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2-6

 『生き物を眠らせる魔法』は光魔法の治癒の力を応用した魔法で、かけられたものに過度な回復を促すことで、眠気を誘発する仕組みになっている。


 しかし、基本的には生き物を回復させる性質を持つ光魔法は、闇属性の生き物に対してだけは相性が悪いのだ。


 それなら、光魔法に闇魔法を混ぜて使えば……。


 私はうまくいくかドキドキしながら、フォスティの群れに向かって再び杖を構えた。



「お……お前たち、全員眠りなさい!!」


 そう言いながら、思いきり杖を振った。


 先ほどよりも大きな光が杖から溢れ出る。闇魔法を混ぜたからか、光はどこかくすんだような不思議な色をしていた。


 光に闇を混ぜるなんていう今まで使ったことのない魔法を使ったせいか、杖が衝撃で震えていた。


 反動に負けないよう、私はぎゅっと目を閉じて耐える。



 やがて、辺りが静まり返り、私はおそるおそる目を開けた。


 目の前に広がっていたのは、大量のフォスティたちがぐっすりと眠りこけている異様な光景だった。


 成功したのだろうか。


 私が呆然と目の前の光景を見ていると、レナード様が驚いた声で言った。



「メイベルさん! 一体何の魔法を使ったの!? すごいよ、フォスティの群れが一斉に眠ってしまったよ!!」


「ええと、生き物を眠らせる魔法では効かなかったので、闇魔法を混ぜて使ってみました」


「闇魔法を混ぜた……? 生き物を眠らせる魔法って光魔法だよね? え、それ、今初めて使ったの!? そんな複雑な魔法を!?」


 レナード様は目を見開いて驚愕した顔で言う。


 そこまで驚かれると思わなかったので、ちょっと戸惑ってしまった。単なる思いつきで試してみただけなのだ。


 すると、横からエイデン様が弾んだ声で言った。


「メイベル嬢、君にそこまで魔法の才能があったなんて知らなかったよ。さすがオーブリー学園長推薦の魔導士様だね!」


「いえ、あの、今のはまぐれみたいなもので」


「二人が協力してくれれば魔獣問題はあっという間に片付きそうだ。近いうちに演習場をまた開放できるかもしれないな」


 エイデン様はご機嫌な顔でそんなことを言う。


 偶然うまくいっただけなのにと、私はおろおろしてしまった。



 その後、私たちは眠らせたフォスティを一時間近くかけて全て檻に入れ、馬車まで運んだ。私たち三人ではさすがに運びきれなかったので、エイデン様が呼んだ部下の方たちにも手伝ってもらった。


 ようやくフォスティを運び終えた私たちは、くたくたになって事務所に戻る。


 少し休憩した後で、再び作戦会議を始めた。

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