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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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ver.2の力

 リベレスティンとテトラトスがデブリの影に隠れた。

 初めて現れたシンセシスー2の能力が分からないので警戒しているのだろう。


「待っていたぞアラン!」


 イーサンから通信が入る。

(懐かしいな。ハワイ以来だな……)

 アランはハワイでの出会いと別れを思い出した。


「待っていただって? レイモンドから死んだと聞いていなかったのか?」

「聞いていたさ。だが、どの様に殺したのかハッキリ言わなかったのでね。正確、丁寧が売りの男なのに不自然だろ?」

「その通りだな。忘れていたよ、アイツが間抜けだった事を」

「馬鹿にするなぁ! ぐぁっ! 何しやがる!」


 シンセシスー2を攻撃しようとしたレイモンド機を、カリバーンがトライ・レジェンズで攻撃して食い止めていた。


「攻撃に決まってるだろ! ただの2本腕になったお前など! 落ちろおおお!」

「舐めるな! このテトラトスが腕の本数だけの機体では無い事を教えてやるさ!」


 アーサーのカリバーンとレイモンドのテトラトスが斬り合いを始めた。


「燃えて来たぜぇ! 立場逆転だ!」


 カーライル中尉のアルダーン・カスタムがビームマシンガンを連射しながら、アマンダのリベレスティアを追いかける。


「何が逆転よ! 足止めされたままじゃない! 私を振り切って援護に向かえると思っているの?」

「思っていないさ。分かってねぇな。俺が足止めされてんじゃねぇ、お前が足止めされてんだよ! この俺にぃ!」

「だったら貴方を撃墜して援護に向かうだけです」

「やってみろよぉ!」


 少し離れたところで、アルダーン・カスタムとリベレスティアが撃ち合いを続けている。


「どうやら外野は盛り上がっているようだな」


 イーサンが通信で話しかけてきた。

 今のところ攻撃する意志は無い様だ。


「その様だな。しばらくいなかった間に仲良くなったものだ」

「そういう言い方は嫌われるぞ」

「嫌われても構わないさ。この後アイツらを殴り倒す予定だからな。目を覚まさせる必要があるんだ」

「それは物騒だ。だが、その前に俺を倒す事が出来るかな?」

「出来るさ。一応確認する。問題ないな?」

「ふっ、俺を心配してくれるのか? 私は万全だ」

「分かった。始めよう」


 イーサンのリベレスティンが移動を開始した。

 デブリの影に隠れながらシンセシスー2に接近して、得意な格闘戦を挑むつもりなのだろう。


「この無数のデブリが漂う宙域では、旋回能力が劣る戦闘機に変形出来る機能に意味は無い! アーサーの様に行動を読む事も出来ないだろ? どうやって俺を倒すのだ?」

「戦闘機に変形出来る機能はスポンサーが付けた機能だ。シンセシスー2の本当の力は変形ではない」

「なら、どうする?」

「動きが読めないなら……全て見ればいいんだよ!」


 アランは『Synthesis ver.2』の新機能『百目』を起動した。

 シンセシスー2の全身に設置されたシャッターが開き、センサーとカメラが露出する。

(G.D.ウエイブ検知器、レーダー、全方位カメラ展開。『Synthesis ver.2』とのリンク確認)

 アランはデブリの影に隠れているリベレスティンを見つけ出した。


「全て見ればか……見られたところで俺が不利になるとは思えないけどな」


 余裕を見せるイーサン。

(無知というのは恐ろしい……余裕でいられるのはシンセシスー2の性能を知らないからだ……だが手を抜く気はない。シンセシス・ライフル、連動モード! 貫け!!)

 アランは二丁のシンセシス・ライフルをリベレスティンに向けて撃った。

 放たれた2本のビームがデブリを貫通して、リベレスティンの脇を抉った。


「馬鹿な! デブリを貫通しただと! 二丁のライフルで同じ箇所を打ち抜いたのか? いつの間にその様な技量を身に着けた!」

「どうだろうな? 身に着けてはいないかもしれないよ」

「誤魔化す必要はないだろう! 技量でなければ、何だというのだ?」


 リベレスティンが真っすぐ突撃してきた。

 デブリに隠れて不意打ちが出来なくなった以上、攻撃を受けるリスクを取ってでも得意な接近戦に挑まなければイーサンに勝機はない。

 アランはシンセシス・ライフルを肩部のアタッチメントに固定し、2本のビームブレイドを抜いた。

 幅広で高出力の赤いビームの刃が伸びる。

(シンセシス・ライフル、AIモード。力を借りるよ福山少佐。格闘プログラム、『摩利支天』起動!)


「さぁ、どれだけ腕を上げたか見せてもらうか?」

「腕はそんなに上がっていないさ」

「ならここで落とされるだけだ!」


 リベレスティンのビームアックスがシンセシスー2に迫る。

 シンセシスー2が右手のビームブレイドでリベレスティンのビームアックスを跳ね上げ、左手のビームブレイドでビームアックスを破壊した。

 近接武器を失ったリベレスティンが後退する。

(流石イーサン、判断が早いな……でも、それでは遅い!)

 既にリベレスティンの背後に2本のビームが迫っている。

 リベレスティン旋回をして直撃を避けたが、スラスターと右腕にダメージを受けた。


「人間技ではない! これほどの力を何処で身に着けた!?」


 イーサンが叫んだ。

(焦る気持ち……分かるよ。俺達も同じだった。俺達は3人がかりで敗北したからな……)


「何度も言うが、身に着けたのは俺ではない。シンセシスー2が……一人の英雄の力を受け継いだだけだ!」


『Synthesis ver.2』には前大戦のE.G.軍の英雄、福山少佐の戦闘プログラムが搭載されているのだ。

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