本番1週間前
「ねぇなっちゃん!なっちゃんも審査員なのー?」
「うん、そうだけど」
「あ、そういや二人とも審査員なんだっけ。俺の学年はルカが出ることになったよ」
ある日のお昼。中庭で弁当を囲む、一見奇妙な3人組。ティータ、奈月、ユトナである。
ティータと奈月は今回の大会で、学年から1人出す審査員に選ばれていた。
「楽しみなのー!可愛いのいっぱい見たいのー!」
「お前の可愛いの基準よく分かんねぇじゃん」
「そんなことないのー!」
「ティータは立候補したのか?」
「うん!せっかく楽しそうなお祭りだから、参加してみたかったの」
「奈月は?」
「僕も立候補」
「へぇ、珍しいな」
「漫画・イラスト部からも参加者出したいなんて話があったから。出されるの嫌だし。結局誰も参加しなかったみたいだけど」
「お前のことだから理由つけてサボるかと思ったぜ」
「最後ぐらいいいかなって」
「そっか…なっちゃん3年生だね」
ティータの言葉に一瞬辺りが静まり返る。
「…あ、あのさ!審査員学年ごとだから3人だろ?校長は入るとしても4人って中途半端じゃねぇ?」
「あれ、ユトナ掲示見てないの?」
「は?」
「出場者と審査員が決まったって朝掲示されてたのー」
「そうなのか!」
「審査員、あとは購買の人が入るんだって」
「へー!」
***
同じ頃。
会議室で真剣な面持ちで額を突き合わせているのは、後藤花子校長と歴史教師フェネアレスト・ディリス。
レストは眉間にシワを寄せており、不機嫌なのは明らかだ。
「校長…今朝の掲示、これは確かなことでしょうか」
「ああ」
「私はこのような掲示物は許可していませんが」
「いいじゃねぇか校長室の前に貼るだけなんだから」
「はぁ…まぁ、今はそれが論点ではありません。…これです」
レストは掲示物のプリントのひとつの名前を示した。
「こんなことさせたら、また面倒なことになりますよ」
「うーん…」
「ましてや開かれた文化祭でのこと…大勢に紛れ込まれたら止めきれません」
「そのために風紀3強をあの場に集めたんだけどなぁ」
「その直前は主力が学校周辺を巡回できなくなるとも言えるのですよ」
めんどくさそうに顔をしかめる花子に対し、レストは身を乗り出した。
「いいですか校長、私はこの企画には当初から反対だったんですよ。もし何かあれば即刻中止していただきますし、来年からは何があっても許可しませんので、そのつもりで」
レストは立ち上がり会議室を出ていった。
花子はうんざりした顔で椅子にだらしなくもたれ掛かる。
「あーあ…当日突然仕事入るとかしねぇかな…あのストーカー親…」




