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時空を超えて1.75 宝物の時間

はい。番外編続きです。1.85まであるので我慢してください。激甘なので危ないシーンとか(事実があっただけ)ちょっと大人の事情ってやつです。

甘いのがいらない方は無視してください。

 私とシャーロックはツアーを中止して一足お先にイギリスへ戻った。もちろん。シャーロックはミスタ・ウィルソンとして。空港のトイレで元の姿に戻ったシャーロックは我が家へ一直線に帰宅しようとしていた。

「ちょっと待って。マイクロフトの屋敷に荷物が・・・」

「それならマイクロフトが運んでくれてるよ。君は最小限のものしか持ってなかったらしいから大して荷物にならないと言っていた」

「でも。あなたからの贈り物がたくさんあるわ」

「そんなものこれからいくらでも・・・」

「シャーロックの馬鹿! あれがどれだけ私の心を慰めたかわからないの?! あの贈り物を見てはあなたへ愛を語っていたのよ」

「アミィ・・・」

 何とも言えないシャーロックの頬にキスをする。

「どれだけあなたへの愛を伝えていたか。クローンなんて冷凍人間なんてあなたには邪魔ものだけどクローンでも人を愛せるのよ、とずっと言っていたのよ」

「アミィ・・・」

 シャーロックは車から手を離すと助手席の私を抱きしめる。

「シャーロック。運転!!」

「今は自動運転だから大丈夫だよ。今すぐ君を私のものにしたいぐらいだ。そんなに愛されているのに私は・・・」

 シャーロックが後悔の念にかられているのがわかった。

「シャーロック、後悔しないで。すべて私が悪いの。あの日、スーパーに出かけなかったらこんなことにはなってなかった。すべて私のせいよ」

「アミィ」

 シャーロックが強く抱きしめる。

「お願い。あなたの贈り物を飾らせて」

「わかったマイクロフトの屋敷に行こう」

 やっと手を離したシャーロックはナビに何かを打ち込むと進路を変えた。


 屋敷につくなり執事がでてきた。

「マイクロフト様はお出かけ中です」

「またあの結社か。今日はアミィのものを取りに来ただけだ。私からの贈り物を我妻は絶対に持ち帰ると言っている。あるなら渡してほしい」

「アミィ様の持ち物は花は画像に収められ、物はすべてシャーロック様の家に送付済みです」

「へ?」

「どうやら。この展開を兄は読んでいたらしいな」

「お花。画像にしてくれたの?」

「フォトブックにしております」

「マイクロフト大好き!」

 執事に抱き着くとシャーロックがべりっとはがしにかかる。

「他の男に抱き着くんじゃない」

「やきもち焼き」

「なんとでもいうがいい。アミィが触れていいのは子供たちと私だけだ」

「もう。シャーロックが一番よ」

 抱き着くと頬にキスをする。

「じゃ。バトラー。今までありがとう。また来るわ」

「お待ちしております」

 執事は丁寧に頭を下げると扉をしめた。

「それでは。奥様。わが家へ帰ろうか」

「ええ。旦那様」

 心が軽くなって軽口をたたきあいながら車に乗るとロンドン郊外のわが家へ急ぐ。


「ただいまー」

 つい日本語でいってドアを開ける。

「アミィはいつもそれを言うな」

「だって国際語にも英語にもないんだもの。ってどこがネズミの巣窟?」

 開けた玄関から覚悟を決めていたのにきれいさっぱり掃除されてる。

「アミィさん。ホームズさん。おかえりなさい」

 玄関口に出てきたのはハドソン夫人だった。

「マイクロフトさんが家をきれいにしてやってくれとおっしゃってやっとここまできれいになったんですよ」

「ナイス。ハドソン夫人!」

 そういって懐かしい老婦人に抱き着く。

「お料理もできていますよ。アミィさんは少しお痩せになったようですね。新妻がやせるのはあまりよくありませんよ」

