメリカ陸海空軍及びEU連合軍、そして自衛隊は首都ヴルモフまでのルートを確保した。
首都ヴルモフは士気の高いスラヴィニア軍が固めていた。
まさか長であるアナスタシアが逃げたとも知らず。
彼女の父もとっくに降伏しており、現状で彼らをまとめるものはいなかった。
しかし連合軍の電波妨害で無線連絡が凍結され、各自防衛に当たっていた。
「軍の指揮官が18歳の女の子だなんて」
仲沢は驚いたような口調で喋った
「ああ、残虐な大量殺人を行ったな・・・」
クーデター初期に官民合わせて200人以上が殺害されたという
「信じられないです・・・同い年の子が・・・」
スラヴィニア軍降伏部隊の司令官は尋問ですべてをさらけ出した。
アナスタシア・シュパジェノブスクこそスラヴィニア軍指揮官だと。
「そうだ・・・な」
陸上自衛隊は国内圧力もあり、この作戦が集結し次第この国を出ることになっていた。
しかも自衛隊は連合部隊の占領した後の残兵狩りを任されただけであった。
-最前線 ヴルモフ-
「軍曹!砲兵部隊は!」
「同志少尉!敵の攻撃により砲兵部隊は全滅!戦車部隊がこちらへ!」
「そうか!よし!」
スラヴィニア軍は連合軍の圧倒的火力で押されていた。
しかし、町を爆撃するわけには行かずスラヴィニア軍の補給路をいまだ断てていなかった。
「同志シュパジェノブスクのため、この町を守り抜くぞ!」
『Ураааааааа!!!!』
米軍の戦車部隊はビル群から猛烈な攻撃を受けていた
「空軍はまだか!?」
「爆撃機はこれません!」
「クソッ!民間人なぞ知るか!」
ビルからの熾烈な重火器攻撃は陸上部隊の侵攻を妨げた。
「ピンポイント攻撃だ、本部に攻撃要請をしろ!」
-ハロウシャセスク軍港沖 海中-
「こちらニューハンプシャー。座標は特定した。これよりVLSによるトマホーク攻撃を行う」
海中に潜行するアメリカ海軍SSN-778ヴァージニア級ニューハンプシャーはトマホークによる遠距離支援攻撃を開始した。
-同海域 水上-
「こちらDDG-102サンプソン。こちらも目標を捕捉。直ちにトマホーク攻撃を開始する」
海からによる遠距離巡航ミサイル攻撃は文字通り「飽和攻撃」だった。
「ウォ!スッゲー!」
アメリカ兵はその攻撃力に胸が高鳴った。
スラヴィニア軍が潜伏するビルというビルはトマホークによる攻撃で吹き飛ぶ。
「中尉!戦車だ!」
スラヴィニア陸軍のT-90戦車が友軍の遺骸を踏み越えて爆走してきた
「撃て!」
ジャベリン対戦車ミサイルを装備した戦闘工兵がミサイルを撃つ。
ジャベリンミサイルはそのまま上へ推進し、そのまま落下。
T-90の砲塔部にトップアタック攻撃を仕掛けた。
爆散するT-90にスラヴィニア軍はおびえた。
「う、うて!ひるむな!」
銃撃戦が再開され、道での戦いが始まる。
「騎兵隊だ!」
米軍はM2歩兵戦闘車を前線へ出した。
その25mm機関砲はスラヴィニア兵をなぎ倒すのにもってこいだ。
「アメリカ陸軍!進撃!」
アメリカ軍の歩兵部隊は戦車の援護でずんずんとメインストリートを進む。
「攻撃だ。RPG-7を撃て!」
一人のスラヴィニア兵が道へ飛び出した
肩にはRPG-7を担ぎ、スコープを覗いている
M2歩兵戦闘車の隊員はすばやく狙いをつけた。
だが一瞬の差が、攻撃を許した。
RPG-7のHEAT弾が正面装甲を攻撃した。
バンッ!という音は出したが、内部は異常が見られなかった。
だがキャタピラが爆風でちぎれた。
「こちらオマー1、キャタピラがやられた。これ以上は無理だ。支援攻撃に出る」
M2歩兵戦闘車は遠くにいる敵を撃ち始めた。
-ヴルモフ 上空-
「HEY YOU ROCK'N'ROLL!」
MH-60ブラックホーク3機は攻撃にまぎれてヴルモフ書記長官邸を目指していた。
第75レンジャー連隊のチョーク1からチョーク3がこのヘリに搭乗していた。
「軍曹、対空砲火もないですね」
「ああ、全くだ」
リチャード・ヴェルディーク2等軍曹とアリシェルト・ウィッテ伍長はSCARを持ちながら時を待った。
-ヴルモフ 地上 議事堂付近-
「敵の攻撃が激しすぎる!援護機は来ないのか!RTO(無線兵)!来い!」
無線機を背負った隊員が小走りで走ってきた。
『パトリック1から本隊!歩兵攻撃がすさまじく、進軍不能!航空機による攻撃を要請する!』
