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夢と現実8

ミライは先輩のうちを知らないので、オレと待ち合わせをして、一緒に先輩のところに向かった。ユーメは相変わらず、笑顔で出迎えてくれた。奥の方から出てきた先輩も上がるように言ったので、オレは「おめでとうございます」とだけ伝えて、すぐ部屋を見回した。


「アズミは遅れるかもって」

オレが心配していることに気付いて、ユーメは言った。あの冷静な態度の裏に動揺があったのかもしれない。もう少し話せばよかったかもと少し後悔した。何がともあれ、来るつもりらしいので、アズミを待つことにした。


オレはミライのことを先輩に紹介して、先輩とユーメが同じようなことを言っていた話をした。それでもアズミは来なかった。


ミライが自分のせいかなと落ち込み出したので、オレは宥めた。その雰囲気を察してか、ユースケが泣き出した。オレよりユースケの方が効果的だった。ミライは笑顔をつくり、あやし出した。


今日はやっぱりいけないと連絡があった時にはみんな半分諦めていて、気まずい雰囲気になっていた。誰一人として怒ってはいなかったが、せっかくのお祝いを台無しにしてしまったことにオレは頭を下げた。


アズミは自分で大きな輪から外れていった。アズミは完璧な人間でコンプレックスを抱く理由などどこにもない。アズミのコンプレックスに嫉妬がつきまとっている。


小学校の時にいじめられていたことが原因なのか、それとも父親に弱虫だからと言われたことなのか、あるいはミライだけが引き取られたことなのだろうか――アズミは母親と二人っきりの生活に対して、ミライには祖父母が両親代わりになっていた。不登校になっても、家庭教師がつけられて、奨学金も使わないで、大学に入ることもでき、父親のコネで就職先が決まっているのが羨ましかったのかもしれない。

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