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道化ー4
夜、一人、『それから』を読んでいると、ふと、雨が降り出しているのに気付いた。これは一晩止みそうにはあるまい。
文字に再度、目を落とす。
『自己が自己に自然な因果を発展させながら、その因果の重みを背中にしょって、高い絶望のはじまで押し出されたような心持ちであった。』
僕は、山上からの依頼を受け、わずかに悩んだものの、自ら、“代筆”を始めた。初めはともあれ、こう僕が悩んでいるのは、僕自身のせいではあるまいか。否、山上がおかしなことを頼んでいたのが原因ではなかろうか。しかし、受けたのは僕自身である。それはともかく、山上が平坂に愛されるというのは許して良いのだろうか。否、許してはならぬ。しかし―。でもー。
答えの出ない夜は、独り、深けていく。
遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。パソコンが壊れてしまい…。
今日で最後まですべて投稿します。