告白 -2
平坂は震える手を抑えた。
まさか、彼が、ここまで想ってくれていたとは。
でも、彼は勘違いしている。
私はあなたが思っているより、もう少しだけ、敏感よ。
平坂は家を飛び出した。
平坂の家から野崎のマンションまでの距離は走って5分。
走りながら、平坂は叫んだ。
死なないで! と。
そして、願った。
彼を助けて!! と。
仕方ないなー。
僕は、そして、ダイニングテーブルの上に姉宛の手紙を置いた。台所の包丁を手に取った。その切っ先を胸に突き立ててみる勇気も起きない。ああ、なんて僕は愚かであろうか。
包丁を持ち、しかし、どこか冷静に、風呂場へと向かう。
死ぬ恐怖は、とっくに無くなっている。あるのは、この世から解放される、この業から解放される嬉しさのみであ。
僕はその嬉しさに従って、左の手首に包丁を叩き付ける。叩き付ける、叩き付ける、叩き付ける、叩き付ける、切る、切る、切る、切る、切る、切る…。
そして、僕は、左手を熱い湯の張った湯船に漬けた。
「あーら、綾香ちゃんやないの~。どないしたん?」
彼のお姉さんだ。彼のマンションの前で声をかけられた。エレベーターの上ボタンを叩く。
「彼、どこですか!?」
「・部屋ちゃう?どないしたん?」
「彼自殺しちゃいます!!?」
「はあ!?もう!こっちや!!」
お姉さんは来ないエレベーターを待たず、階段へと走った。
「はい!」
朦朧とした意識の中、やけに左手首の血ののみを感じる。
ああ、本当に走馬灯、というものは見るのであるなあ。
どこか、遠くでガチャガチャという音が聞こえる。
もうじき、死ねるのであろう。
意識を放棄しようと、目を閉じ
まだ、早いだろ?
うる・さ・い・・・。や・・・・。
「野崎君!」
僕の体から魂が抜けていった。
次が最後です。




