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7話 帰宅

7話です。


「ハル、今度のテスト大丈夫?」


「テスト? あ·····」


「ま、まさか·····」


「忘れてた! 今度の中間諦めようかなって思って記憶から抹消してたわ!」


「何してるの?! 諦めたらダメだよ!」


幼馴染とのゆったりとした会話が俺たちの足音と共に家への帰り道で響く。


あかりの目覚まし声により爆睡から目覚めた後、俺はいつも通りあかりと一緒に帰路へとついていた。


歩いている道には電柱や周りの家などの影が差し込み辺りはやんわりとした太陽の橙色の光で包まれている。左手首にはめている腕時計を見ると尖った短針は5の数字をさしていた。ちなみに今日の下校時間は3時半だ。


このほのぼのとした雰囲気の中、俺たちは突き当たり右に曲がると、視界に二つの一軒家が映る。


屋根の色が茶色か黒なだけで両方とても似ている。どちらも二階建てのちょっとした庭のついたよく見る一軒家。


この二つの一軒家に近づくとあかりが口を開いた。


「じゃあね、また明日! ハルっ!」


「おうよ。 また明日」


あかりと同様に手を振り茶色の屋根の家にあかりが入っていくのを見送ると俺は片方の黒色の屋根の家の門を開ける。


この会話からそして行動から分かるようにここは我が家である。屋根の色が黒色が俺で茶色があかり。


俺は右手でポケットの中を乱雑に探り可愛いクマのキーホルダーのついた鍵を玄関の扉の鍵穴に差し込む。


ガチャッ。


「ただいマンモスー」


俺はそう言って靴を脱ぎ、揃える。


俺が声を発しても何もが返事が返ってこない。


それがどうしたと言われるかもしれないが、俺の妹は確か今日学校の創立記念日かなんかで休みだった記憶がある。なので今妹は家にいる状態だ。なのに何も返事が返ってこない。


しっかり二階にある妹の部屋まで聞こえるように言ったんだけどな


まあ、実際妹なんてこんなものである。よくラノベなどでは「お兄ちゃん! 大好き!」みたいな妹キャラが出てくるがそんなの作者のこんな妹がいたらいいなという理想から成り立っているものである。


もう妹は中学生。「お兄ちゃん!」って意気揚々と言う歳でもないし「兄貴ー」とも言わない。ただただ無視である。


前は仲良かったんだけどな


まあ、こればかりはしょうがないことだ。妹も妹で人間関係などで大変なのだろう。未だに兄と仲いいなんて言ったら友達に引かれてしまうかもしれない。女子だから男子よりも面倒臭い気がするし。


俺はそんな妹論を自分の中で語りながら妹の隣にある自分の部屋に入る。


そして、端に寄せてあるベッドに座って、


「はぁ、疲れたぁ」


ため息混じりの言葉を残す。


思えば今日は色んな事·····というか一つだわ。衝撃的な事がありすぎてたくさんあると錯覚してただけだったわ


いきなり変な噂されるし、なんかいきなりパリピに校舎裏呼び出されてボコボコにされるし、そしてなにより·····


「俺は付き合ってなぁぁぁい!!!!!」


「うっさい!」


寄っかかっていた後ろの壁から軽い衝撃と共に妹からの怒声。


「ごめんごめん」


俺は壁越しにギリギリ聞こえるような声で謝る。


頭の中でといい、トイレといい、さらにここでも叫ぶ事が多すぎる。俺の声帯が限界突破しようとしている。


声帯だけでは無い。金髪男のせいで身体も限界突破、松島の一言のせいで頭の中も限界突破。


限界突破祭りだ。ゲームとかなら嬉しいかもしれないが別に俺が限界突破しても疲労が蓄積していくだけにすぎない。


「もう今日はご飯食べて風呂はいったら寝よ」


俺はベッドから立ち上がり制服を脱ぎ始めるのだった。



────────



「ただいま〜」


「おかえり」


あかりは出迎えをしてくれる母をよそに二階の自分の部屋へと入っていく。



「あら、何かあったのかしら?」


あかりの母は普段と違うあかりの行動に戸惑いながらも自分の部屋へと重い足取りで向かうあかりの姿を心配そうに見ているのだった。



「はぁ、疲れたぁぁぁ!」


あかりは自室のベッドに横たわりながら枕を抱きしめる。


「なんであんな噂がクラスにぃぃぃ!!」


あかりはそう言って枕をより一層ギュッと抱きしめる。その抱きしめる腕にはものすごい力が入っている。


こんなことになっているのは全てあの変な噂のせいである。あの噂になぜあかりが悩んでいるのかと言うと全て春樹のことが大好きだからである。


あかりが噂を耳にしたのは今朝の友達との会話のときだった。



『ねぇ、あかりー、笠柳くんが松島さんと付き合ってるってほんとー?』


『え、それってどういう』


『それな、幼馴染としてどうなん?』



だが、この噂だけならまだ耐えれた。噂は所詮噂だからだ。そして、何よりも松島さんが否定してくれるだろうという自信があったことにある。


「うぅぅぅ」


しかしあの昼休みの一言であかりの算段は全て崩れ去った。


あのせいで噂が噂ではなくなってしまったのだ。噂を否定しなかったら残るのはただの「春樹と松島さんが付き合っている」という事実。


この現実にあかりは五、六時限目ただただ呆然としているだけだった。


そして、今に至るわけである。



「どっちが合ってるのぉぉぉ?」


枕に顔を突っ込みながら意味が分からないことをモゴモゴと言うあかり。



なぜこのぱっと聞いただけでは意味が分からない発言をしているのかと言うと()()()()()()()()、松島と一悶着あったことにある·····。



読んで下さりありがとうございました!


評価やブクマして下さるととても嬉しいのでよろしくお願いします!!!

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