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20話 面会終了

20話です。


最近、忙しく投稿出来ませんでした。すみません。


「どうなのかね?」


「いや、それは·····」


俺は、松島を恋愛的な目で見たことは一度もない。もちろん一クラスメイトとしてしか見た事が無い。だが、もしかしたら今後かかわっていく上でそういうことがあるかもしれない。


松島が俺に気持ちを伝えてくれたように(ほんとはダメらしいが)俺もその気持ちに誠心誠意答えないといけないと思う。


「それは·····まだ分からないです」


「分からない?」


「はい」


理由を言ってしまうと、松島が俺に「好き」だと伝えてしまったことがばれてしまうので理由は言わなかった。


松島の父親は松島と自分を交互に見て、言葉を発する。


「·····やはり、君と美里の間には何かあるのだろうな。まあ、私はそのようなこと、興味はない」


「しかしだな、その間にある事柄がもし恋愛的な事柄だった場合は·····許さぬぞ」


さっきから松島の父親はなぜ松島を「恋愛」から遠ざけようとしているのだろうか。やはり、「娘を愛してやまない」からなのだろうか?


俺には、松島と普段関わりがないが、だからこそ思う。


これでは松島の意思が全く加味されていないじゃないか。言い方は悪いが、松島は父親の操り人形のようになってしまっている。


ひどいな·····


俺は人様のことに干渉はしないとこの面会室で腹を括り、松島の父親に否定的意見を出さないようにしていた。(早く帰りたいというのもあるが)


しかし、この時だけは自分の口を制御できなかった。


「あの、さっきからあなたの意見を聞いてますけど、要するに松島は恋愛をするなってことをいいたいんですよね?」


「ん、ああ、まあ、そういうことだな」


さっきの『校舎裏黒服暴行事件』の自分への謝罪が軽かったということもあり、ストレスもたまっていたのだろう。普段の声よりも二倍強めに出た。


「それってあなたの勝手ですよね。松島の意思はどうなるんですか? 無視ですか?」


「いや、それは、仕方ない事だ」


「どうせ、『娘が大好き! だから娘に近づく奴は排除しちゃえ!』みたいな軽い考えなんですよね?」


「き、君は何を言っ────」


「松島がかわいそうじゃないですか!」


俺は素直に、今思っていることを松島の父親にぶつける。自分の強い迫力のある声を前にして自分と松島の父親に挟まれている茶色い机が小さく見えた。


それと同じで松島の父親も小さく見えるはずなのだが·····


ん~っと·····なんで5歳児を見るような目をしてんだ? 強敵を見るような目してたじゃん。 え、昨日みたいに服に泥とかついてないよな?


焦って服を確認するが当然、そのような事は無い。


俺が、しどろもどろしていると松島の父親が口を開いた。


「何を言ってるんだ君は」


「へ?」


唐突だったので間抜けな感じで疑問符を浮かべる。


「別に私はそんな考えで美里の周りから男を排除なんかしていないぞ?」


「え、じゃ、じゃあ、どんな考えで?」


「大人の事情というものがあるのだよ」


「大人の事情?」


「知らないだろうが、美里には『許嫁』がいるのだよ」


少しのドヤァ感が垣間見え、殴りたくなるがすんでの所で右手を止める。


松島の『許嫁』がいるという情報はもう知っている。なのであまり驚きはしないが、一応驚いた風にしておいた。


「え、そ、そうなんですか」


中々の棒読みである。


「うん。相手は、『泉谷書店』の御曹司だ」


「『泉谷書店』·····ですか」


『泉谷書店』というのは、今『松島書店』と同等かそれ以上資産があるであろう、昔から人気の書店である。


そんな書店の御曹司との結婚。一見、書店同士なのでライバル、敵対しているはずの立ち位置なので、もしこれが政略結婚なのだとしたら、利益などなく意味がない。


何のための結婚なんだ?


「まあ、とりあえず、そういうことだ。美里には『許嫁』という将来を共に過ごす相手がいるんだ。だから、美里には恋愛は要らない。よって、美里に近寄る男は排除ということだ。·····というか美里は、もう、している」


「している?」


「ああ、そうだ。 美里はもう恋愛をしている」


松島が恋愛をしている? どういう意味だ? 


俺の中にはてなマークが投入され、訳が分からなくなっていた。


そんな時、面会室に入ってからずっと口をつぐんでいた松島がいきなり立ち上がって、父親に向かい、不思議そうな顔で言った。


「お父さん、そ、それはどういう事?」


そんな松島に対し、松島の父親はなにかほっこりしたような笑顔。


「美里、恥ずかしがらなくていいんだよ」


「恥ずかしがってなんかないよ。 どういう事なの?」


「え? それは────」


松島の父親が松島の問いかけに答えようとした瞬間、左側の扉が開いた。


きぃぃん。


扉の木と木がこすれる音が耳に雑音として入り、松島の父親の言葉も途切れる。


「幸二様。 この後、一時間後に鈴木様との会食があります」


開いた扉から現れたのは、メイド服を着たさっきの『静香』と呼ばれていた人に似た女性。赤みがかった髪が『静香』の場合、ロング、今いる女性はショート。違いがそれぐらいしか分からない程似ている。


「ああ、今いく」


メイド服の女性にあっけらかんととしていると、松島の父親は立ち上がり、


「じゃあ、私は失礼するよ。今日言った事分かっているだろうね?」


「え、それは」


松島の父親は俺の返答も聞かずメイドと共に面会室から立ち去って行った。



そして、面会室に取り残されるのは、あっけにとられている俺と混乱している松島。


とても気まずい空気が流れているため、場を和ませようと頑張る。


「松島や ああ 松島や 松島や」


俺なりには頑張ったのだが、松島には上手く伝わっていないようだった。



読んで下さりありがとうございました!


評価やブクマして下さるととても嬉しいのでよろしくお願いします!!!

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