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学園都市アステラルテ  作者: 順砂
番外編「鏡とマネキン」(後日短編集に移動)
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番外編「鏡とマネキン」2

2015/08/05の連続投稿2話目です。

前に話がありますのでご注意下さい。

 店での出来事の一週間後の休日の朝。何をやらされるのか不安を抱いたまま、この週を過ごしたハルシェイアは、半ば屠殺される家畜の気持ちで開店前のマダムの店にいた。仕事内容を知っているはずの友人達も、当日のお楽しみといって何も教えてくれなかった。

 何故か本だけは持ってきてもよいというので、私物の本を二冊をカバンに入れて持ってきている。


(よ、よし…!)


 ハルシェイアが勇気を出して店に入る。すると、入り口近くで商品の確認を行っていたらしい、一人の女性の店員と目が合った。


「あ、あの…」

「えっと…?あー、あなたね、聞いているわよ。少し待っていてね。マダム呼んでくるから」


 一瞬不思議そうな顔をした店員だったが、すぐにハルシェイアのことを聞いてたのを思い出したらしく、そういい残すと店員は店の奥に行ってしまった。ハルシェイアが指示に従って待っていると、一分ほどしてから、奥からスミエが出てきた。

 スミエはハルシェイアの姿を確認すると、満足そうに頷く。


「うんうん、ちゃんと来たわね」

「は、はい…あ、あの」

「うん、わかっているわよ。今日の仕事でしょ」

「は、はい…」


 スミエはニコニコと機嫌良さそうに笑っているが、ハルシェイアは何故か知り合いのハンターが極上の獲物を見つけたときの笑顔に似ていると思い、冷や汗が止まらなかった。


「ホントに簡単だから、えっとあそこに部屋があるのみえる?」

「え、あ、はい」


 スミエが指さした先、お店の入り口横に扉が開いていた。扉といっても普段は目立たないように、壁と同じ色で引き戸になっており、それもカーテン状のもので隠されているようであった。このお店に来たのは、今日で三回目であったハルシェイアだが、このようになっているとはまったく気づかなかった。


「あそこで、働いてもらうんだけど…ちょっときて」

「あ、は、はい…」


 そういって扉の方に歩いて行くスミエに誘われて、ハルシェイアもその部屋に向かった。

スミエに続いて扉をくぐるとそこには横に細長い部屋があり、部屋の中には小さな丸テーブルに椅子があるだけだった。道に面している側の壁にはカーテンがかかっていた。そのカーテンは僅かに開いていて、中に鏡があるのが垣間見えた。

 ハルシェイアはこんな作りの部屋を、今までみたことがなかった。


(なんだろう…この空間…?)


 変な部屋にハルシェイアがいぶかしさを抱いてキョロキョロと部屋を眺めていると、スミエがニコニコしながら、


「あなたには開店から日が傾くまで、この部屋で働いてもらいます」

「え…?」

(ここ、で?)


 一人居るだけでも圧迫感を覚える狭い空間である。ここで何をしろというのか、首を傾げたくなってしまう。

 その疑問に応じるかのように、スミエの悪戯っぽい声で説明が続いた。


「というか、今日やってもらうのは、この部屋で、その椅子とテーブルで本を読んでもらうだけ」

「………え?」

(あ、あれ、そ、それって、働く、っていう…の?)


 そして、スミエがニヤリと笑って、一言付け加える。


「私の作った服を着て、ね」

「え……?!あ…ぅ」

(ふ、服…?!)