『こちら本隊、了解した。MH-60が上空を飛行中。支援攻撃に移らせる』
-MH-60 サンダーバード1-
「嬢ちゃん達、M136を使って下を掃射してくれ」
リチャード・ヴェルディーク軍曹は座席から立ち上がり、M136バルカン砲を握った。
『こちらサンダーバード1、目標にグリーンのスモーク。自分達にレッドスモークを!』
「了解した!」
地上のアメリカ軍兵士はすばやく敵に緑のスモークグレネードを投げ、自陣地に赤のスモークを炊いた。
「よぉっしゃ、アリシェルト!一発ぶっかますぞ!」
スイッチを押すと銃身がくるくると回転し、「ヴィー」という音を立てた。
そして「ヴァアアアアアアア!」という死神の叫びのような音を発て、死を降らせた。
「カモを撃つより簡単だ。テキサスの頃を思い出す」
ブァーー!というけたたましい咆哮。
MH-60の圧倒的制圧力にスラヴィニア陸軍は撤収を開始した。
MH-60は悠々と書記長官邸上空に入った。
「GOGOGO!」
ロープが蹴りだされ、外へレンジャーが飛び出す。
ロープをつかみ、リチャードは滑り降りた。
部隊は屋上からさらにロープをたらし、窓から突入した。
総書記護衛隊は突如現れた特殊部隊に驚き、初動を起こせなかった。
レンジャーは敵を射殺し、すばやく書記長室に突入した。
「居ない・・・」
レンジャーは肩透かしを食らった。
もぬけの殻だ
「ダンブル1からサンダーバード1へ!至急撤収!ターゲットロスト!」
リチャードらチョーク1からチョーク3は急いでヘリに乗って撤収した。
米陸軍の投入したM1A2戦車部隊、そしてタンクキラーで名をはせたA-10サンダーボルトⅡの活躍によりスラヴィニア陸軍戦車部隊は瓦解。
歩兵部隊は援護無しでAH-64Dの攻撃を受けていた。
「隊長!弾薬がつきました!」
「同志中尉!降伏しましょう!」
スラヴィニア軍は根底から瓦解して行く。
また潜入したCIA工作員による「書記長脱出」のうわさもそれを助長した。
そして9月5日
スラヴィニア陸軍中将「ヴァラヴェル・ジューコフ」はバルト海沖のアメリカ海軍イージス艦DDH-102サンプソンの甲板で降伏条約にサインした。
陸上自衛隊は最後の任務である、ロシア国境の町スリャクロムでの治安活動に入った。
難民がロシア側に流れ込み、FSB(ロシア連邦保安庁)直下の国境警備隊が出動する騒ぎとなっているためだ。
『ゆっくり一列に並んでください!』
坂崎修一はスピーカーで叫ぶ。
「教官、人すっごく多い・・・」
一本の道には多くの難民がいた。
一部にはスラヴィニア軍の脱走兵も見られる。
先ほどFSBのヴィンペル部隊が到着し、脱走兵を取り締まり始めた。
難民もビザを発行できるきちんとした身分でしかロシアの飛び地へ入国できず、多くの難民は着き返されていた。
「仕方ないさ。ま、おれ達のできる唯一の任務だ」
「大丈夫・・・なの?」
「大丈夫です、アリョーナ」
アナスタシア・シュパジェノブスクとラヴェニズク・クラフチェネンコは身分証を偽造し、
「アリョーナ・ジュスタクスフ」と「エフィョム・ベリャコフ」という名前を騙った。
『次!』
日本兵(スラヴィニア側での認識)が手を上げ、私達を呼んだ。
『女性の方、パスポートとビザを』
『はい、どうぞ』
アリョーナ、もといアナスタシアは偽造パスポートと偽造ビザをわたした。
『・・・確かに。どうぞ』
日本兵は一連のチェックをし、アナスタシアを柵の外へ出した。
次は私、エフィョムの番だ
『男性の方、パスポートとビザを』
『どうぞ』
私はパスポートとビザを出した
『・・・確かに、どうぞ』
私は柵をくぐろうとした。
すると日本兵の後ろにいたバラクラバをかぶった兵隊・・・おそらくロシア人が一言私に言った
『・・・同胞の恨みは高くつくぞ』
私の倒したロシア軍のことを?
ロシア人は続けた
『そのかばんを見せてくれ』
私はあせった。
中には戦術核が入っているのだ。
難民にまぎれて首都から出たために、捨てれなかったのだ。
『見せてもらおうか?』
俺は叫んだ
『アナスタシア逃げろ!』
アナスタシアははっと気づき、横の雑木林へ走った
『お、おいそいつを止めろ!』
『動くな!』
日本兵はすこしあわてながら銃を構えた
ロシア人も構える
私は口に出して喋った
『この戦術核が爆発してもいいのか!?』