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閑話休題1・2



*閑話休題1


 「ん…?」

 「おはようございます、リヴァルさん」


 体育館の喧騒から遠く離れた保健室。ベッドで目覚めたリヴァルの傍らに、茶髪の男性が座っていた。


 「えーと、レスト先生でしたっけ?」

 「覚えていただけて嬉しいです」


 リヴァルの言葉に皮肉をたっぷり含ませてレストは返す。


 「私はどうしたんでしたっけ?」

 「どうやったのかは知りませんが監視態勢をすり抜けて校内に入り体育館に乗り込んだ瞬間愛する息子さんのあまりの愛らしい姿に鼻血を吹いて気絶なさったんですよ」

 「そうだった。おかげであの子の天使のような姿を一瞬しか見られなかった…写真も撮れていないし映像なんてもってのほかだ…」

 「…多分そのことなんですがね、先ほど両国という女子生徒がここに来まして、この手紙を貴方に渡してくれと」


 受け取った手紙を見ると、比較的きれいな文字でこう書かれていた。思わず口元が緩む。


 『夕方六時、花神楽駅前の喫茶店で、写真の取引をしませんか』


 「ほう…朗報だね」


 リヴァルはそのまま起き上がる。血が流れたせいか少し立ち眩んだがすぐにおさまった。


 「それでは、お騒がせしました。失礼します」

 「お気をつけて」


 何が書かれていたかは見ていないが大体の想像は付く。ろくなことがないことなのだろう。しかし、それよりも早く出て行ってほしいレストは何も言わなかった。



***



*閑話休題2


 コンテストが終わり、観客が体育館を出て行く喧騒の中、ライドと花子はロスの元を訪れた。


 「社長、本日はありがとうございました」

 「いや、いいんだ。こういう雰囲気大好きだからね」

 「今日は本当にこのコンテストだけを見に?」

 「んー、本題はこれなんだけど、ついでにやりたいことがあってね」

 「?」

 「いつもお世話になってる社長さんのご子息がここに通ってるって聞いてね…確か、彼かな? 西野隆弘くん」


 ロスが示したのは、周りと比べて頭ひとつ抜け、大勢の女子に囲まれた男子生徒。あれでは目立つのも当然だ。ロスは隆弘に近づいていった。隆弘がロスに気付く。


 「ん? 何だてめぇ」

 「ちょ、西野!」

 「いや、いいですよ。…西野くん、君のお父さんには随分お世話になっててね、ご挨拶しようと思って来たんだ。君はお父さんの仕事には興味はないかな?」

 「…興味ねぇな」

 「そうかい。お父さんは残念がるな」


 ロスは苦笑いしながら隆弘を見上げた。自分も背は高いが隆弘はそれすら超える。まさかこの歳で人を物理的に見上げることになるとは思わなかった。

 すると、隆弘がロスの後ろにしきりに視線を向けていることに気付いた。ロスの後ろにいるのは、ライドと話す花子。その視線の熱にロスはあることに気がついて内心笑みがこぼれた。


 「とにかく、お父さんによろしくね。…じゃ、私は帰るよ」

 「あ、お、お疲れ様です社長!」

 「ありがとうございました」


 ロスは隆弘の横を通り過ぎて去って行った。隆弘がハッと振り向く。すれ違いざまに声をかけられたのだ。その言葉の意味が分かると、盛大に舌打ちを漏らす。屋上にタバコを吸いに行きたくなった。


 『あまり背伸びをしすぎない方がいいね』


 「…くそったれが……」

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