 新妻と言われて少し顔が赤くなる私。

「アミィはシャイだな。そうだな。事件も解決したことだしもう一度式を挙げようか」

「式って結婚式?」

「そうだが?」

「いらないわよ。どうせ参加者決まってるもの。大事にしないほうがいいわ」

「そうか。いい案だとおもったのだが」

「私にはみんながいてくれるだけで充分。あとは赤ちゃんと」

 あら、とハドソン夫人が声を上げる。

「おめでた?」

「まだよ。これからの予定。ハドソン夫人は何人産んだらいいと思う?」

「といわれましてもねぇ。部屋の数でお考えになったら?」

「なるほど」

「何を女同士でやっているんだ。さぁ。夕食を食べるぞ。ハドソン夫人の料理は久しぶりだ。このまま残ってくれるとありがたい」

 シャーロックの言葉に私も思わずハドソン夫人を見る。そうなったら苦手な掃除が免除される。

「アミィさんが少しお戻りになるまではいてもいいですが私の下宿先の住人の世話がありますからね。さぁさぁ。こちらへどうぞ」

 ダイニングテーブルには豪華絢爛な料理がならんでいた。

「ハドソン夫人。今日、シャーロックの誕生日なの?」

「いいえ。お二人の門出を祝って盛大にと指示を受けましてね」

「あら。結婚式しなくてもしっかり披露宴にはなってるわね」

 私の言葉にシャーロックは唖然としている。

「あの兄がこんなことをするとは……。明日は雨だ」

 その言葉に私はにっこりする。

「それならその分、家で一緒にいられるわ」

「展望の明るい君には負けるよ」

 ホームズはそう言って魅惑的な微笑みを浮かべる。どきり、とする。

「真っ赤になってるよ」

「もう知らない!」

 私はそっぽ向いて豪華絢爛のディナーに手を付けることにした。


 夕食を終えて荷物を整理する仕事が私には待っていた。あちこち移動する。

「シャーロック。私の部屋はそのまま?」

「そうだが」

「OK。シャーロックの贈り物を飾らなきゃ」

 小さな一人用の部屋に山ほどのシャーロックの贈り物を飾る。

「飾り切れないわー」

 途方に暮れているとシャーロックが持っていたものをとる。

「シャーロック?」

「今日から君の部屋は私と一緒だ。そちらに飾ればいい」

 へ?

「夫婦が一緒じゃないのはおかしいんじゃなかったんじゃないかい?」

「あ」

 顔が真っ赤になる。シャーロックは私をお姫様だっこするとシャーロックのベッドへ連れていくとそのままベッドに座らされる。シャーロックは白い箱を取り出すと私に差し出す。。

「新妻への贈り物だよ。バスルームで着替えておいで」

「何?」

「ほら。行っておいで」

 中身を明かさず、背中を押されてつんのめる。

「もう。シャーロックったら」

 ふんばって彼の顔を見るとこれまた最上の微笑みを浮かべていた。心臓が早鐘を打つ。私はあわててバスルームに向かった。


 そろりとシャーロックの部屋に戻る。箱の中身はネグリジェだった。鏡で見てみるとそれは似合っていた。白いリボンがたくさんついた私好みのものだ。

「私の目に狂いはなかったな」

「ほんと!?」

 似合っているといわれて私は嬉しくなる。嬉しそうな私の表情を見てシャーロックも嬉しそうな顔をする。

「本当に、よく似あっている。だが、残念ながらすぐにお役御免だが」

「お役御免?」

 急に視界が変わった。目の前にシャーロックの顔と天井。

「アミィ。愛している」

 そういってシャーロックはキスをする。絶妙なキスに私はくらくらする。

「優しくしてね」

「ああ」

 私はすべてをシャーロックにささげた。


 翌朝、数時間ほど眠ってシャーロックの気配で目覚めた。

「ちょっとどこ触ってるの」

「妻の体だが」

「また逆戻り?」

「それはこの体温計の後に」

 ん?

