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2話 焦り

2話です!


日間22位、ありがとうございます!!


2日前。(月曜日)


「ふわぁぁ」


俺はあくびをする口を手で覆いながら教室へと向かう。特に眠いわけではないが大体いつも朝はあくびをしている。


朝弱いのか? 俺


朝が弱い体質なのだとしたらあくびをしないのは無理に等しい。いや、別にあくびをするのは嫌だってわけではないが。


廊下を歩いている間、俺は左側の窓を覗き、下を見ると学校の昇降口。そこに見えるのは遅刻常連の火神(かがみ)と制度指導の鬼と言われる鬼塚 悟。


自分の左手首の腕時計を見ると今の時刻は8時20分。登校時刻も8時20分だ。


遅刻常連の火神、なにやら怒っているように見える鬼塚、そして現在の時刻。


そこから考えられるのは簡単なことだ。


「また、あいつ遅刻か」


どうやったらあんな遅刻できるんだ?


ほんとに心からそう思う。なんでいつも怒られてるのにその怒られている原因を直そうとしないのか。


俺は面倒ごとが嫌いだから絶対直すけどな


いや、待てよ


俺の中に一つの考えが思い浮かぶ。


もしかしてあいつ、Ⅿか·····?


これは俺の考えでしかないが怒られたら普通の人は俺のようにその怒られる要因を無くすと思う。


しかし、彼はそれをなくそうとしない。これでもう彼が変人であるということは大体の人が予想できるだろう。


だが彼はその予想を遥かに上回ってくる。


彼はいつもクラスのみんなに笑顔でそのことを自慢するように語ってくるのだ。それを聞くクラスメイトの目を見ると、なにか得体の知れないものを見るような目。


もうこれはⅯでしかない! いや、Ⅿを通り越してドⅯか?! もうⅯの概念をすっ飛ばしてNか?!


だってそうだろ?彼は笑いながら自分が痛めつけられた話をしてくるんだぞ?もうこういうことだろ


俺はいまいち火神の真意が理解出来ないまま窓を見るのをやめ、再び教室へ向かう廊下を歩き教室の前へとたどり着く。


気づいているだろうが俺も地味に遅刻している。


いや、昇降口には19分に着いていたから正式に言うと遅刻ではないな


現に鬼塚からは怒られなかった。なんか凄い殺気を感じた気がしたが。


人の事を散々言っといて自分はどうなんだ?と思われるかもしれないが、いつもはしっかり登校時間を守って行っている。しかし今日は月曜日ということもあり日曜日の休みの気分が抜けきれず二度寝してしまった。不覚·····。


俺はそんな小学生レベルの言い訳を頭の中でグルグル回しながら教室の後ろの方の扉を開ける。


ガラガラガラっ。


扉とレールがこすれる音が教室中に鳴り響き、クラスメイトの視線が一気に自分のもとへと向かう。


「すみません。遅れました」


俺はクラスメイトの視線を気にせずに教卓の前に立ってなにやら話していた様子の担任の金本先生に謝る。こういう時は先に謝った方が余計に怒られないで済む。


「笠柳くんが遅刻なんて珍しいわね。何かあったの?」


「いや、それが朝起きたらおなかが痛くて」


俺はお腹をさすりながらまるでさっきまで苦しんでたかのような表情で先生に訴えかける。


これが俺の秘技、



『先生騙し』



だ!


これは名前のまんまで、あえてお腹が痛いふりをすることによって悪いのは自分ではないということを頭に浮かばせ、先生の頭の中を俺に対する同情で埋め尽くす技だ。(別にそんなたいそうなことはしてない)


おそらく男子高校生の75%は使ったことがあるだろう。そう考えると秘技でもなんでもないな


そして案の定、先生は優しい性格ということもあり、


「え、そうだったの? 大丈夫? 保健室で休む?」


このように心配してくれた。


「いや、もう治ったので大丈夫です」


俺はそう言い自分の席に座る。自分の席は窓側の一番後ろの隅という絶好の場所だ。窓から程よい日の光が差し込むので心地良い。大人しく過ごしたい俺にとってはうれしいほかない。


基本、俺は誰にも目を付けられず平穏に過ごしていきたい。


しかし現実はそう甘くない。



そんな平和主義な笠柳 春樹の今まで築いていた平和が一瞬で崩れ去るところをお見せしよう。



「あんなやつがなんで」


「なんであんな顔してんだ俺らへの煽りか?」


「まじで消えろ」



ホームルームが終わりいつも通り自分のペースで過ごそうと思う俺だったのだが、なぜかさっきから誰かを罵倒する言葉の数々が飛び交っている気がする。


まあ、俺には関係ない。


だっていつもなにも起こしていない空気だぞ?


いくら馬鹿でもそんな空気を罵倒する輩がいるわけがない。いたとしたらそれは空気と喋っているということだから友達がいないのだろう。


俺は飛び交う言葉を他人事と思いながら一限目の授業の準備をしていく。一限目の授業は古典だ。


俺は古典で必須の電子辞書をバッグの中から取り出す。


取り出すと同時に今まで無視していた飛び交う言葉の数々の中から一つ、俺の耳を突き刺すかのように入ってくる。


「なんで笠柳みたいなやつがあの松島さんの」


とてつもない言葉だ。


んんん? 笠柳って俺のことだよな? で、俺の名前の次になんで松島の名前が出てくるんだ? 俺なんかしたか?


俺の額から冷や汗がにじみ出ているのが分かる。なんだろう、凄い悪い予感がする。女の勘ならぬ男の勘がそう俺に訴えかけてくる。


ま、まさか?! こっそり松島のことを見たのがばれたのか?! あれはしょうがないじゃねぇか! たまたま科学の実験で班が一緒になっただけなんだよ


確かに松島のことを俺が見るのは身分的にアウトかもしれないが。でもなぁ、見るぐらい許してくれてもいいんじゃないか?



俺の中に複雑な気持ちが渦巻く。


しかし、俺の中にある不満や驚き、それに焦りなども次に聞こえてくる言葉で一気に吹き飛んでいくことになる。





「それな、だって笠柳がなんで松島さんと()()()()()()()()



おいおい、ちょっと待てぇぇぇい!



読んでくださりありがとうございました!


評価やブクマして下さるととても嬉しいのでよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] あるていどまで一気に読みたくなる作品ですね(≧∇≦)b
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