 驚いたハルシェイアにみせたスミエの笑顔は、とても良すぎるぐらいの笑顔だった。そして、もうこの店に入ってから、ハルシェイアは抵抗することを半ば諦めていた。曲がりなりにもやると約束してしまったし、この店の中でスミエに勝てそうもないことを雰囲気から悟っていたからだ。

 ただ一つだけ確認する。


「あ、あの…その間は、そこの扉は…?」

「え、扉?もちろん閉めるわよ。あなたが出入りするとき以外は。カーテンは開けるけど」

「か、カーテン、ですか?」

「ええ」


 お店の中からお客さんに姿が見られることはないことには安心しつつ、「カーテン」という新たな言葉に不安になる。


「んじゃあ、ちょっと開けてみよっか。今はあんまり意味ないんだけどね――ヘーナ、横部屋のカーテンあけてー!」


 そうやってスミエが部屋の外に呼びかけると、「はーい」という女の人の返事があった。おそらく、この声の持ち主がヘーナという人物なのだろう。

 暫くするとカーテンがゆっくり開いていった。開いてる途中に度々妙にカーテンが引っかかる感じがあるので、店の別の部屋から手動で動かす仕組みなのだろう。

 そしてカーテンが全部開くと、


「え、え?…か、鏡?!」


とハルシェイアは感嘆の声をあげた。壁一面がすべて鏡だったのだ。

 先ほどからカーテンの隙間からみえていた鏡であったが、それが壁一面すべてを覆っているとは思わなかったのだ。


「えぇ、すごいでしょ。私のいた世界にあったもののことを旦那に話したら、旦那が面白がっちゃって、知り合いを巻き込んで作っちゃったのよ。魔法って便利よねー」

「ぁ、た、たしかに…あれ、なにか魔法、かかっている?」


 ハルシェイアは鏡に何らかの魔法がかけられていることには気がついたが、何の魔法がかかっているかはよくわからなかった。勝手に大きな鏡を構築するための魔法かと、ハルシェイアは予想する。


(これなら、みられること、ない、かな?)


 実はハルシェイアはカーテンを開けるとガラスの窓があって、外からみえてしまう作りなのでは、と疑っていたのだ。それだと、恥ずかしさのあまり死んでしまうかもしれない。


「安心、した?」

「え、あ、は、はい…」


 ハルシェイアがそう答えるとスミエは満足に頷いた。


「うんうん、じゃあ向こうでお着替えとお化粧しちゃいましょうか」

「え、あの、このままじゃあ…?」


 ハルシェイアは、一縷の望みをかけて聞いてみるが、返ってきた答えは当然ながら非情なものであった。


「ダメに決まっているでしょう。今日の仕事は、私の服を着ること。もう、なんでそんなにおしゃれが嫌かなぁ?」

「ご、ごめんなさい」


 ハルシェイアは何だか悪いことをしている気になって、思わず謝ってしまう。別にハルシェイアも全く着飾るのが、嫌いなわけではない。恥ずかしさと、圧倒的に自分に自信がないだけだ。あとは単純に着慣れない服を着るのが、苦手というのもある。


「ふふ、謝るぐらいな私の服をちゃっちゃと着る。大丈夫、最高にかわいくしてあげるから」

「あ、あの……」

「何かしら?」

「お手柔らかに…」


 ここでハルシェイアは完全に諦めた。その様子をみたスミエは、ほほえみながらいった。


「イヤよ」


と。


 その後は、スミエに半ば引きずられるように店の奥に連れていかれた。そこには、六名の店のスタッフ、或いはスミエの弟子たちが待ち構えていた。

 まな板の上の鯉のような気持ちだったハルシェイアに、記憶らしい記憶があったのはそこまでだった。次に気がついた時、ハルシェイアの目の前には何故か一体のきれいな人形がいた。


「……?」


 その人形はハルシェイアが首を傾げると、人形も首を同じ方向に倒した。


「…?」


 人形はまるで人のようだった。花をかたどった黒いレースの髪飾りを白い髪につけ、髪と同色の長いまつげは整えられ、ぱっちりとした碧玉でできたような瞳を彩っていた。そして口紅を塗られた紅い唇は、白い肌に一点アクセントを加えている。その全身は膝丈のフリルをたっぷり使った黒い可愛らしいドレスに身を包み、黒いタイツと黒いリボンがあしらわれたヒールのある黒い靴を履いている。

