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白銀のシンセシス  作者: 大場里桜
前編:Grayish future
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目覚めた力

 ベンガル湾を航行中のフリージア隊にE.G.軍本部から司令が下った。

 既に始まっている宇宙艦隊の打ち上げの支援である。

 ファングの上陸部隊が打ち上げを阻止する為、ベンガル湾からE.G.軍宇宙センターに向けて侵攻を初めている。

 戦力の大半を打ち上げ続けている為、宇宙センターの防衛戦力が不足しており、苦戦を強いられている。

 だが、フリージア隊が作戦日時に遅れた事で、結果的にファングの侵攻部隊を挟撃出来る布陣となった。

 打ち上げ途中の宇宙艦隊が損害を受ければ、ファングの本土であるブラック・ダンデライオン侵攻作戦に影響が出てしまう。


「我々の目的はE.G.軍宇宙センターの防衛です。チャリム隊は侵攻の拠点である、敵の潜水母艦を撃破して下さい。これは作戦に遅れた失態を挽回する絶好の機会です。戦闘開始!」


 艦長のフィオナが作戦開始を告げた。


「潜水装備へ換装を宜しくお願いします」

「出撃するよ凛ちゃん」


 凛がウォルフ技師長へ通信したと同時に、アーサーから通信が入った。


「アーサーさん? まだ潜水装備に換装していないですけど?」

「必要ないよ。僕とカリバーンにはね。早く準備してよ。チャリム部隊の隊長で大尉の僕が出るって言ってるんだ、分かるよね?」


 今までのアーサーからは想像出来ない高圧的な態度。

 凛は慌てて艦長に指示を仰いだ。


「ど、どうします艦長?」

「もう! カーライル中尉、フォローして下さい」

「頼ってくれるのは嬉しいけど、俺?」

「パイロット同士、何とかしてください!」

「わーたよ。階級は抜かれちゃったけど、俺、先輩なんだよね」

「抜かれたのは階級だけじゃないですよ。オリヴァーさんはフリージアの護衛でもしておいて下さいよ。僕のフォローは必要ないんでね」


 過剰な自信、傲慢な態度。

 今までのアーサーからは想像出来ない言動を聞いて、アランもアーサーが心配になった。


「おい、アーサー? 本当にどうしたんだ?」

「どうもしてないよ。大丈夫、僕がファングを殲滅するから。アランは出撃しなくても大丈夫だよ」

「何を言っている? ウォルフの準備が完了したら出撃する」

「間に合わないと思うよ。僕が先に殲滅するからね?」

「どういう意味ーー」


 アランはアーサーに理由を問いただしたかったが、問いかける前にカリバーンの発進準備が整ってしまった。


「それではグリント機発進をお願いします」

「アーサー・グリント! カリバーンが敵機を殲滅します!」


 白銀の機体が戦艦フリージアのカタパルトから解き放たれた。


 *


 アーサーは海上を飛行している敵機を、トライレジェンズのアローモードで撃墜していった。

 突如背後から襲われて混乱していた敵軍だったが、攻撃してきたのがチャリム一機だと分かると直ぐに陣形を整えてきた。

 一機のリベレーンVEがカリバーン目掛けて接近戦を仕掛けたきた。


「君は好戦的だね。僕を殴り倒そうと思っているのかな? でも、チャリムは人間の思い描く通りの動きは出来ないんだよ!」


 アーサーはトライレジェンズをソードモードに切り替えて敵機を斬り裂いた。


「君は怖がりなんだね。操作に戸惑いが見えるよ。だから、みすみす僚機を落とされるんだよ!」


 恐怖で動きが鈍い敵機を無視して、別の敵機を斬り裂き撃墜した。


「そして、一人になった君は何も出来ない!」


 振り返ってアローモードで戸惑っていた敵機を打ち抜いた。

 休む間もなく、別の敵が3機ビームライフルで攻撃してきた。


「良い連携だね。でも、機体のカメラが隊長機を追ってるのが丸見えだよ。隊長を信頼してるみたいだけど、その隊長が落とされたらどうするのかな!」


 アーサーはビームダガーを敵の隊長機に投げつけてメインカメラを破壊した。

 隊長機が攻撃を受けたのを見て、動揺して動きを止めた僚機をアローモードで打ち抜き撃墜した。


「ほらほら、余所見してるから! そしてお友達がいなくなった君も終わりだ!」


 メインカメラが破壊されてカリバーンを見失った隊長機を打ち抜き撃墜した。

 アーサーが操縦するカリバーンを脅威だと認識したのだろう。

 更に12機の敵が攻撃してきた。

 先頭の敵機がシールドを構え防御し、背後から攻撃されないように互いにフォローしながら密集した陣形を取っている。


「中隊長のお出ましか。セオリー通りの素晴らしい指揮だね。だけど、それは既知の敵の場合の話だよ。未知の敵に対しての対応としては0点だね」


 アーサーはトライ・レジェンズを一撃必殺のランスモードに切り替えて薙ぎ払った。

 戦艦の装甲すら打ち抜く高出力のビームの帯が敵のシールドを打ち抜いた。

 敵機は密集していたが故、逃げ場を失い互いにぶつかり、絡み合いながら爆散していく。

 アーサーは残った敵機が体勢を整える前にアローモードで打ち抜き処理した。

 そして、モニターで武装の状態を確認する。

(ランスモードのリチャージまで15分……空中部隊はあらかた片づけたから、地上部隊を殲滅して時間を稼ぐか。母艦を落とすのは後回しだな)

 アーサーは友軍部隊と交戦中のファング地上を殲滅する為、陸地に向けてカリバーンを全速力で飛行させた。

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