19話 面会
19話です。
今回は短いです。
さあ、始まりました! クラスでは空気と化している笠柳VS松島の父親!
気を紛らわすため第三者の声を脳内で流す。
今、俺がいるのは松島の家の面会室·····だと思う。松島についていっただけでなので、正確にはここがどこか分からないのだが恐らく面会室であっていると思う。(普通、家に面会室などないと思うが松島の家は普通ではないのであるだろう。)
そして、俺の前にいるのは強面で50、60代ぐらいの松島の父親。その隣には松島がいる。
ボスに挑む感が半端ないんですけど·····
勝負の鐘が自分の中で鳴ると同時に俺と松島の父親との話し合いが始まった。
「今回は私が雇っているボディーガードが失礼した」
「いえいえ、大丈夫です。そんな大事にはなっていないので」
松島の父親の低く、如何にも社長感のある重みのある声が俺に緊張感を与える。
「あの、それで·····なぜ俺はここに呼ばれたのでしょうか?」
早速本題に入った。松島の父親は俺への謝罪から入ったが、本題の内容は全然違うものだろう。ならば、早めにそれを言ってもらい俺はそれに従う。
とにかく俺は早く帰りたかった。
「笠柳くんはなぜ私と会うのか理由が分からないのかね?」
「え、まあ、はい」
いや、そんなん知らん
「そうか。では、単刀直入に聞く」
俺は唾をのむ。そう言う松島の父親の目になぜか殺意を感じたからだ。
「君と美里はどのような関係なのかね?」
「え、それは·····」
これには、どう答えればいいのだろうか?
付き合っているという噂を認められた関係? 好きになられた関係?
どれもしっくりこないな。いや、合ってはいるんだけど·····なんかちょっと他人目線で聞くと信じられないよな
よしここは、
「そんな大層な関係じゃないですよ。 普通の友達です」
そう言った後、松島は悲しそうな顔をしていたが俺は見ないふりをした。
ベタではあるがこれを使うしかない。これで変な方向には進まないはず。友達と言ってしまえば、大体は説明が付く。俺はそう勝ちを確信した。
だが、一つ見落としていた。一番重要なことを。
「では、なぜあんなに薄暗い校舎裏に二人でいたのかね」
うっほっ?! やっべぇ、完全忘れてた。 確かに校舎裏で二人は·····確かに怪しすぎるな。 これはどう抜ければいいんだ?
「いや、まあそれは、あれですよ! そ、そう! クラスのゴシップを他の人に聞かれないよう、校舎裏という誰も来なさそうな場所で話してたんです!」
「それは」、「あれは」でごまかしていたが途中で言い訳を思いつき、いきなりテンションがおかしくなってしまう。明らかに挙動不審である。
「そうか。 でもな、さっきから美里に聞いているのだが、この通りずっと無口なんだ。 だからなんかあると思ってな」
松島の父親は手で隣にいる松島を指す。
「ちょ、調子が悪いんじゃないでしょうか?」
「まあ、理由はどうであれ、君と美里は『友達』なんだな?」
「は、はい! も、もちろん」
声はおぼつかないが、目を合わせて言った。そのおかげもあってか納得かの如く松島の父親はうなづき、もう一度俺の目を見る。
「一応確認なのだが、君は美里をどういう目で見ているのかな?」
「どういう目·····とは?」
「その文字通りの意味だよ。 一クラスメイトとしてみているのか·····それとも恋愛的な目でみているのか」
自分を見る松島の父親の目は俺の真意を探るかのような鋭い刃のようなものだった。
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