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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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狂気

「何をしに来た! カーライル!」

「何をしにって? お前を助けに来たに決まってるだろ、アーサー!」

「思い上がるな! 私より弱い貴方に助けてもらう必要はない!」

「おいおい、仲間割れか? そんな事をしている余裕があるのか? 隙だらけだ!」


 アーサーとカーライル中尉が言い争いをしている間、イーサンは攻撃を止めていた。


「そういうイーサンこそ隙だらけです。敵に警告する必要はありません! 早く撃墜して下さい」

「確かに警告は必要ないな!」


 カーライル中尉のアルダーン・カスタムが、ビームマシンガンでリベレスティアを攻撃をした。


「さっさと落ちて下さい!」


 アマンダのリベレスティアがビームマシンガンを回避した後、ミサイルを発射した。

 無数のミサイルがカーライル中尉のアルダーン・カスタムに迫る。

 カーライル中尉は機体を後退させ、ビームマシンガンでミサイルを迎撃する。


「そう簡単に落ちねぇよ。口説くなら本気で来なよ!」

「不埒な男! 誰が貴方なんか!」

「そんなに嫌わないで欲しいね。お兄さん傷ついちゃうよ」

「その腐った口を塞いでやる!」

「口を塞ぐなら口づけで頼むよ!」

「黙れぇ!」


 アマンダのリベレスティアが、カーライル中尉のアルダーン・カスタムを執拗に追いかけて攻撃を続けている。

(相変わらずふざけているが、少しは役に立ちそうだな。これでイーサンと一騎打ちが再開出来るな)


「行くぞイーサン・アークライト! 今日こそお前達を殲滅する!」


 アーサーはトライ・レジェンズをソードモードに切り替え、イーサンのリベレスティンに格闘戦を挑んだ。

 激しく打ち合うカリバーンとリベレスティン。


「殲滅とは穏やかでは無いな。何がお前を変えた? 何故、そこまで憎しみを振りまく?」

「私を変えたのはファングだろう! 他に何の理由がある! さっきも言っただろう! お前らはアランの命を奪った! ノイ……幼い子の命を奪った。沢山死んだ! 今までも! これからも! お前らが生きている限り、多くの罪なき命が失われるんだ!」

「罪なき命か……何をもって罪なきという? 宇宙の民の人権を認めず、食料難で餓死する民を見捨てたE.G.に罪はないのか?」

「そんな事は知った事ではない! B.o.Dがファングを解体して戦いを止めれば戦争は終わるだろ?」

「確かに戦争は終わるな……だが、宇宙の民の人生も同時に終わる」

「それがお前たちの贖罪だ!」

「ただ宇宙で生まれただけの民に贖罪を強いるな! 彼らに罪は無い!」

「あるさ! ファングの母体、ブーケ・オブ・ダンデライオンを支持した。それが罪だ!」

「正気か? 君は宇宙に住む人類を殺戮するつもりか?」

「その通りだよ。友との約束だ! ファングは滅ぼす!」


 アーサーは徐々にイーサンの格闘攻撃に慣れて来ていた。

 リベレスティンのビームアックスは、量産機のビームソード程度であれば斬り裂く事も可能な威力がある。

 だが、トライ・レジェンズのソードモードの出力であれば受けきる事が出来る。

(イーサンが得意な接近戦に慣れてきた……後は射撃戦を交えて落とす。反応速度だけで対処出来るかな?)

 アーサーはソードモードとアローモードを交えて、イーサンのリベレスティンを追い込む。

 イーサンは器用に回避を続けているが、アーサーの攻撃が当たるのも時間の問題だろう。

 後少しで追いつめられると思った瞬間、無数の分厚いビームの帯がカリバーンとリベレスティンを隔てた。

(この高威力ビームは……フリージアか?)


「月面都市タロースの市民の決起は成功しました。ファング第一艦隊は撤退を開始しています。後は敵指揮官のイーサン・アークライトを撃墜するだけです。第三艦隊、砲撃続けて下さい!」


 フィオナ艦長から通信が入った。

(どいつもこいつも余計な事ばかり! 黙って私に任せておけば良いのに!)


「どうやら我が軍が敗退した様だな。戦力を見誤ったな。私の失態だ」


 イーサンが自軍の敗退を認めた。

(戦力を見誤っただと! 3倍の戦力差を覆せると思っていたのか……生意気な!)


「戦力差は最初から分かっていたと思うけど? 戦艦の数を数える事すら出来ないのか?」

「戦艦の数を数える事くらい出来るさ。もっとも、数えるのは私が撃沈した戦艦の数だがな。私にとっては、あの程度の艦隊を落とす事くらい造作もない。アーサー、君に邪魔をされなければ可能だったのだよ」

「大した自信だ。その思い上がりも今日で終わらせてもらう」

「お断りだ。アマンダ、撤退だ」


 イーサンのリベレスティンが撤退を開始した。


「待て、決着をつけてやる!」

「いいのかい? 君の機体なら私を追う事は可能だろう。だが、他のお仲間はどうかな? 一人で私の第一艦隊全てと戦う覚悟はあるかい?」

「あるさ! もう、目の前の敵を見逃してぇ! 誰かを失う訳にはいかないんだぁ!!」

「そこまでだ!」


 カーライル中尉のアルダーン・カスタムがカリバーンに組み付いて、イーサンの追撃を止めた。


「何をする! 命令だ離れろ! 離れなければ軍法会議にかけるぞカーライル」

「離れるかよ! ここでお前を失う訳にはいかない。俺にとって大事なのは、いつか失う誰かなんて曖昧なもんじゃない。目の前にいる仲間……アーサーの方が大事なんだよ」

「どうやら味方に助けられたようだな。次に会う時まで正気に戻っている事を願っているよ」


 イーサンはそう言い残し、アマンダのリベレスティアと共に戦闘領域から離脱した。


「私は正気だ! 何で誰も分かってくれないんだああああ!」


 アーサーは力の限り叫んだ。

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