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『長編版』ゴリラ物語 〜全てはゴリラとバナナで解決〜  作者: ほしのしずく
ゴリラ、ハロウィンを満喫する

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テーマパークへ

 ――5分後。


 時刻【19時00分】


 ゴリラ達は駅を降り、入出門ゲート付近へと来ていた。


 右側には、さまざまな飲食店が建ち並んでおり、周囲には甘い匂いや、香ばしい匂いなどがふんわりと漂う。


 左側には、ISJが提供しているホテルがあり、印象的なロゴがライトアップされ、そのエントランスまで続く道のりには光のトンネルがあった。


 ビルや工場が建ち並ぶ、都会のジャングルとは別世界だ。


 その光景を目の当たりにしていたゴリラは当然、心躍らせていた。


「ウホ! ウホ! ウホ!」


 ドラミングとまではいかないが、軽くスキップをしている。


「ふふっ、ゴリラさん。子供みたいですよ」


 もう手は繋いではいないが、しっかりと隣をキープしているすももが言う。


「ウホウホ?」


「はい! 私も楽しみです!」


「ウホ!」


 隣にいるすももが楽しんでいる。


 この事実を聞いたことで、ゴリラの喜び度数はグンと上がった。 


 一方、彼らより少し後方を歩く犬太と誠もなかなかいい雰囲気でこの特別な時間を楽しんでいた。

 

「犬太の乗りたいアトラクションは何ですか?」


「僕が乗りたいアトラクションですか……そうっすねー……」


 スマホでパーク内のアトラクションを検索する犬太。


 それが気になったので、誠は無意識で顔を近づけた。


「……誠さん、その……ちょ、ちょっと近いっす」


「あ、ご、ごめん……ついつい」


 自分から顔を近づけたのに赤面する誠。


「い、いえ……わざとじゃないなら、大丈夫っすから」


 犬太も犬太で、近づいたことによってドキドキしてしまい顔が見れなくなっていた。


 実は、2人とも人と付き合うのは初めて。だから、大人な雰囲気なんて微塵もなかった。


 何だったら、高校生カップル……いや、中学生カップルくらいの感じかも知れない――つまりは絵に描いた青春といったような――なんとも微笑ましいやり取り繰り広げるのであった。


 


 ☆☆☆

 



 ――10分後。


 時刻【19時10分】

 

 ゴリラ達は入出門ゲートの前まで来ていた。


 やはり、すももの予想通り、いや予想以上に人が多かった。 

 とはいえ入出門ゲートが10カ所あるので、流れてはいるが、周囲を見渡せど見渡せど人、人、人であった。


「予想してたより、人が多いですね……」


 ゴリラの隣にいるすももが言う。


「ウホウホ?」


「はい、私達は11時にはここを出る予定ですね」


「ウホ!」


「いいえ! 気にしないで下さい。あ、列が動き始めましたね……どうやら、私達の番が来そうです」


「ウホウホー!」


「ですね! 楽しみです。せっかく来たんですから色んなアトラクションに乗らないと! あ、そうだ――」


 持っていた桃色のポーチを開け、バナナ先輩の付いたカチューシャを取り出し、そのカチューシャを自分の頭にそっと付けた。


「これ……です。ど、どうですか? 似合いますかね……?」


 このカチューシャは、ゴリラが喜んでくれるかも知れないと思って悩みに悩んだ末、バナナ先輩のポップアップショップで買い持ってきた物であった。


 しかし、すもも自身は恥ずかしがり屋な為、ISJに着くまで付けれずにいたのである。


「ウホー!」


 予想外のことに白い歯を見せて喜ぶゴリラ。


「うへへ……喜んで頂けて良かったです」


 1頭と1人の間に暖かい雰囲気が流れていると、前方のゲートから声が響いた。


「前列のお2人ー! こちらに並んで下さいー!」


「あわわ! は、早く行きましょう!」


「ウホ!」


 ゴリラとすももは係員の言葉に申し訳なさそうにしながらも、チケット売り場を通り抜け、ゲートに向かった。


 


 ☆☆☆




 入出門ゲート前。


 右側にはISJのロゴにもなっている大きな地球儀モニュメントが煌々と輝き、左側にはトイレがある。


 そして前方のゲートには係員が2人ついており、手前で荷物チェック。後ろでチケットの確認をするといった感じだ。


「では、こちらにどうぞー!」


 女性係員がゴリラを案内する。


「ウホウホ」


 彼はその指示に従い、女性係員の前まで進むと、バナナのショルダーバッグをそっと手渡した。


 女性係員は中身を確認するとゴリラに笑顔を向けた。


「はい、大丈夫ですね!」


「ウ、ウホ!」


 女性係員の一言にゴリラは安堵の表情を浮かべる。


 だが、完全に晴れやかではない。


 彼の頭にはいつも持ち歩いているモンキーバナナが浮かんでいた。


 そう、ゴリラは大好きなバナナを持ってこなかったのである。


 本当は持って来たかった。


 けれど、パーク内はそこで買った物以外の飲食は禁止なのだ。

 しかし、ゴリラの主食はバナナ。

 もちろん、たまには人間を真似て他の物も食べるし、好きな物もちゃんとある。


 でも、やはり彼にとってはバナナがオンリーワンであり、ナンバーワンなのだ。


「ウホウホ……」


 ゴリラは大切な存在(バナナ)を思い出したことで、しょんぼりする。


 その様子を見ていた女性係員がつかさず尋ねた。


「お客様、どうかされましたか? ご気分が優れないのでしたら、チケットの払い戻しなどにも応じさせて頂きますが……」


「ウ、ウホウホ!」


「あ、ご食事で悩まれていたのですね! ちなみに何で悩まれているのでしょうか?」


「ウホウホ……」


「なるほど、バナナですか……バナナでしたらパーク内にありますよ!」


「ウホウホ?」


「いえ、そのままのバナナではないですが、チョコバナナフレーバーのパフェやバナナムースといったデザートですね!」


「ウホー!」


 ゴリラは反射的にその場で飛び跳ねる。


 楽しい日になることは間違いない。そう確信していた。

 だが、バナナを食べることは諦めていた。


 その中での、耳寄りな情報。


 ドラミングしなかっただけ、よく耐えたと言えるだろう。


「ふふっ、それではチケットを拝見致しますので、後ろにどうぞ」


 女性係員は優しく微笑むと後方に行くよう促す。

 

「ウホ!」

 

 対してゴリラも笑顔で返し歩みを進める。


「お客様、チケットをこちらに翳して頂いても宜しいでしょうか?」


「ウホ」


 ゴリラは後方にいた男性係員の指示に従いバナナのショルダーバッグから、スマホを取り出し予め表示させていた電子パスを読み込み機に翳す。


「はい、確認できました! それではいってらっしゃいませー!」


「ウホウホー!」


 男性係員の「いってらっしゃい」の言葉に両手をあげて応じる。


 こうしてゴリラは無事パーク内に入ることができた。

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