始まりのカオス
※残酷表現ありです。自己満ですので文章力はありません
「もう少し腕伸ばせ!」
「はい教官!」「了解です!」
-2010年 7月5日 愛知県名古屋市守山区 陸上自衛隊守山駐屯地-
午後5時の夕暮れ時
夏になって日に日に暑さが増してくる
俺、坂崎修一2等陸曹(25)は新規隊員達の訓練をしていた
「仲沢!腕をもう少し上げろ!」
「はいっ!」
仲沢凛1等陸士(18)
今年度入隊の女性自衛官。
俺は25で7歳違いだが、高校生でも通りそうだ。彼女は。
「池田ァ!お前はもう少しペース上げるんだ!」
「了解!」
池田宗司一等陸士(18)
同じく今年度入隊
元はスレたヤンキーだったようだが更生したのか今は普通の好青年
俺は彼らの教官役回りである、2等陸曹である。
最近、世界情勢は混沌としている
中国、ロシア連邦の動きも気になる
と、言ってもだ
おれ達に声が架かることはないだろう・・・
しばらくは
「訓練終了!各自64式小銃は片付けてここへ戻れ」
俺が号令をかけるとハイポートを終わった二人は武器保管庫へと走っていった
数分後、俺の元へと戻ってきた
「池田一士、64式小銃を返却し戻りました!」
「同じく仲沢一士、64式小銃を返却し戻りました!」
俺は声を出す
「うん、お疲れ様。各自寮へ戻り、明日の訓練に備えてくれ」
そういって俺も自分の寮へと戻る
-PM6:00-
大食堂で夜食を摂る
「おう、坂崎」
俺が座っていると横に同期、赤坂俊也(25)がやってくる
「おう、赤坂か・・・」
俺はハンバーグを食べながら赤坂に問う
「そっちの新規隊員、どうだ?」
赤坂は味噌汁をすすりながら答える
「七宮と江崎か?江崎は甘い、七宮はキツイ。まあ、なんとかなるだろうが・・・」
と味噌汁をすすってご飯をかっ食らう
「そうか・・・」
俺もご飯を食らう
赤坂は俺に問う
「お前のところは?どうなんだ」
俺は答えた
「両方筋がいい」
そこへ江崎・池田・七宮・仲沢の4人がやってきた
「教官!同席よろしいですか!?」
と池田
「俺はいいけど、赤坂は?」
赤坂は答える
「2等陸曹殿に従います」
二組に割れる。思考を変えるのか担当ではない二人が俺の横に来た
江崎友樹一等陸士(22)
七宮竜宮1等陸士(18)
「坂崎2等陸曹殿は、どこの出身なんですか?」
と江崎
「ん、愛知県の片田舎だ」
そこへ七宮一士が
「坂崎2曹殿ってどこの大学出なんですか?」
俺は答える
「防衛大学じゃないよ。地方大さ。親が自衛官でね、俺もその伝さ」
ひとしきり雑談をして、俺と赤坂は寮へと戻る
3人部屋の寮には俺、横田次郎3等陸曹(24)、小関正孝3等陸曹(23)(第1小隊)が入る
しばらく雑誌を読んだり腹筋をしたりしているといつもどおり消灯を迎えた
-消灯時間-
「池田、明日も訓練あるからきっちり休んどけ」
「はーい、教官」
俺は新兵用兵舎を一回りし、自分の兵舎へ戻った
「なあ坂崎」
珍しく2段ベッドの上段に住まう横田3曹が話しかけてきた
「ん?なんだ、横田」
同期の横田とは入隊してからあまり喋ったことがない
「そろそろ脱柵がでるんじゃないのか?」
そういわれると今年はまだ脱柵者(逃亡兵)が出ていない
「そうだな・・・よし、ちょっと楢木隊長んとこ行ってくる」
横田とは毎年脱柵者狩りを楽しんでいる
「俺も」
と横田も着いてくる
「毎年恒例の脱柵者狩りか」
「ええ」
隊長部屋で残業をしていた楢木真二郎2等陸尉(34)は笑う
「よし。第1小隊の隊員も数名呼べ。確かにいるはずだ」
第一小隊からは小宮義信陸士長(22)と神部広軌1等陸曹(35)が来てくれた
「坂崎、また狩か」
と神部先輩
「ええ、まあ」
「それじゃ、いくか」
4人は懐中電灯を手に、新規入隊した隊員の宿舎を洗った
「思ったとおりだな。こちら坂崎、第3小隊の宿舎で土井春斗2等陸士が行方不明だ。同室のものによると午後9時から午後10時はいたとのこと。つまりここ30分の話だ」
