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事実と空想9

「留学とはまた大きなことを――」

教授は感心した。オレは卒業後、森田みたいに進学することを考えていたが、こんな狭いところで研究を続けても人の心は見えてこないと思った。


「狭い研究室で悪かったな」

教授は冗談で言ったが、留学先は真面目に考えてくれた。


これは決して現実から逃げているわけではない。夢を実現させるためだ。アズミはもう待ってはくれないだろうから、森田と結婚してもいい。それでも実現したい夢があった。


「一緒に行くって言ったでしょ?」

元気になったミライがそう言った。

「杉本と加藤のコンビなら、何か大きなことをやってくれると信じてたよ」

教授も口を挟んだ。


「コンビってお笑いでもやるわけではないし」

「お笑いも君達の夢じゃないか」

そう、オレの夢はアズミを笑顔にさせてあげるようにちっぽけな夢ではない。世界中の人を笑顔にさせてあげるような大きな夢を持っていた。


出発までアズミとは会わなかった。ミライと一緒に行くのだから、話ぐらいは聞いているのだろうが。



「お帰りなさい」

あれから三年が経ったが、アズミは待ってくれていた。オレはいじめや不登校に悩む子ども達の心理的サポートができる個別指導塾を開くことにした。


「今の仕事、やめても大丈夫なの?」

オレは確認した。

「高野さんは無事卒業したし、それが私の夢だから」

アズミの気持ちには変わりはなかった。ユースケが来年度から幼稚園に通うことになり、手の空いたユーメも手伝いに来てくれることになった。ミライはもちろんここのスタッフだ。


「お兄ちゃんが出ていって、少し寂しいけど、ここだと、みんないるから」

高校生になったノゾミも来てくれ、本気で自分の稼いだお金で大学に行くつもりらしいから、アルバイトとして雇った。


ショータだけでなく、コーキも大学に進学して、一人暮らしをはじめたそうだ。もちろんサエはオレと一緒に卒業して、就職している。誰しもが夢に向かって、動き出していた。

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