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時空を超えて1.8 二差し出された手

これはもう2と3前提ですね。これを読む前に2と3をご覧ください。しかしあの事件どこ行ったろう。


出てくるのかしら。順番に載せてるのでお待ちくださいね。



 エリザベスと未沙の結婚式が執り行われたその場にシャーロックも私も同席した。シャーロックは私もしろというけどあまり派手な衣装を着る気にはなれなかった。二人は太陽の光を浴びてキラキラ光っていた。私には最初の質素なシャーロックとの式が一番大事だったから祝う側で充分だった。

「キラキラ光ってきれいね」

「だから言ったろう。君も式を挙げればいいと」

 ううん、と私は首を振る。

「最初の結婚式で充分。あれほど幸せだった時間はないわ」

「アミィ」

 シャーロックが肩を引き寄せる。とたん、吐き気がした。なんだかくらくらする。

「アミィ? つわりか?」

「え?」

「ほら。検査薬を渡すから調べておいで」

「ってよくそんなもの持ち歩いてるわね」

 女性側でもないのに。

「妻がいつ妊娠したか知るのは夫の権利だ。さぁ」

 私はそうしてきらびやかな式の合間を縫って妊娠検査薬をもってトイレに行くことになった。そして驚愕の思いでまた夫の元へ戻る。

「シャーロック!!」

 私は飛びつく。嬉しくてたまらない。

「赤ちゃんよ! 二人目よ!」

「おめでとう。アミィ。お姉さん」

 未沙が駆け寄る。

「ありがとう」

 涙ぐむ私を抱きしめてくれる。

「長かったものね。今度は。アミィが悩んでいたのを知らない私たちじゃないわよ」

「アミィ。そうなのか?」

「相変わらず世紀の頭脳を持つ医者なのに鈍感ね」

 未沙が突っ込んでくれる。

「いいのよ。未沙。コールドスリープの被験者だからどこかがたが来ていてもおかしくないんだから。シャーロックを責めないで」

「それで最近めそめそしてたのね」

 とエリザベス。

「めそめそしてるのは性に合わなかったけどつじつまが合うから許すわ」

「ベス。アミィを責めてはいけないよ。アミィは一番初めに目覚めた。それゆえ試練も多かったんだ。私たちみたいに簡単にはできてないんだよ」

「マイクロフトが言うならしかたないわね。涙ふいてあげる。お姉さん」

「エリザベス?」

 クローンでもない彼女に姉扱いされて私の涙はひっこむ。

「何言ってるの。あなたと私の世界は一緒なのよ。たった三人の姉妹なんだから」

「エリザベス・・・」

 勝気な彼女から聞けると思っていなかった。泣いてエリザベスにはりつく。そこへ未沙もくっついてくる。シャーロックが何か後ろで言ってるけど、女三人寄って姉妹愛を堪能していたからわからない。

「ママぁ」

 なのにジュニアの声はしっかり聞こえた。笑っちゃうわ。シャーロックに何言われるやら。

「ジュニア。いいことが起こったの。ママ。赤ちゃんを授かったのよ。ジュニアに弟か妹ができるの。もう独りぼっちじゃないわよ」

「いもうとー」

「ん?」

 息子の瞳をのぞき込む。

「赤ちゃん、いもうとー」

 はぁ? この子は性別もわかるの?!

「シャーロック。この時代の子はすぐに性別までわかるの?!」

「さぁ。この子の独特の感性だろう。本当に私の血を引いているのかもな」

「さぁって・・・」

 あんぐり口を開けているとエリザベスがベールをかぶせる。

「ベス?」

「娘のためにもかわいいウェディングドレス作ってあげなさいよ。マイクロフトに聞いたら白いワンピースだったのですって?」

「って? もう一回結婚式上げるの?」

「そうよ。橘家長女として盛大に結婚式を挙げるのよ」

 周りがうんうんとうなずく。

「ええー!!」

 私の叫び声は空の向こうに消えていった。


 おなかが大きくなる前にと特注でウェディングドレスが作られた。しめつけないゆるいものだけど。つわりの合間に作られたウェディングドレスを着てガーデンウェディングパーティーが行われた。つわりはやや収まっていてなんとかパーティーに参加できた。