 ハルシェイアには、よくできた人形にしかみえなかった。


「人、形…?」


とハルシェイアは思わずつぶやく。本当にそれはあまりに人形めいた美しさを持つ何かだったのだ。

 それに呆れたような声で返したのはスミエだった。


「まぁ、確かにここまで人形っぽくなるとは、思わなかったけど…というか、自画自賛?」


 ただ、その彼女の呆れ声には熱っぽい達成感みたいなものも含まれていた。それより何より、ハルシェイアはそのスミエの言葉に引っかかりを覚えた。


(…人形っぽく?…自画…自賛…?)


 ハルシェイアが首を傾げると、鏡の中の人形も首を傾げる。一拍置いて、ハルシェイアは理解した。すべてを理解してしまった。


「…え、じ、自画自賛って…こ、これ、わ、私…?!」

「え、本気で気がついていなかったの?」


 ハルシェイアが純粋な驚きを示すと、スミエは可哀想な子をみる顔で、ハルシェイアをみつめてきた。ハルシェイアは、恥ずかしくなって頬を赤らめた。

 そんなハルシェイアをスミエはもう一度まじまじと見て、


「うーん、でも、まぁ、傑作ね。思った以上だわ。メイク班も良い仕事したわ」


といって、「よくやった」ばかりにとハルシェイアの横にいたメイク担当のスタッフ達に右の親指を立ててみせた。


「ホント、思った以上よねー」

「はい、素材が良いだけに、どれだけ素材を活かしつつ、服に合った、それでいて宣伝用に目立つメイクにするか、加減が難しかったのですが、うまくいってよかったです」


 スミエがハルシェイアの横にいたメイク担当のスタッフの女性に話しかけると、その女性スタッフは自慢げに話した。

 その後、一仕事終えたスタッフと弟子達が、スミエとそれぞれ二三言葉を掛け合っている間に、ハルシェイアはもう一度、鏡に映る自分をまじまじとみた。


(化粧って…すごいんだ…)


 まるで自分が自分ではないようだった。ただ、そこでハルシェイアは、ふとあることに思い至る。


(あ、あれ?そもそも、私、どんな顔、していたんだっけ…?)


 ハルシェイアは、今まで自分の鏡など所持したことはなかった。そもそも、鏡は金属製・ガラス製ともにそれなりに高価なものなので、農村部などの一般庶民では所有していないことも多い。ただ、都市民の女性ならば少なくとも金属製の手鏡ぐらいは持っていることが多く、アステラルテに留学できる財力ならば、鏡ぐらいは普通に持っているものである。実は寮のお手洗いにも各階に一つガラス製の丸い鏡が備え付けられているが、ハルシェイアは寝癖を直す時ぐらいしか使わず、その時も恥ずかしいのであまり自分の顔を意識しないようにしている。


「あのねぇ、あなた…」


 ところが、そんなことが口に出ていたらしい。どこからから呆れた声がした。みるとスミエだった。ひどく冷ややかな目つきでハルシェイアをみていう。


「あとで、手鏡あげるわ。あとそれが化粧だけじゃないこと、いい加減に気がつきなさい、この大呆け娘」

「っ……ご、ごめん、なさい」


 そう叱るようにスミエはハルシェイアの頭を軽く叩いた。本当に軽いもので、痛みどころか衝撃もあまり感じなかったが、とても悪いことをした気になってハルシェイアはスミエに謝罪した。


「良いこと。あなたは美人さんで、可愛いの。謙遜なのか、本当にわかっていないのかはわからないけど、ちゃんと自分の容姿を自覚しなさい。可愛いとか、きれいとかいわれたことないの?」