俺が訪れた第3小隊宿舎で脱柵がでていた。
土井春斗2士(18)、今年度入隊
現在訓練期間中、地元の出身である
「ホームシックか、どうだと思う?」
と横田
俺は答える
「この手合いは恋人とかだろうな。基地内にゃいないかもしれない」
とりあえず、脱柵者を狩るためにワザト警備が緩い鉄柵を見に行く
「ここだな、見てみろ」
すぐしたの草地には足跡があった
「全員外を探すぞ」
基地の外に出る
名古屋市にあるこの基地、辺鄙な土地じゃない。
だが18歳でスウェットを着られると町に溶け込む。
早く探さねばならない
「守山駅か・・・?いや、捜索を恐れて使わないか。なら、どこだ?」
と横沢
神部先輩が答える
「町に溶け込むことを考えてるはずだ。市内を探すぞ」
高機動車を使い、守山区の市街地へと車を走らせた
「森を探せ。深くは入らないだろう」
すこしあぜ道に入る
そこには一人の人影があった
「いた!」
小宮士長がハンドルを触りながら叫ぶ
ヘッドライトに写った男は高機動車を見るなり雑木林へと入った
「全員降車!追え、追え!」
俺は懐中電灯片手に走り出した
「小宮、横沢!高機動車で待機だ!」
神部先輩の声、そして了解との返答
道なき道を走る
「待てぇ土井ぃぃ!」
俺が叫ぶと土井は
「ひぃいい!」
と叫びながら雑木林を走った
「待てコラァァァァ!」
俺は手に持っていた懐中電灯をぶん投げた
「ぐへっ!」
懐中電灯は土井の後頭部に直撃した
倒れこむ土井
俺は土井を確保する
「動くなよ、馬鹿め。休暇は半年抜きだ!」
-7月6日-
「起きろ起きろ!」
俺は各部屋を回って隊員を叩き起こす
女子寮は里中美紀3等陸尉(28)が起こす
「馬鹿女共全員起床!」
私は音で目覚めた
「ナナ!おきて!」
私は友達をゆすり起こす
部屋長の加藤有希陸士長(21)が確認を始めた
「早く起こして~」
私はナナ(七宮竜宮)を叩き起こす
「え、もうそんな時間?」
「全員集合までにかかったのは10分か。来週は8分だ」
と、俺はいう
「坂崎2曹、女子寮が遅れてすまなかった」
と、上官である里中3尉が頭を下げた
「い、いえいえ。とんでもないです」
訓練は着々と進み、8月には一人前程度の練度を誇れるだろう
-キューバ共和国グアンタナモ湾 グアンタナモ米軍基地-
「囚人番号70504番」
「はい」
「囚人番号70504番、貴様を故国へと帰し、そのちの法律を受けさせることを認可する」
一人の老人が囚人服を着て手錠と足かせをされて基地内の法廷で裁かれている
「囚人番号70504番 イサオコジマ。貴様を本日付でグアンタナモより日本国の最高裁において処罰が下される」
小島勲(64)、元日本赤軍兵士。パレスチナを拠点として動いていた日本赤軍はパレスチナ民族解放戦線やアラブの左翼グループ
とつるんでいた日本人のテロリスト組織。
小島は1972年のイスラエル・テルアビブ空港での乱射事件に参加し、数多くの非道行為を繰り消した。
しかし1990年代に兵士達が数多く逮捕されたのをきっかけに1998年に日本国内に潜入。
横須賀のアメリカ軍基地をシンパと協力して爆破、アメリカ兵5名と日本人10名を死傷させてベカー高原へ戻り現地テロ組織の傭兵の教官として働いた。
しかし2008年、米軍特殊部隊がベカー高原付近のキャンプを襲撃。
小島は逮捕され、グアンタナモで抑留。本日日本政府との取り付けで帰国が決まったのだ
-同刻 レバノン ベカー高原-
「キミタニ、同志キミタニ」
「あ?なんだ、アルルか」
「なんだじゃない。勲を助けに行くんだ」
「は?あのオッサンまだ生きてるの?」
「貴様は本当に働きたくないようだな」
「冗談冗談」
コウ・キミタニ(27)
元陸上自衛隊特殊作戦群。退役(傷病を理由に)後ベカー高原で小島と共に教官をしていた。
「勲は4日後、グアンタナモから日本の名古屋空港に到着する。現地は米軍と自衛隊が警備をする」
カオスは始まった