「このドレスを上げるの? 娘なら清いウェディングドレスのほうが」

「命の神秘にけちをつけるもんじゃない」

 夫にぱこっと殴られる。

「もー。赤ちゃん流産したらしらないからね」

「私の娘だ。そうそう流れない。マイクロフトの血も引き継いでるんだぞ」

「そうね」

「アミィ!」

 マイクロフトが突っ込んでくる。最近穏やかになったマイクロフト。ベスのおかげ。そんな小さな変化がうれしい毎日。

「マイクロフトとベスの間にも生まれてくるといいわね。未沙とクリスの間も」

「私とクリスは新婚生活を満喫してるの。だからジュニアが息子代わりよ。ねー。ジュニア」

「ミー」

 ジュニアはそう言って未沙の足元にピタッとつく。それをシャーロックがあわててはがすけど盛大な声で泣きだす。

「ジュニアは未沙おねえちゃんが好きなのね。でも未沙おねえちゃんはクリスの奥さんよ」

「アミィ。とどめを刺したな」

 恨みがましい夫の視線を受けて私はきょとんとする。

「ジュニアの初恋は今敗れた。ジュニア。ママを放っておいてパパと遊ぼう」

 すでに結婚式じゃない。子育ての場だ。

「ちょっと。シャーロック!!」

 つい先ほど愛の誓いを立てたところなのに離婚の危機。

「放っておきなさい。男親にしかできないことをしようとしてるのだから」

「だからって愛妻を放っておいていいわけじゃないわ」

 エリザベスが肩を持ってくれる。勝気だけどいい妹であることが最近わかってきた。

 急に心細くなって涙目になる。

「アミィ。せっかくの結婚式なのに放っておかれるなんて。シャーロックは何考えてるのかしら」

 未沙が抱きしめて慰めてくれる。私はわっと泣き出す。

「妊娠で精神的に不安定なのに。マイクロフトもああなったらしらないからね」

 ベスの突っ込みにマイクロフトも固まる。

「ママー」

 息子がとんでくる。

「ジュニア。ママ失格ね。ジュニアの事を考えてあげられなかったわ」

「ママ、ちゃう。ふきふき」

 精いっぱい背伸びして涙を拭こうとする息子にまた涙があふれる。

「ああ。アミィ。すまない。また泣かせてしまった」

「シャーロック・・・。私の事好き?」

 気弱な発言にシャーロックが抱きしめてくれる。

「好きどころか愛している。その証が二人目の子じゃないか。一緒に喜んでやれなくて悪かった。体を大事にしてくれ。また産休と育休を取る。二人でこの子を育てよう」

「シャーロック」

 どうしてかわからないけど涙がどっとあふれてくる。なんで泣きたいのかわからない。心の中がゆらゆらしている。今までの事が走馬灯のようにめぐる。初めて出会った時からあの冒険まで。

「もう終わりじゃない。始まりなんだ。私とアミィの物語は。これから紡いでいくんだよ。ずっと」

 背中をぽんぽんと叩いてあやしてくれる。夫のその気配と気持ちに涙が収まっていく。

「ずっと緊張しっぱなしだったのだろう。アミィは。思いっきり泣いてリラックスすることも覚えたほうがいい」

 マイクロフトの指摘にシャーロックの不安そうな声が降ってくる。

「アミィ。私ではだめなのか?」

「ちがうの。言葉一つとっても私にはまだ勉強中で・・・。名前も違って。本当の自分が見えないだけなの。シャーロックのせいじゃないわ。私の勉強不足よ」

「その頑張り屋さんなところは好きだが、少しは私に預けてくれ。夫でいる意味がない」

 シャーロックの困った声に私はうーん、とうなる。

「リラックスってどうすればいいの?」

 私の基礎的疑問に一同唖然とする。

「ああ。アミィ。私は間違っていた。君にゆっくりすることもさせてやれなかったんだな。夫失格だ」

 離れそうなシャーロックの背中をぎゅっと抱きしめる。

「シャーロックのせいじゃない。私が悪いの。お願い。行かないで」

 私の必死の声にシャーロックのいぶかしむ声が聞こえる。

「シャーロックが離婚でもすると思ったんだよ。アミィは」

 マイクロフトが解説してくれる。

「まさか。どうすれば君は幸せになれるんだ? 笑ってくれるんだ?」

「もう幸せよ。ただわからないの。この世界にきてまだ数年。慣れないだけなの。いずれ出産したらそんなことも言ってられないわ。それまでの辛抱よ」

「辛抱はよくない!」

 一斉に言われて周りを見渡す。

「みんな?」

 なるほど、とマイクロフトがいい、シャーロックがお姫様だっこしてベンチに腰かける。

「私の膝の上でゆったりすればいい。最近、子育てばかりで君をかまってやれなかった」

「シャーロック・・・」

「愛している。私の一番の愛は君に向いている。だから悲しいこともつらいことも全部ぶちまけてほしい。君のすべてを守ると決めたのだから。思い出も何もかも」

「ああ。シャーロック。愛してるわ。ただ私は不器用でたまに昔のことを思い出すのよ。そんな時そばにいてくれたらと思うの。でもシャーロックは仕事があるもの。お荷物にはなりたくないのよ」

