出会い2
男の子はいつもと同じようにパン屋で働いていた。その店に入ってきたのは、エプロンをつけたままのおじさんだった。
「いらっしゃい。おたくはどんなパンが好きかい?」
男の子がそう話しかけると、
「・・・おや?誰だいこの元気な少年は」
おじさんが店長さんに話しかけた。
「いやぁ、最近入ったばかりの若手ですよ。よかったらおたくで使ってみますかぁ?」
店長さんは、そう返事をした。知らない間に話が進んでいる。
「あっあのぉ。おじさまは、どんな店をやっているんでしょうか?」
気になって問いかけてみた。
「おっ。知らなかったのか。こいつの店もパン屋だよ」
「えっ?!そうだったんですか・・・。もし雇ってもらえるなら・・・一つ条件を付けていいですか?それは、寝泊まりできるトコロを貸していただけるということなんですけど・・」
もし雇ってもらえたら自分に得な方がいいと思い、控えめに主張してみる。この店も気に入っているけど、新しい景色を見るチャンスがあるなら試してみるのもいい。
「なんだ。そんな事だけか?それなら構わんよ。店の二階が空いているからな」
「ありがとうございます!是非あなたの店で働かせてください!」
そんな訳で引っ越すことが決まった。借り住まいの中の少ない荷物をまとめ、さっそくその店に行くことにした。
思ったよりも遠く、うとうとしていたらあっと言う間に着いてしまった。
木製の壁に、少し重厚感のある金属の重そうな扉。アンティークな感じで良いお店だ。
「じゃあ。一旦ここで待っていてくれるかな」
店長はそう言うと店に入っていってしまった。
暇なので、辺りを見回してみると前にいたトコロとそう変わりはなかった。でも、なんだかいつもより世界が輝いて見えた。
カタン。
裏口の扉が開いて店長が顔を覗かせた。
「じゃあ、案内するよ」
「はい!」
裏口のすぐ近くだと言うのに、中に一歩踏み入れると、パンの焼けたいい香りが押し寄せてきた。
「うわぁ!いい香り。お腹が減ってきました」
落ち着いた雰囲気だった。
店長は、ある女の子に話しかけていた。
「この子をキミに紹介したかったんだよ」
その女の子は・・・赤茶の髪に鮮やかな緑の目をもっている。
嘘だろ?立っている姿も母さんにそっくりだ。
何やら話しているようだけれど全く耳に入ってこない。
「これは奇跡だ・・・。僕は、夢を見ているのか?」
今まさに、運命と言うものの素晴らしさを実感している。この世にはいない母さんの生まれ変わりなのではないのだろうかと、真面目に考えていたら
「これ挨拶ぐらいしなさい」
怒られてしまった。いけない。第一印象は悪くしてはいけない。慌てて挨拶をする。
女の子は、笑っている。
よかった。まだ、これから時間もあるしゆっくり気になることは、解決していけばいい。
焦るなよ、自分。