「あ、いえ…そ、そんなことは、で、でも――」

「お世辞だと思っていた?」

「は、はい…でも、ある人から『私、超絶かわいい』とまではいかなくても『私、かわいいの、かも?』ぐらいには思ったほうが、良いっていわれたことは……」


 それは少し前、寮の合同誕生日会の日に、セラフィナに無理矢理ドレスを着せられたハルシェイアに、他校の先輩であるアルナティアがいったことであった。


「うん、正しい。私ね、あなたみたいな子、本当なら嫌いなのよ。別におしゃれしろとは強要しないし、自分の容姿がわかっていてやっているなら別にいいの。でも、あなたみたいに無頓着で、自分のこと何もわかっていないのは許せない」


 そこでスミエは一旦息をつく。ハルシェイアは黙って聞いていた。


「あなたの態度はよく知らない人からみれば、現在進行形で天然の嫌みよ。あなたみたいな子に『別にあたしかわいくありません。不細工ですよ~』とか、いわれたらね、私たちみたいな凡人はカチンとくるの。それって良くないわよ。周囲にも、あなたにも」


 そのスミエの言葉は非常にきついものだった。だが、その視線は真剣で、言葉にはまるで教え子を諭す教師のような熱意のようなものがあった。


「あ、でも、私…本当に…」

「えぇおかわいくないかもね、このままじゃあ、性格が」

「っ……」


 ハルシェイアは自分の容姿に関して怒られるのは始めてだった。今までも容姿を褒められて、それを否定したやり取りはあった。笑って流してくれたものあったが、会話が途切れ冷たい視線を送られたことがあった。或いは奇異の目でみられたことがあった。

 そういえばと思う。今の継母に最初に会ったときも、そんな会話があった、と。それを最後にまとな会話をしたことがないな、と。


(そういう、こと、だったのかな…?でも―――私…)


       ―――――暗くて、恐くて、汚いし…。


 そうやって思考のなかで沈みそうになったとき、そこからすくい上げるかのようにハルシェイアを柔らかい衝撃が襲った。甘い香りがする。


「ごめんなさい、あなたにそんな顔をさせるためにいったわけじゃないの」


 耳元で優しい声でささやいたのは、スミエだった。気がつくとハルシェイアは、スミエに後ろから抱きしめられていた。


「ぇ、あの……」

「……うん、表情ちょっと戻ったみたいね」

(私…そんな、心配させるような顔してた、の?)

「ご、めんなさい」

「いいわ、私もあなたのこと、ろくに知りもせず言い過ぎたわ。でもね、私はおしゃれをするって、自分を高めるということだと思っているの。いわば向上心ね、もちろん失敗している人も多いけどね。でも秘訣があるの。失敗しない秘訣は、自分に対して冷徹で客観的な目を持つことよ」


 スミエはそういうと、ハルシェイアから離れてから、ハルシェイアの肩を軽くつかんで、ハルシェイアの体を鏡へと向かせた。

 鏡には人形めいた黒ドレスの少女が映っていた。


「ねぇ、ハルシェイアちゃん。あなた、この姿みて最初どう思った?正直にいってみて」

「ぁ、ぅ……」


 ハルシェイアは一瞬だけ逡巡した後、頬を赤らめて答えた。


「きれい…って、思った…」

「それが正解よ。もっと自分を好きなってあげて」


 そういって鏡の映ったスミエの顔が微笑んだ。そのスミエをみて、ハルシェイアはある思いを抱いた。


(もし、私のお母さん、生きていたら……)


 ハルシェイアはそう思いながら、振り返ってスミエの顔を見上げる。ほとんど覚えていない母親。同じ村出身の人から聞くと、わりと明るく豪快な所があったらしい。スミエの方が若干年上だが、もしかしたら似ていたのかもしれないと、ふと思ったのだ。

