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現在と過去9

会社をやめて、半年間勉強に集中できたから、編入試験には意外と簡単に通った。オレはこの春から心理学部の三年生で空白だった大学生活を満喫することになる。アズミは教員免許を持っているから、シオリと同じ学校で穴の空いた中学生活を振り返ることだろう。


「どぉ!?きょう」

久しぶりにこの言葉を口にしたが、アズミはもう仕事のことを答えることはない。会社をやめてからプライベートにも触れるようになったのだ。


「森田君は中学の時から好きだった」

試験に受かって、少し自信を取り戻し、オレは聞きたかったことを直接聞いた。森田は中学二年の冬に引っ越しでアズミと同じ中学に転校してきたそうだ。アズミは彼が一人で読書をする姿を見て、孤独に耐え抜いたと言う。高校の時の話もしたが、それは全て想像通りだった。


「予備校で再会した時に誤解が解けたんだけど、そのまま東京の大学に進学して、大学院を出て、戻ってきた時はもう遠い世界の人になっちゃって」

アズミは母親を一人残して、上京する決心がつかず、地元の大学に進学していた。森田みたいに東京まで行けば、もっといい大学はいくらでもあったが、後悔してる様子はない。


アズミは地元では偏差値の高い高校を出ているが、それは格好ばかりでアズミの周りの女の子達はテスト前になると、決まって友達と言い出して、ノートだの参考書だの借りていくそうだ。


おまけに一緒に勉強しようと言う子の先生代わりにならなくてはいけなくて、自分の勉強はできなく、難関大学を目指す予備校に通っていたが、自分がいい大学へ行くよりそんな高校生にならなくていいように中学のうちから勉強の楽しさを教えられないかと地元の教育学部に入ったのだと。


オレなんか大学に入っても、そんなことやっていたが、高校の時はむしろそんな方法をとらず、赤点を取っても、真面目に補講を受けていた。 先生にはこれでは大学どころか卒業もできないぞと脅されていて、こんな先生達に媚を売って、要領よく、推薦が決まった同級生を見返すために大学受験をした。

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