「君はよくそのお荷物になるのが嫌だというね。私にはアミィは宝物だ。何があっても宝物だ。もうそのお荷物という考えは捨ててほしい。ジュニアとともに宝物なんだよ」

「シャーロック」

 私はシャーロックの胸に顔をうずめる。涙がこぼれる。探偵の妻として。優秀な外科医の夫の妻として。ずっと考えてきた。なのに私ったらいつも失敗ばっかり。シャーロックに宝物と言われるほどの事はなにもしてない。しゃっくりあげているとシャーロックが顎を持ち上げる。愛情のこもったキスをしてくれる。

「君は私の優秀な妻だよ。冒険にもついてくるし、子育てもしてくれるし、家事もしてくれる。そして一番に私の事を考えてくれる。愛してくれる。こんな素晴らしい妻を持った私は・・・日本語でなんというんだったかな。そう。果報者だよ」

「シャーロック」

 伸ばした手をシャーロックがとる。

「たまには私から手を伸ばさせてくれ。いつも君の愛の手をうけとってる」

 そういって手を戻すと手を伸ばしてくれる。私は涙であふれた視界でシャーロックの手を見て握る。シャーロックが握り返してくれる。

「ああ。君はこんな気持ちでいつも手を伸ばしてくれてたのだね。ありがとう。何度も言うが愛している。離したくない。この二人目の子が承認者だ。私、シャーロック・ホームズは一生涯亜弓橘を愛し続けることを誓う」

「シャーロック。私もこの命続く限りあなたを愛しているわ」

 シャーロックの首に抱き着く。

「落ち着いたかい?」

 お邪魔虫のドクター・ワトソンが出てくる。

「もう少し堪能させてよ」

「じゃ。出直すよ」

「もう。いいさ。続きは家でするから。また後で語り合おう。アミィ」

「そうね。祝いの席に涙は不要ね。料理を食べるのを忘れてたわ」

「君はつわりがあるからさしさわりのない料理を選んだつもりだが食べれるかい?」

 夫の発言で私はえ? と振り向いた。

「この結婚式の準備は全部、弟と息子でしたんだよ」

「マイクロフト。ばらさないでくれ」

 照れくさそうなシャーロックに私はとびついていた。

「最高のダーリンよ!!」

 熱い抱擁をしていると息子の声が聞こえる。抱き上げたいところだが無理は禁物。代わりにシャーロックが抱き上げる。

「ジュニアも準備のお手伝いしてくれたのね。ありがとう。ママ幸せよ」

「ママ。だいしゅき」

 私は耳を疑った。文章になった言葉を聞いたのは今が初めて。

「ジュニア。今、なんて?」

「ママ。パパ。だいしゅき」

 ジュニアの頬にキスを盛大にする。

「ママもジュニアの事が大好きよ。パパもね」

「ああ。パパもジュニアが大好きだ」

 一見落着したウェディングガーデンパーティはその後遅くまでつづいたけどシャーロックが夜風はだめと強引に連れ帰ってしまって最後まで残れなかった。残ったメンバーはシャーロックの金だということで祝杯をいつまでも上げていたと未沙が教えてくれた。その未沙も今、妊娠している。息子の性別判定では未沙は女の子を妊娠しているらしい。天才の片りんを見せ始めたジュニアのこれからが空恐ろしい。

 そして私は一層甘やかす様になった旦那様に甘える日々を送っている。ただ、いまだに夫のそばだとどきどきしてリラックスとは程遠いんだけど。

 ただ、三人で娘に声をかけているときは本当にゆったりとした時間でこれがリラックスかしらと思ってる。そう言えばおなかの子は双子でそれを聞いたシャーロックは浮かれに浮かれた。そんなに女の子が欲しかったの? と聞くと私似の女の子が欲しかったといわれた。未沙たちの言葉を借りるとシャーロックは私にべたぼれだという。私がシャーロックを愛しすぎてるんじゃないのというとお互いそうなんだそう。マイクロフトまでうなずくからそうなのね。みんなもお互いいい感じなのにというと私とシャーロックに負けるといわれた。そうなのかしらねぇ。


 私、何人子供産むのかしら? それは神様だけが知っているみたいね。


※まだ続きがあったー。次こそラスト。でもネタばれしてるんだけどね。登場人物的に。これ後が良いのかしら? しかし、よくもまぁ、こんなにラブシーンばかり書いてるわね。自分の手と頭が恐ろしい。若いっていいわね。オバさんと化した私にはもう思い付かない。でもリラックスがわからないあたりは二次の主人公とにている。流石に名前がもじっただけの事はある。これ、本にはできないほど馬鹿馬鹿しいあちあち話でした。


あまい。子供もスーパー脳みそ持ち。当麻君はそうでないと。とトルーパー愛がとまらない。

甘かったのですがもう一話あります。我慢してください。全伏線回収の一つです。

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