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2-2

「ああ。出現する魔獣は低級の魔獣らしく、レナード君とメイベル君の実力があれば危険はないと判断した。君たちがよければ引き受けてくれないだろうか。もちろん無理強いはしないが」


「僕は構いませんが……。メイベルさんはどう?」


 レナード様は私に視線を向けて言う。


 私は頭を悩ませた。魔法を使うのは大好きだけれど、今まではあくまで練習として使ってきただけだ。実践の場でうまくやれるかと言われると自信がない。


 しかし、私は同時にうずうずしてもいた。もし実際に私の魔法が役に立って、演習場の問題を片付けられたら。そんなに嬉しいことはない。


 私はしばらく逡巡した後に答えた。


「私もやります。私でお役に立てるなら、ぜひやらせてください!」


「そうか、二人ともやってくれるか!」


 学園長先生はぱっと笑顔になった。


 それから机の引き出しから数枚の紙を取り出して私たちに見せる。



「これが魔法演習場内の地図だ。魔獣退治の際に使ってくれ」


「わかりました」


「そしてこちらが魔法演習場の所有者であるヘイル家の連絡先。魔獣退治当日はヘイル家の誰かが立ち合ってくれることになっている」


「ヘイル家の方が来てくださるんですね」


 学園長先生とレナード様は、書類を眺めながら話している。


 しかし私はその横で予想外の言葉を聞いて固まってしまった。今、ヘイル家と言っただろうか。



「あの……」


「なんだ? メイベル君」


「メイベルさん、どうかした?」


「ヘイル家って……、もしやヘイル侯爵家のことですか?」


 戸惑いながら尋ねると、学園長先生はあっさりうなずいた。


「ああ。魔法演習場の所有者はヘイル侯爵家の当主だからな」


 学園長先生の言葉に、私はぽかんと口を開けてしまった。



「メイベルさん、どうしたの? ヘイル侯爵家と何かあるの?」


「いえ、あの……、何かあるというか、マーガレットお姉様の婚約者がヘイル侯爵家のご令息なんですよね」


「えっ」


 レナード様は驚いた顔をする。



 私の姉、マーガレットの婚約者は、まさにそのヘイル侯爵家のご長男なのだ。


 ヘイル侯爵家の次期当主であるエイデン様は、お姉様の婚約者と思えないくらい誠実で堅実な方だ。数回顔を合わせたことがあるだけだけれど、領地をよりよくすることに熱心な立派な方だった。


 そのエイデン様のご実家が、魔法演習場を運営していたなんて。



「そうだったんだ。すごい偶然だね」


「はい、ちょっと驚いてしまいました。魔法演習場には何度か行ったことがあるのに、お姉様の婚約者の家が所有者だったと知らなかったもので」


 ヘイル侯爵家がさまざまな事業に携わっているのは知っていたものの、その中に魔法演習場が含まれているとは知らなかった。


 姉の婚約者の家のことだというのに、私は反省する。



「ヘイル侯爵家の関わっている事業は幅広いからね。把握しきれないのは無理ないよ」


 レナード様はフォローするようにそう言ってくれた。

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