 スミエと目が合うと、スミエは何を考えたのか軽く頷いた。


「んじゃあ、私のいいたいことは、ここまで。あとは……」


 すると、スミエは横に控えていたスタッフ達をみる。スタッフ達はそれをみて頷く。


「まかせた」

「え?」


 その後、ハルシェイアは今のやり取りで少し崩れてしまった髪の直しと、衣装の最終チェックをされながら、スタッフやスミエの弟子達に「もったない」「ちゃんとおしゃれしなさい」「お化粧とかも教えるから」「いっそ、うちの子にならない?ジュルル」などと、矢継ぎ早にお説教やアドバイスをもらってしまった。

 

 そして、


「これでどうでしょうか?」


と髪飾りの位置の修正を何度かした後、一歩引いたところから修正の指示していた年長のスタッフがスミエに尋ねた。


「うん、いいわね。色々あったけど、開店には間に合ったわね」

「ぅ、ぅ…」


 あの後、一〇分程、スミエが抱きついたことで、若干乱れた化粧や髪を直し、服の裾やフリルの折れ具合、髪飾りの位置などの微修正をしていた。ただ、正直ハルシェイアには、修正前と修正後が変わったようにみえず、ただただ弄くられたという印象しかなかった。


「ご苦労様、この子は私が連れて行くから、みんなは開店準備よろしく」

『はい!』


 スミエの声に反応して店員たちが威勢の良い声をあげた。


「ん、じゃあ…あなたはこっちね」

「あ、はい」


 ハルシェイアは手を引かれて、店の奥の部屋を出て売り場を通り、先ほどの奇妙な部屋に連れてこられた。部屋に入ると先ほどとは違い、丸テーブルに本が乗っていた。これはハルシェイアが持参した本が二冊、ハルシェイアのリクエストを聞いてお店が用意した本が二冊(バイト代の一部として、帰りにハルシェイアがもらえる予定)という構成だ。また積まれた本の横に卓上ベルが置かれていた。


「じゃあ、これからあなたにはそこの椅子に座って、本を読んでもらいます。その際、なるべく動かないというか、最小限の動きでお願いね」

「は、はい…私、読書の時、あまり動かないみたいで、よく友達にいわれて…」

「んじゃあ、いつも通りでいいわよ。で、九時開店で、十二時から十四時まで休憩、その後、日が傾き始める十七時に終了。午前・午後ともに三時間ずつ。休憩と終了はこっちで声をかけるから。トイレや他に何かあったら、そのベルを鳴らしてね。何か質問は?」


 特に難しいことはない。だから、聞きたいという、確認したいことは一つだけだった。


「ほ、本当に、私、本を読むだけで良いんですか?」

「ええ、それだけでいいわよ。あとは?」

「ない、です」

「じゃあ、お願いね」


 そういうとスミエは笑顔で手を振って部屋を出て行こうとした。それにハルシェイアは声をかける。


「あ、あの…」

「ん、何か聞きたいこと?」


 ハルシェイアには、スミエにいいたいことがあったのだ。


「さっきは、その、あ、ありがとうございます」

「?」

「ちゃんと、怒ってくれて…」

「え?……ホント、あなた変な子ねぇ」


 ハルシェイアがお礼をいうと、スミエはキョトンとしたあと、呆れたような、それでいて感心したような顔をした。


「あれは私がどうしてもいいたいから、勝手にくっちゃべっただけで、お礼をいわれることじゃないわよ」

「で、でも……私、色々と知らなかったから、あと、それと…」

「それと?」


 いうべきかいうべきじゃないかと迷ったが、ハルシェイアには珍しく、恥ずかしながらも言葉が口から出てきた。


「ご、ごめんなさい。お母さんみたいって、思いました」


 ハルシェイアの耳たぶは真っ赤に染まっていた。それを見聞きしたスミエは、一瞬驚いたが、変な顔せず微笑んで、


「これでも、二児の母ですから」


といって部屋を出て行った。ハルシェイアは恥ずかしさとうれしさで体を縮こませた。

続きます。


2018年5月11日改稿

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