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聴こえないのはあなただけ  作者: やす ゆうや
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共通の仕事

 今日から一緒に働くことになった男の子なんだけど・・・、何処かで見たことがある気がしていた。気にしない主義のワタシが気にしているのだから相当なことなんだろう。


 でも、まぁいっか!いつか思い出すよね〜。



「さぁ、まずはお店のことを覚えてもらおうか。準備はいい?」

「はい!大丈夫です。どんなことでも覚えます!」


 元気な返事と共に背筋をピンッと伸ばす男の子。女の子は、張り切り過ぎて怪我をしないかちょっと心配になった。


「じゃあ・・・お店のマニュアル。この本を読んでみて。たぶんすぐに読み終わると思うよ」


 そう言って取り出したのは、紐でまとめてある大きめの紙の本。表紙には、お店の名前がかっこよく書かれている。


「えっと・・わかりました読んでみます」


 男の子は戸惑いながらもマニュアルを読み始めた。

 身体を動かせるようなことを想像していたから少し拍子抜けしてしまった。しかし、任されたことはしっかりやらなければいけない。


 数分経って。


「ふぅ〜。読み終わりましたよ!なかなか細かいところまで書いてありました。前の店はここまでじゃあなかったです」

「へぇー。そうなんだ。ワタシはずっとココだから全然これが普通だと思ってた!」


 談笑しながらワイワイやっていたら、


「これ!早く全部教えてしまいなさい」


 注意されてしまった。うーん。ワタシ人に教えるの苦手かも・・・。


「はぁーい。わかってまーす」


 一応返事をしておいて、2人で次は厨房にむかった。

 厨房では、まさに今焼きたてのパンが出来たところだった。


「わぁいい香り!とっても美味しそうです!」

「でしょ〜!うちのパンは、いっちばん美味しんだから!」


 得意げに話す女の子。目をキラキラさせて身振り手振りで表現している。

 その横では、男の子がこっちも目をキラキラさせ身を乗り出して次々に出てくるパンを食い入るようにじっと見つめている。


 窯から出された焦げ目が美味しそうな甘い香りがするアップルパイ。綺麗に山が連なって見える並べられたふわふわの食パン。このお店限定のサラダがパンの中に入ったオリジナル特製ボール。


「そして、いっちばんのオススメパンは・・・サックサクのクロワッサン!!何故だかっていうとね、パン生地にはたっぷりのバターと蜂蜜を練りこんであって、しかも焼き方にもこだわりがあるんだよ!さて、いきなりですが問題です。そのこだわりとは、なんでしょう!」

「ええっっ!?もっ問題!?・・・ええと」


 男の子は、あごに手をあて黙り込んでしまった。


「・・・・・・。あっ!わかりました。その、こだわりは・・」





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