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魔法のせいだから許して?  作者: ましろ


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37/50

37.愛の言葉(アルブレヒト)

本当に気持ちの悪い女だったな。


あんなのに目を付けられたジークが可哀想で仕方がない。母親はアレだしなぁ。

それにしてもリーゼロッテの平手打ちは凄かった。まさか2発目があるとは思わなかった。

いや、3発目はもっと大振りだったか。


殴り慣れていないせいで手首を痛め、治療中のリーゼロッテを眺める。


ジークと二人、いつも楽しそうに笑っていた。

こんなことになるなんて未だに信じられない。


「……あの、暴走してしまい申し訳ありません」

「いや、同じ気持ちだったからな。手首は大丈夫か?」

「ふふ、初めて人を殴りましたわ」

「そうだろうな。まぁ、あれが女じゃなければ私がとっくに殴っていたよ。もちろん、拳でだ」


ブリッチェ伯爵のもとに二人で向かう。

リーゼロッテは可愛い妹分だ。幸せになってもらいたい。だが先程自分で言っていた通り、この国では難しいだろう。


「行きたい国はあるのか?」

「え?」

「留学先だよ。もうあの学園には戻らないのだろう。希望の学校に推薦状を用意する。遠慮なく言ってくれ」


先程の激昂の疲れが出たのか反応が鈍い。


「まだ決めていません。学園の友達とも話をする約束をしていますし……もう一度ジーク様とも話がしたいのです。

私が会いに行ってもいいですか?」


驚いた。もう、関わりたくないと言われると思っていたのに。


「もちろん。先程は大袈裟に言っただけなんだ。母上の考えにショックを受けたのは本当だけど、今はそこまで不安定では無いよ。

ただ、魔法の影響が残っていたから隣国に行かせただけだ」


母親にあんなこと言われるとは思わなかっただろうな。あいつは母上に一番可愛がられていたから。


「……ジーク様は知っていたかもしれません。

王妃様がご自分の身代わりとして愛していること」

「どうして?」

「昔聞いたことがあるんです。王妃様はジーク様が大好きなのねって私が言ったら、母上は寂しがりやだから、って言っていました。

その時は意味が分からなかったのですけど、今考えるとそういう意味だったのかなって」

「……そうか」


私などジークに嫉妬したこともあったのにな。私には見せたことのない愛情をジークに向けていたから。

恥ずかしくて言えなかったけど、私は?私への愛は無いの?と思っていた時期もあった。

まあ、それ以上にジークが私を兄として慕ってくれるからすごく可愛くて、いつの間にか嫉妬も消えたけど。

あの時、母上に伝えていたら何かが変わっていたのだろうか。


「人の愛情はままならないね」

「そうですね」


リーゼロッテを見送ってから父上のもとに向かう。なんだか一気に老け込んだな。



「こちらは終わりましたよ。自分の意志で魔法を使ったことを自白しました。反省もまったくしていないゴミ屑でした」

「そうか。こちらも終わったよ。お前達の幸せを祈ると言っていた」

「はあ?」


……なんだか夢見がちなことを言ってるぞ。


「何を言っているんですか。まだ働き盛りで王妃としての能力はあるのですから、楽隠居なんてさせませんよ。

回せる仕事はバンバン回します。表舞台に出られなくてもやれる事はたくさんありますから。

リーゼロッテもそう言ってましたよ?反省してほしいけど、復讐したいわけじゃないって。

だから迷惑をかけた分しっかりと働いてもらいます。もちろん陛下もですよ」


母上の夢物語になんか付き合ってられん。


「……リーゼロッテは強いな」

「はい、マルティナを2回もぶん殴っていました」

「殴ったのか」

「はい、2発目が特に強烈でした」


陛下が笑いだした。さすがに2度も殴るとは思わなかったのだろう。


「やはり嫁に来てほしかったな」


「まだチャンスはありますよ。ジークに会いたいそうです。あとは留学希望です」

「そうか。チャンスはあるか。

……私達にもチャンスはあるだろうか……」


父上は母上のことが好きだよな。私には分かるのに母上には伝わらなかったのは何故なんだ?


「母上はどうして愛されていないと思っていたのでしょうね」


「……彼女の望む愛情表現が出来ていなかったのだろう。今なら分かるがな、こうなるまでまったく分からなかったぞ!」


おお、逆ギレだ。母上の望む愛され方?


「あぁ!ジークですね!あいつはいつもリーゼロッテに愛を囁きまくっていましたよ。

ようするに、心の中だけじゃなく言葉に出して伝えるようにってことですか。

なるほど、勉強になりました。

父上の様な失態をおかさないように私も気を付けます。悪い見本をありがとうございます」


これから家族がどうなるのか。両親の恋愛事情など知りたくもないが、ジークのことだけは応援しなければ。


だがまずは、愛する妻に愛の言葉を告げに行こう。






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