表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

現在と過去4

それから高校の同窓会にも足を運んだ。アズミとは何の関係もない高校だが、ナオキのように同じ中学の子がたくさんいる。


その一人である沢村(さわむら)(あか)()も来ていた。例のイヴの夜にフラれた相手でもある。アカネはそんなことも忘れてしまったかとように明るく話しかけた。高校時代からそうだった。さっぱりした性格だ。だから、好きになったのだろう。


「アカネは桜井杏子実って知ってる?」

埋まってしまったのでは物足りないらしく、ナオキの時と同じ質問をした。アカネはえぇと言って、少し考え出した。


「今、同じ会社にいるんだ」

アカネはなんだ〜という感じで、ナオキと同じようなことを話し出した。そこでナオキの話もウソではなかったことを確信した。


「あの子、なんか魅力的なところがあって、男子取られそうで怖かった」

アカネはそんなことまで話してくれた。アカネは十分魅力的な女の子だが、その気持ちは分からないでもない。アズミは男を夢中にさせるような魅力的なものを持っている。アカネも無視をしていた一人だったが、それもよく分かる気がした。魅力的であるほど近づきにくいのは同じだから。唯一違うのはオレが男で夢中になってしまっただけだ。女の子なら、他の子と一緒に無視したことだろう。


オレはもう一つ聞きたかった男の話に移した。

「森田君のこと?」

アカネの話では有名私立高校に進学したのは森田もりたさとるくらいだと言う。アズミと同じクラスになったのは三年生だけでその時はアカネも一緒のクラスでも何の接点をなかったと話す。これ以上の情報は無理だった。アカネの中学でもここ何年かで同窓会は開かれていたが、森田とアズミは必ずと言っていいほど顔を出さないらしい。その理由も分からなくもないので、誰一人として口にしないのだ。


「アズミには悪いことしたわ」

アカネはそれだけ言って、オレのところから離れていった。イヴの夜の話は何もしなかった。


他に手がかりはないかと例のノートを眺めていた。教育学のノートだった。オレは家庭教師をやっていた時に何気なく、取った科目だったが、アズミは教育学部出身だ。なぜアズミは学校の先生にならなかったのか、ユーメに聞いたことがある。そんなの知らないわよって怒られた。優しくて、何でも教えてくれるユーメに怒られたのは初めてでそれからアズミのことは聞けなくなった。いじめ、不登校――こんなことを勉強して、アズミは何を思ったのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