 口に体温計を放り込まれる。すぐにぴっとなってシャーロックは引き抜くとタブレットに記入する。

「基礎体温を測るのは当たり前じゃないか。妊活には」

「あ」

「さて。朝の妻を味わうか」

 再び、シャーロックの愛撫に身を震わせることになった。


 ちゃんと服を着て起きだしたのは昼間になってからだった。使ったことのない筋肉を使って筋肉痛になる。シャーロックは医者のため緩和しようとしてくれたが結局逆戻りになるので遠慮した。だってすぐキスになるんだもの。シャーロックは欲求不満なのかしらと思って言うと当たり前、という答えが返ってきて意味がなかった。これじゃ、毎夜が思いやられるわ。

 あの天下のシャーロック・ホームズが・・・。イメージががらがら崩れていく。

「一体どういうイメージを持っていたんだい」

 新婚夫婦を思いやってハドソン夫人はあっという間に消えていた。

「クールでナイスガイのシャーロック・ホームズよ」

「じゃ。残念だったね。愛妻にとことん惚れた夫だよ」

「欲求不満のね」

「あれだけ抱いてくれないとだだをこねたのに」

「こねても限度があるわよ。さぁ。ランチにしましょ」

 テーブルに料理を並べる。その私の後ろ姿からシャーロックが唇を寄せてくる。

「まずは。おひるごはん。そのあとなら何してもいいわよ」

「言ったな。覚悟したまえ」

「はいはい」

 軽く一蹴するとシャーロックがきょとんとする。

「アミィ。性格変わったのかい?」

「別に変わってないわよ。とにかくおなかペコペコなの」

「じゃぁ。手料理をいただこうか」

 あれだけ偏食だったシャーロックが嫌いなものまで食べている!

「シャーロック! 偏食直ったの?」

 驚愕のまなざしでシャーロックを見る。

「妻の料理ならなんだって食べるよ」

 シャーロックの愛情の深さに思わず、私はぽろぽろ泣く。シャーロックが慌てる。

「アミィ。どうした!」

「だって。シャーロックがこんなに思ってくれているんだもの。これがうれしくなくて何なの」

「アミィ・・・。そんなに私は君に冷たかったのかい?」

「え?」

 きょとんとしてシャーロックを見つめる。

「食べるだけで泣くだなんて。私は君の事をまったく考えていなかったのだな」

「ああ。シャーロック。後悔しないで。仕事だったんだから」

 シャーロックが手を止めて私の手を取る。

「そうだ。最初は仕事だった。だが、懸命に頑張る君を見ていたら愛するようになっていた。君が誘拐されたときは身も凍る気分だった。おまけに銃を口元に持っていくなんて」

「シャーロックのお荷物になりたくなかったのよ」

「お荷物どころか宝物だよ。愛している。それを忘れないでくれ」

 愛情にあふれたまなざしで見つめてくる夫を私はにっこりと受け止める。

「ええ。シャーロック。永遠に愛しているわ」

「アミィ。その言葉がどれほど心にしみわたるか。君と結婚してよかった」

「私もよ。憧れのシャーロックだもの」

「その物語のシャーロックに焼けるな」

「私のシャーロックはあなただけよ。って水掛け論ね。言い合ってたらランチ食べそこねるわよ」

 そう言って私はランチに手を伸ばし始めた。しばらくそんな私を見つめていたシャーロックも食事を再開した。


 それからのことはご想像の通り。


 妊活はうまくいき、一人息子のjr.シャーロック・当麻を授かって今は親子三人仲良くくらしている。次は女の子だとシャーロックが息巻いている。幸せな物語はいつまでも続くのね、と私は毎日幸せをかみしめている。


 時代も世界も飛び越えて出会った夫と息子。いつまでも愛しているわ、と心の中でつぶやいていた。


※相変わらずの、いちゃいちゃぶりに危ない発言ばかり。おいおい。現在、健全化委員会を立ち上げての連載途中の事を思うと、まぁ、昔の私は欲求不満だったのね、とつくづく思う。このあと、もう一本、番外編があります。どうなってももうしらない。放り投げた。私は。


はい。甘いです。まだ続きます。終わってほしい。よくも書いたもんだ。

次いきまーす。

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