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第四部:逃げた子の行方

 その時に王妃が腕に抱えて共に逃げた子が、タクだった。二人は、いや三人は、土の国の王都であるここカリまで逃げ、勇者へインリヒを庇護していた土の国の王サンガリアにかくまわれる。王サンガリアとは今目の前にいる白ひげのこの人物である。しかし、土の国にまでやがて追手は迫ってくる。王妃とその息子を引き渡さないなら土の国との交戦も辞さないと言ってくる。だが、王妃の反応は素早かった。土の国に逃げ延びたその時に、へインリヒに息子タクをタクし、地方に逃げさせたのである。結局星の国の軍勢はあきらめて王妃だけを連れて帰った。へインリヒは山の方へ山の方へと逃げた。やがて食料の調達も思うようにいかなくなり、何日間も飲まず、食わずでたどり着いたのが、土の国の北にそびえるオオクラン山脈のふもとにある小さな村だった。オオクラン山脈と言えば、冬の寒さの厳しいこと、またその冬を乗り換えんがために生まれる、オオクラン山羊の白くつややかに光る毛皮で有名である。

 へインリヒがぼろぼろの体で里にたどり着いた時、ひとりの乙女が山草を摘んでいた。この辺りはもうすぐ長くて厳しい冬に入る。里のはずれに生えるこの山草は、長い冬の間の食糧に貯蔵に欠かせないものだ。乙女が湖のそばで草を探していると、この辺りでは見ない顔の青年が、ふらふらと湖に近づいてきた。旅人だろうか。ところどころ破れて、くたびれているが、上等の皮のチョッキを着ている。肩幅が広く、背も高く、がっしりとした体つきだ。どこから来たのか知らないが、冬が近いオオクランをここまで来るのは大変だっただろう。


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