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密やかな食後の楽しみ

作者: 優葉

 最近の私は、食後に化粧直しをするようになった。仕事の合間の短い昼休憩に、食事を済ませ、その他諸々の用事を済ませて、さらに化粧室に行く時間を捻出するというのは、実は結構な努力と根気が必要なんだけど、ここ半月くらいはずっと続けている。


 今日もお気に入りのポーチとハンカチを持って化粧室に行き、談笑とエチケットのために群がるお姉さま方の間をすり抜けて個室に入る。化粧直しは洗面台の前でやらないのが私のルールなのだ。

 個室の鍵をかけたら、まずポーチを開けてあぶらとり紙で肌を整えてからパウダーファンデを取り出す。Tゾーンがやっぱり落ちてる。ムラにならないように、でも厚くなりすぎないように、薄ーくはたいていく。それから、アイメイクの崩れてるところを整えて、ヌーディーベージュの口紅を塗り直す。化粧直しはこれで完了。

 最後に小さなミラーで全体をチェックして、耳元を確認する。薄緑色のピアス。半月前に大切な人にもらったもの。ピアスの存在を確認したら、鏡に映った自分に向かって優しく微笑んでみる。このピアスをくれた人を想いながら。


 私が大切に思っているその人には頻繁には会えない。会えたとしてもこの気持ちを伝えることはできない。だけど、少しでもキレイな自分で、あの人のことを想っていたい。だからこれはあの人を思う私の儀式。仕事は厳しいけど、あの人の存在にちょっとだけ支えてもらえるような気がしている。それだけで、十分だから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 好きな人の為に綺麗にするという恋する女性のワクワクが伝わってきます。(^^) メイクをバリバリに決めるのではなくて、出来る限りさりげない所で見せていくというのがまた、健気ですよね。
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